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 地獄の様な三年間だった。

 それでも、私は通いきった。

 屈辱にうちのめされ、憤怒に悶え、絶えず自殺を考えないではいられない状態を、「負けたくない!」の一心で強引に抑え込み、忍従の日々を生き延びた。只管に耐えに耐えた。傍から見れば、「そんな程度のことで」というかもしれないが、当人にとっては、生き地獄としか謂い様の無い底辺高校の特別進学科の毎日だった。

 「頑張り屋さんだったかもしれないけど、お前は逃げなければ駄目だった。そんな下らない勝ち負けに拘った挙句、お前はどうなった? ボロクソになっちまっただけだろ。それは決して癒えることなどない。其後の人生に於いての致命傷でしかない。何故なら、私は今もまだ後遺症に苦しんでいるのだから。ずっとうちのめされ続けているのだから。未だに、薄っすらとすら明るい未来など見えやしないだろ? 見えそうもないだろ?」。

 卒業式になど行く筈も無かったが、卒業アルバムは私の元にも送られてきた。

 そんな物誰が要る! そんな物誰が見る! こんな物目の端にも入れたく無い! そんな物自体、一瞬だって見たくなんてあるもんか!

 私は激情に駆られ、速攻で其れを摑むとガムテープでぐるぐる巻きにして他のゴミの詰まったゴミ袋に叩き込み、奥の奥まで押し込むと、口を固く結び、怒りに任せて床に叩きつけた。

「こんな物要るか!」

 あんなとこに振り返りたいものなどなるものか!

 忘れたくても忘れられない過去しかありはしない!

「消えちまえ!」

 高校に無理に通わなくてもよくなった日。私は泣いていた。何時の間にか涙が溢れて止まらなくなっていた。その前に泣いたのは何時のことだったか? まだ十八年しか生きてはいなかっのに。

 もう、我慢しなくていい。

 もう、あんな処にーーあんな高校に行かなくていい。

 私は力尽きていた。

 緊張の糸がぶつりと切れた。

 全ての糸が切られた操り人形の様にくしゃりと崩れ落ち、しゃがみ込んだまま身動き出来なくなった。

あと、ちょっとだけ続きます。

次回、最終回エピローグ

明日、今から1時間以内にはアップします(予定)。

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