決着と初めての授業
「そんなものですか?」
やりづらいな。やつは高速で移動して、攻撃を当ててくる。とりあえずやつの使っている魔法を解明しないとな。
「ファイアボール」
するとやつは当然のようにそれを避けた。しかし、瞬間移動ではなく、一度止まって攻撃を躱したのだ。じゃあ、次は広範囲魔法を撃つか。
「ライトニングサンダー」
かなりの広範囲攻撃だ。しかし、やつは当然のようにそこに立っていた。
「ふむ」
そして僕はおおよその予測を立てた。そして、その瞬間僕は足に魔力を込めて奴との間合いを一気に詰めようとした。
「ふふ、さすがですね。もう気づきましたか」
僕と奴との距離は一向に縮まらない。そう、これがカラクリだ。やつは自分の周囲にかかるスピードを動かしていたのだ。だから高速で移動したり、広範囲の攻撃を避けることができたのだ。そうわかれば対処のしようもある。
「タイムクロッカス」
僕も時間操作系の魔法を使い自分にかかる時間を早くして高速移動した。そして奴との間合いを縮めることに成功した。
「ふふ、まさかあなたも時間操作の魔法を使えるとは思いませんでしたよ」
「魔法のバラエティはかなりあるんでな」
時間操作の切り替えには時間がかかる。だからこの攻撃は躱せない。僕は手に魔力を込めやつの腹を殴った。
そしてやつは吹き飛んだ。
「ここいらにして逃げたほうがいいんじゃないか。そうじゃないとお前の奥の手も使うことになるぞ」
「そこまで見抜かれていましたか」
こいつと僕には明らかな戦闘力の差があったあの魔法一つで挑んでくるほど馬鹿じゃないだろう。
「そうですね。今回はここいらでやめておきましょうか。でもいいんですか?僕をここで殺しておかなくて」
「お前を本気で倒そうとするとお前は奥の手を使うだろう。そうなるとかなり面倒だ。今回は見逃すのが最適なんだよ」
「そうですか」
そして次の瞬間僕は自分の部屋に戻っていた。
そして、僕の耳にしか聞こえない声量で、
「あなたには期待していますからね」
と外からあの男が言ってきた。しかし、僕が外を見た時にはもうその男は消えていた。
そして、次の日になった。僕はシルキーと一緒に登校した。
「今日から本格的な授業が始まるね」
「ああ」
僕らが最後の登校だったらしく、僕らが先についた瞬間に朝礼が始まった。
「それでは今日から本格的に授業を始めるので心して取り組むように。授業は外の競技場で行うのでそこに集合するように」
そして僕らは競技場に到着した。
「それでは授業を始めますので軽く準備をしてください」
「では今日から授業を始めていきます。今日の授業は皆さんの実力を把握しておきたいのでトーナメント戦を行いたいと思います。これがクラスの現時点での順位となるので心してください」
僕はこのクラスでどのくらいの位置にいるのか知る丁度いい機会だな。
シルキーやニックなどが試合をして僕の番となった。
「よろしくフォンテ」
「よろしくジュール」
この男はマイン・ジュールだったか。
「はじめ」
「ファイアボール!」
相手から先に攻撃をしてきた。が、なんだこの魔力密度の低い攻撃は。僕は防御魔法を展開せず、手に魔力を込めてその魔法を叩き割った。
「えっ」
クラスメイト全員が驚いていた。それはそうだ。通常魔法での攻撃は防御魔法で防ぐか攻撃魔法で応戦するのがセオリーだから。しかし、圧倒的実力差があればこんなこと容易くできるのだ。
そして足に魔力を込めて相手に詰め寄り魔力を指先に込めて放った。
そしてジュールは軽く吹き飛び僕の勝利となった。
僕はその後も順調に勝ち続けてシルキーと戦うこととなった。
「よろしくね。フォンテ」
「ああよろしく」
「はじめ」
「ファイアボール」
シルキーが先に攻撃をしてきた。流石に今までの奴らとはちがうな。魔力密度が高い。僕は防御魔法を使った。
「プロテクション」
僕の前でファイアボールは消失した。
そして僕はジュールの時よりかなり魔力を込めて魔力跳弾を放った。その弾シルキーの防御魔法を貫通してあたり僕の勝利となった。
「かなり強くなったなシルキー」
「ふふっ、フォンテほどじゃないけどね」
そして僕は決勝まで勝ち上がった。
相手は入学試験の時に話された男だった。
「よろしく。名前はなんで言うんだ?」
この男は自己紹介の時帰っていたから名前がわからなかった。
「よろしく。名を名乗る気はない。俺は俺より強い人間にしか名乗るつもりはない」
「そうか。じゃあこの試合が終わった後に聞かせてもらおうか」
らしくないことを言ったな。だか、風格からわかる。この男は僕と同レベルか僕以上の強者だ。
この世界に来て初めてかもしれないな。僕とまともにやり合えそうな人と会うのは。久しぶりに楽しみだ。
さあ、始めよう強者同士の戦いを。