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献身☆幼女マルゴレッタちゃん奮闘す!!  作者: おにぎり(株)
一章
9/31

マルゴレッタちゃんと古龍ちゃん 6

 バチコーンッ!!


「もっとでち〜!!」

「ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」


 バチコーンッッ!!


「もっと、もっとでち〜!!」

「あぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」


 バチコーンッッッ!!


「小鳥が囀るようにでち〜!!」

「ぴっぴぃ〜〜?」


 ババチコーーーンッッッッ!!


「意味わかんないでち!!!」

「そ、そんーーなぎゃひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」


 ワフゥの尻は何度も引っ叩かれ、肉が削落ちると、マルゴレッタの力によって元に戻され、再び引っ叩かれるという地獄の如き折檻を何度も繰り返されていた。


「ハァ……ハァ……。次は吾輩が折檻される番であるな……。胸熱っ!!」


 蕩けた表情で幼女王様の折檻に期待で胸と鼻を膨らます変態古龍。


「古龍ちゃんは欲しがりさんでちね〜。でも、おねだりの仕方がなってないでち! お預けなんでちよ!!」


 軽く一瞥し、そう吐き捨てワフゥの尻を引張叩く幼女王様にナイトカインは、身動き出来ぬ巨躯を悶えさせ哮り立つ。


「噂に名高い放置プレイというやつか!? ど、ど、ど、どうか下等な吾輩に幼女王様の慈悲を御恵みをっ!!!」


 完全に()()()()()()古龍を遠目で渋い表情で見詰めるキング。


「……ダメだ。あのデカブツ完全にお嬢の魔力に魅入られてやがる。また、厄介そうなのが眷属になっちまったもんでさぁ。まぁ……奴自身も望んでいた事だし、本望でがしょが……。犬っころ、早くしねぇとお嬢の心のキズが深くなっちまうぜぇ……」


 マルゴレッタの豹変に、キングはすぐさまクイーンに対して、屋敷に向かうよう使いを出していた。

 普段、仲の悪い二匹だが、あの状態のマルゴレッタがどれほど危険な存在かを知る者にとって悠長にいがみ合ってる暇はない。

 クイーンの到着をじれながら待つキング。

 その時だった。

 キングの前方に地面から魔法陣が浮かび光の柱が立ち登ると、クーインと金髪の壮年の美丈夫が姿を露わにした。

 金髪の男を見た瞬間、キングは安堵の声を上げる。


「来てくれたのが旦那で良かったですぜ……。クイーン、やれば出来るじゃねぇか!」


「当然よ!! 旦那様以外の人じゃ、余計ややこしくなっちゃうでしょうが!!」


「……はぁ。僕の天使はどんな姿になっても愛らしいなぁ……」


 ワフゥの尻を張り続けるマルゴレッタの姿に、一人染み染みと噛み締めるように頷く金髪の男。


「旦那……。親バカしてる場合じゃねぇですぜ」


「おっと、そうだね! キング君、僕の所に使いを出したのはナイス判断だよ。うちのハニーに、あんなマルゴレッタの姿でも見られようものなら、此処にいる君ら全員、(しゅん)で塵にされるとこだよ。はははっ」


「笑えねぇですぜ……」

「笑えないわね……」


「そ、そうだね……。笑えないよね。僕も想像して背筋が冷たくなったよ」


 重苦しい雰囲気を醸し出す二匹と一人。

 金髪の男はネガティブな思考を払拭させるかのように、パンッと小気味良く両の手を叩いた。


「と、取り敢えずは、ハニーにバレる前にマルゴレッタを何とかしよう! なぁに、僕に任せておけば万事解決さっ!!」


 親指を立てながら見惚れる程のスマイルを二匹に向けると、マルゴレッタの元に歩み始めた金髪の男。

 鼻歌交じりに、飄々と近づき素通りしようとする不審な男にナイトカインは、勘違いをしたのか唸りながら威嚇をした。


「そこな男よ止まれぃ! 次の幼女王様の御慈悲を頂くのは吾輩だ!! 横入りは感心せんぞ!!」


「魔獣の頂点に位置する古龍すら虜にしてしまうか……。我が娘ながら空恐ろしいよ。パパは君の将来が心配です」


 金髪の男は、右手の親指に中指を引っ掛け、溜めたそれを古龍の鼻っ柱に向けて打ち抜く。


「ガッ!?」


 打ち抜かれた衝撃で巨大な身体がブレ動き、仰け反った古龍はそのまま意識を刈り取られ、少し浮いた古龍の上半身が再び地面に触れ重低音と共に砂埃が舞い上がった。


「本来なら、どんな理由があったとしてもこの森に侵入した君には死んで貰わなきゃなんだけど、マルゴレッタの眷属になってしまった以上、殺す訳にもいかなくなった。まぁ、()()歓迎するよ古龍君。アルディオスへようこそ」


「勇者ああああああああああぁぁぁぁぁっぁ!! た、助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


 無様な格好で、そう叫び助けを求める我が家のメイドに金髪の男は苦笑いを浮かべる。


「ははっ。勇者呼びは止めてくれって何時も言ってるだろ? 昔は敵同士だったけど、一応今は君の主人になる訳だし、"ローゼン"とちゃんと名前で呼んで欲しいな」


「そんな些細な事はどうでもいいわぁ!! は、早くマルちゃんをーーんぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「……うわ〜〜。コレは酷い。痛そうだね〜〜」


 目を背けたくなるようなワフゥの尻の惨状に、ローゼンは口元を引き攣りながらも愛娘に声をかける。


「僕の可愛いマルゴレッタ。他者の血を体に浴びてしまったんだね。可哀想に……。いや、その姿もグッとくるものがあるよ。否定している訳じゃ無いんだ! ただ、何時もの天使なマルゴレッタも捨てがたいんだ! あぁぁぁ……。我儘なパパを許しておくれ!!」


 大仰な素振りで苦悩し宣うローゼンに気付いたマルゴレッタはニタリと微笑む。


「パパなんでち。……パパもお仕置きされたいんでちか?」


 その言葉、その眼差しに、ゾクリと身震いするローゼン。


「……パパ。お仕置きされちゃおっかなぁ〜〜」


 ニマニマとだらし無い顔を晒す助っ人に、キングとクイーンはがくりと頭を落とした。


「……人選、ミスったんじゃ無い?」

「……こりゃぁ、ダメかもしれねぇ」

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