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献身☆幼女マルゴレッタちゃん奮闘す!!  作者: おにぎり(株)
三章
25/31

おいでませ!アルディオスの森へ!!人形狂い編1

「いくぞっ!!」


 少年は勢い良く地を蹴り出し、ペロリアに襲い掛かる。


「ルカっち!?」

「くそッ!」

「馬鹿者がぁ!」


 キキ、ドグラ、ラムザが慌てた様子で少年に追従する形で駆け出す。

 ルカと呼ばれた少年は、子供とは思えぬ身体能力でペロリアに肉迫すると、その勢いのまま片手に持った小剣(ショートソード)を下からしゃくり上げる。

 ペロリアは半歩分、体をずらし迫り来る刃を薄皮一枚で躱す。

 だが、少年の斬撃は止まらない。

 流れる様に振るわれる剣の軌跡、あらゆる角度から迫る高速の刃はペロリアを圧倒する。

 防戦一方。体の脂肪を震わせながら器用に刃を躱すペロリアの表情は、不気味な笑顔を携えたままだった。


 ペロリアは斬り込まれる剣筋から雑な一本を選び取り、カウンターとなる一撃を少年に捩じ込もうとしていた。

 ミシッミシッと、力の限り拳を握り込む音が鳴る。


 ――ゾクリッ

 首筋に死神の鎌が添えられるような感覚を少年は覚える。

 ルカは死の気配を感じ、ペロリアから直ぐさま跳び引くように回避行動を取ろうとしたが、雑に振り切った一太刀を狙われ、反応が遅れてしまう。

 少年の眼前に、破壊の槌が振り下ろされる刹那――


「ルカっち! 目ッッ!!」


 キキの呼び掛けと共に、ペロリアとルカの間から黒光りしたが小さな玉が数個、投げ込まれた。

 小さな玉は爆発と同時に強烈な閃光を放つ。

 眩い閃光に体が一瞬硬直してしまったペロリア。しかし、彼女は獲物がいるであろう場所にお構い無しに拳を打ち下ろした。

 森が激しく揺さぶられ、けたたましい轟音が辺りに響き渡る。


「あ、危なかった……」


 キキの機転により、なんとか回避を成功させ、ペロリアから距離を取るルカ。

 少年の安堵の呟きに、共に距離を取ったルルが怒声を浴びせる。


「ルカっち、危なかったじゃないっす!私がフォローに入らなきゃ、死んでたっすよ!?」


「くっ、僕の中に流れる覇邪王の血を抑える事が出来なかったんだ……。もう少しで力に飲み込まれる所だった……」


「何が覇邪王の血っすか! 馬鹿言ってないで追撃の準備っすよ!!」


 人が半分埋まってしまうほど広範囲に地面が抉れ、粉塵が立ち昇る。

 その中心地に、口元を吊り上げ佇むペロリア。白煙と静寂が支配する空間の中で鈍色に煌めく二つの刃が交差しようとしていた。

 息を潜め気配を絶ち、挟み込む形でペロリアを奇襲したドグラとラムザが白煙を搔き分け、彼女の上半身目掛けて必殺の一撃を振り抜ぬく。

 だが、二人の刃は標的の体を掠める事もなく虚空に刃を交じわせるだけで終わってしまう。

 刃が体に交わる瞬間、背面を大きく仰け反らせ回避したペロリアが、その状態のままで二人を睨め付け嗤っていた。


「デュフフフフ。残念」


 ドグラもまた、口元を歪ませ嗤った。


「へへっ。そうかよ」


 ペロリアの視線の先に突如、少年の姿が躍り出る。


 空中を高く跳ぶルカの姿は、魔力で生成された蒼白い雷火を全身に走らせ、一筋の(いかずち)に成ろうとしていた。


「喰らえッッ!! 邪王雷殺えーと……。"雷神の裁き(ジャッジメントトール)"!!!」


 雷鳴が轟き、雷と成った少年が神速の速さでペロリアに向かい落ちていく。

 ルカの纏う異常な魔力量に、危機を察したペロリアは反射的に体を動かそうとしたが、その行動は叶う事はなかった。

 いつの間にか、地面から無数の黒の手が伸び、ペロリアの身体中に纏わり縛り付けていたからだ。


「残念っす!! 我が一族、秘中の秘、"黒手縛り(こくてしばり)"からは何人も逃れられないっすよっ!!」


 地面に手を当て、魔法陣を展開するキキ。

 彼女の一族は、"ニンジャー"と呼ばれる特異な魔法形態を確立させた希少な一族だ。

 魔力で作られた黒の手は、縛り付けた者を決っして逃す事は無い。


 ペロリアの額に少年の小剣が深々と突き刺さると同時に雷撃が体中を駆け巡る。

 絶叫を上げることもなく、太った体躯が狂ったように跳ね回り、焦げた肉の匂いが辺りに漂う。

 やがて彼女の体から蒼白い火が灯り、瞬く間に全身が蒼炎と白煙に包まれ、ペロリアは生命活動を停止させた。


 ルカ少年は燃えるペロリアから小剣を引き抜き、華麗に地に着地すると勝利を確信し再び自分の納得のいくキメポーズを取る。


「漆黒の風が……鳴いている……」


 僅かな沈黙。事の成り行きをただ唖然と見詰めていたバーゼル兵達が、歓喜の声を上げた。


「何が何だか分からんが、兎に角すげぇ……」

「「「「うおおおおおおおおっぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!」」」」


 バーゼル兵の称賛の声に、まんざらでも無い表情を見せる少年。

 そんなルカの頭上に、ドグラの拳骨が振り下ろされた。


「意味の分んねぇ事言ってんじゃねぇ! 阿呆!! 危うく死ぬとこだったわっ!!」


「まったくじゃわい。結果は勝利で終わったが、ワシ等の方が全滅してもおかしく無い相手じゃったぞ?」


「口が酸っぱくなるほど言ってるっす! 強者と対峙する時は、慎重に行動しなきゃダメって!ルカっちは、ウーリボウっすか!?」


「ごめんなさい……」


 仲間達のダメ出しに、しょんぼりとするルカ少年の表情が突如険しいものになっていく。

 異変を感じたペロリアの遺体を直視するルカの耳に、可愛らしい少女の声が届く。

 

『謝る必要なんてないでちよ~。貴方はとても素晴らしい戦いを見せてくれたでち……。誇っていいでちよ。少年』


 声の発生元であるペロリアの遺体が突如蠢きだす。

 悍ましい音を立てながら肉を突き破り、蒼い炎の中から少女の姿が露わになる。

 少女はくるりとロングスカートを翻し一回りすると、炎を散らし流れるような所作でスカートの袖を摘み美しいカーテンシーを見せた。


「お初にお目にかかるでち。侵入者さん。わたち先代魔王、四天王が一人"人形狂いのペロリア"と申しますでち。どうぞ、お見知り置きをでちよ~」


 白い肌に白い髪、純白のメイド服を身に纏う少女は、マルゴレッタと瓜二つの顔をしていた。

 ペロリアの真っ赤に輝く瞳が細められ、狂気じみたほほ笑みを侵入者達に向ける。


「さぁ、侵入者さん、もっと、わたちと遊んで下さいでちぃ」

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