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第6話~家庭教師シャーロット・ビーズリー~

ご興味を持っていただきありがとうございます。

この話も楽しんでいただけたら幸いです。

よろしくお願いいたします。

「おはようございます、ロジャーくん」


 シャーロットさんの綺麗な声が俺の鼓膜を震わせる。

 突然のことに俺は困惑してしまい、何も言えなくなってしまった。


「ん? どうしたんだロジャー?」


 そんな俺に向かって父が不思議そうに首を傾げる。


「い、いえ……よろしくお願いします」


 俺は慌てて頭を下げた。

 そんな俺を見て父は嬉しそうに笑う。


「よかったな、ロジャー! シャーロットさんはお前の魔力が循環するまで面倒をみてくれるそうだぞ!」


 父の言葉に俺は思わず顔をしかめてしまった。


 なんで!?  昨日の話を聞いていなかったのか!? 俺は今の段階で魔力を循環させたくないんだって話をしたよな!?


 心の中でシャーロットさんに悪態をつく。


「ロジャーくん、これからよろしくお願いしますね」


 シャーロットさんは優しく微笑む。


 な……何を考えているんだ……。


 俺はその笑顔が怖くて思わず一歩後ずさってしまった。

 そんな俺を見て父は不思議そうに首を傾げる。


「一体どうしたんだロジャー? 王宮魔導士から師事を受けるのは名誉なことなんだぞ?」

「そうよ、ロジャー。嬉しいわよね」


 母も父の言葉に同意するように頷いた。

 2人はシャーロットさんの真意を知らないのだろう。

 俺は何も言うことができずに拳を強く握りしめることしかできない。


「男爵様、ロジャーくんは混乱しているようです。少しこの子と2人で話をしてもよろしいですか?」

「それは構いませんが……ロジャー、シャーロットさんに迷惑をかけるんじゃないぞ」


 父はそう言って立ち上がり、母と一緒にリビングから出て行った。

 2人の姿が見えなくなると、シャーロットさんが口を開く。


「ロジャーくん、単刀直入に言いますね」

「はい……」


 俺はゴクリと唾を飲み込んだ。

 そんな俺を見つめながら彼女は言葉を続ける。


「私は監視と教育をするつもりです」

「監視はわかりますが……教育ですか?」


 俺はシャーロットさんの言葉を繰り返す。

 彼女は俺の目をまっすぐに見つめながら頷いた。


「はい、そうです。主にロジャーくんを監視するのが目的ですが、同時に教育も行います」

「教育を?」

「ええ、そうです」


 シャーロットさんはメガネをクイッと上げる。


「ロジャーくん、あなたは独学で魔核を生成しましたね?」

「…………はい」


 俺は間をおいてから素直に頷いた。

 シャーロットさんの言う通り、俺は独学で魔核を生成した。

 子供の間は隠し通せると思っていたが、彼女に魔法の発動を見られた。


「そういうことなら、なおさら私という師匠は欲しくないですか?」

「……………………」


 俺はシャーロットさんの質問に答えることができなかった。

 魔核を生成するには大量の魔力が必要になる。

 5歳の子供がそれを独学で行うのは異常だ。

 確かにシャーロットさんが師匠だったからって言えば怪しまれない。


 けど、俺の秘密を彼女に握られることになる。


 俺がそう思っていると、シャーロットさんが口を開いた。


「ロジャーくん、先に私の目的を話しておきます」

「目的……ですか?」

「そうです」


 シャーロットさんは俺をジッと見つめながら頷く。


「このまま成長すれば、あなたは歴史書に載るくらいの偉大な魔導士になるでしょう」

「…………」


 俺は黙ってシャーロットさんの話を聞き続ける。


「そんなあなたの師匠に私がなりたいんです」

「なぜですか?」


 俺はシャーロットさんに質問する。

 シャーロットさんが王宮魔法団に入らない俺にそこまでするメリットがない。


「あなたの師匠だという箔が私に付くからですよ」


 シャーロットさんの目は真剣だ。

 嘘を言っているようには見えない。

 俺もその目的であいつ(キャロル)を弟子にしたな……それが失敗だったけど……。

 俺は少し考えてから口を開いた。


「わかりました。これからよろしくお願いします」


 俺はそう言って頭を下げた。

 シャーロットさんは俺の言葉を聞いて嬉しそうに微笑む。


「ありがとうございます。これから一緒に頑張りましょうね」

「はい。師匠」


 こうして俺は2度目の人生でもシャーロットさんの弟子になった。


「よし。ロジャーくんの了承も得たことですし、私は一度王都に帰りますね」


 シャーロットさんは立ち上がり、満足そうに微笑む。


「それでは、私はこれで失礼します……あ」


 リビングを出て行こうとしたシャーロットさんが急に振り返った。


「ロジャーくん、私が許可するまで魔力を循環させちゃ駄目よ?」

「どういうことですか?」

「そのままの意味よ。それじゃあね」


 シャーロットさんはそれだけ言うと、リビングから出て行く。

 その足取りは軽く、とても嬉しそうだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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