DREAM! 第7幕(作戦始動!?水泳部にもぐりこむ影)
(あらすじ)
地区大会に出場する選手のデータを集める力也。
これは壮絶な水泳小説の始まりだった。
キーンコーンカーンコーン
「終わったか・・・。」
授業の終わりを告げるチャイム。
皆授業が終わったことによって
ホッと息をつく。
「拓哉。先に部活行っとくぞ!」
壱夜は、そう言うと人より先にプールへと向かった。
今日で6月。
だんだん暑さも覚える月でもある。
水泳部では、筋トレも終わりプールに
入っている時期でもある。
「今シーズンは、大会無理かもしれない。」
あきらめたようにささやく。
なぜなら部員はたったの2人。
こんな人数で勝ち残れるほど水泳界もあまくない。
少し肩を落としながらプールへと向かう。
ため息を何回ついただろう、いつもよりかばんも重く感じる。
ガチャン
プールへ入るための鉄のドアを潜り抜けて
更衣室に向かう。
男子更衣室では、壱夜が先に着替えていた。
僕は
「鍵、職員室から取ってきてくれたんだな。ありがとう。」
と、一礼すると疑問があるかのように首をかしげて
「えっ!鍵開いてたぞ!」
「あれ?そうなの?」
二人とも頭に「?」が出そうになっていた。
「まー。いいやっ!」
考えるのは苦手な二人は、考えるのをやめた。
「そーだ!掃除しないと!この部活女子がいないから
女子更衣室って汚かったよなっ。」
と、僕は壱夜に問いかける。
「おぉ~。そうだったな!ついでにトイレとかも
やっちゃおうぜ!」
壱夜は、乗り気だった。
というわけでパッパと終わらしたい俺たちは、
倉庫からほうきとちりとりを取り出して更衣室に向かった。
「パッパと終わらせようぜ!」
「そうだな。」
ところが、今皆さんが予想しているとおり
パッパと終われないことが起こるのです。
更衣室に足を入れた瞬間
固まった。
大きな見開いている胸を強調している
3人の女子が着替えていた。
それも、どこかで見たことがある顔が揃っていた。
「すみませんでした。」
そう言いながら、更衣室から出て行った。
女子たちも予想外のことに固まっていたので
悲鳴も上げれなかったようだ。
だが、その後気まずくなった。
「でもなー!何でお前らが水着きてんだよ!」
「なによ!あたし達が水泳部に入っちゃダメって言うの?」
櫻が聞いてくる。
「へっ?水泳部に入る?」
「そうよ!」
「・・・・でもなーお前ら泳げんのか?
それに俺たち亮太の事件の時しかあったことのない他人だぜ」
「私の胸見たくせに何が他人よ!」
それを見た周りの人は口をそろえていった。
「夫婦みたい・・・。」
「で、実際泳げんのか?」
「櫻ちゃんは小学校の時水泳を習ってました。」
一美が答えた。
一美の時は、特訓の効果のようで親密に話が出来た。
櫻とは大違い・・・。
「じゃあ櫻!泳いでみろよ!」
「もぉ~!上から目線?」
「いいからっ!お・よ・げ!」
「は~い。部長・・・。」
いやいや飛び込み台に上る櫻。
「ハイッ!」
その叫び声と同時に飛び込んだ。
僕も驚くほどでつい思ったことを口に挟んでしまった。
「イルカみたいだ・・・」
あまりに飛込みが綺麗過ぎて皆が息をのんだ。
今だけは、櫻がかわいいと思えるかもしれない。
そして、櫻は足と手を広げ平泳ぎをする。
綺麗でしかも早い負けず嫌いの僕が、初めて得意の水泳で負けたと
思った瞬間だった。
泳ぎ終わった後頭につけたキャップを取って
ショートで薄ピンク色の髪をなびかせていた。
ドキンッ
(女の子を見てドキドキするのって久しぶりだな。)
おそらく壱夜も同じだろう。
櫻に見とれている。
これが、僕の恋物語の始まりだった。
希も一美も櫻も僕らの想像を超えていた。
クラブ活動後、僕は途中まで櫻と帰ることになった。
「ごめんね。急にこんなことになちゃって。」
さっきとは大違いの口調で話しかけてくる。
「別に良いよ。でも、何で水泳部に?」
前、一美から部活に入っていないことは聞いていた。
だが、なぜ水泳部を選んだのかが不明だった。
「一美に誘われたんだ。でも、今は水泳部に入ってよかったなって思っている。」
「何で?」
「さーなんででしょう?内緒だよ。」
そう言って分かれ道で
「また明日!」
と言って櫻は帰っていった。
まさか、部活でこんなたくさんの女子に囲まれることになるなんて。
少し興奮してきた。
「ただいま~」
玄関のドアを開けた。
家に帰ってベットに寝転がったのと同時に
ポケットから携帯を出し開けた。
「壱夜からメール?」
メールの中身を見たとたん吹き出した。
「拓哉~!水泳部の3人の女子の中で好みは誰?」
「何だよコレ?」
そう叫んだ。
でも思えば、女子のことを考えたのは
中学生以来だったな。
すると、パタンと携帯を閉じて
「自主トレでもするか・・・・。」
そう言って外に出て行った。
近所を何周か走るのだ。
(今は、水泳部が大事だ。恋愛はその後だ。)
つづく