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枕、あるいはご挨拶

初投稿になります。どうぞ宜しくお願いいたします。

〔時は地球時間で現代未明!

 舞台は異世界、とある惑星(ほし)

 宇宙の何処かの、とある惑星(ほし)!!



 緑豊かなその惑星(ほし)の名は、誰が呼んだか「惑星エレヘブン」!



 地球によく似たその惑星(ほし)は!

 見た目も似てると思いきや!

 中身も文化も()の星そっくり おったまげ!

 驚きモモノキ鏡写し!!


 地球に似てるということは!

 ヨーロッパも、中国も、ロシアも、アジアも、アメリカも…

 古今東西の国々が!

 似て非なる形と言えどもあったりして!!



 当然 皆様の日本に似た国も! あったりなんかしちゃうんです!



 されど! 現代ニッポンまんまじゃなく!!

 この惑星(ほし)の日本に当たる、とある国…

 ミヅホ国は、それはさながら江戸時代を彷彿とさせる姿!!

 

 首都はその名も! オエドの町で”オエドタウン”!!

 将軍様が国を治め!

 町人たちは着物で闊歩して回り!

 江戸弁飛び交う時代劇!!


 ではあるものの…

 そこは異世界、余所の惑星(ほし)

 なんとビックリ オエドタウン!

 江戸の町なのに電気が通ってる!!

 こいつぁたまげた! 驚いた!!


 TVがあって、電話も通じ!車も通りゃ、電車も走る!

 夏はクーラー、冬はヒーター!

 冷蔵庫に冷たいビール! レンジでチンも当たり前!!

 アナログなんざぁそっちのけ! デジタル上等、家電世界!!


 オエドであって、お江戸にあらず! …っとくらぁ!!



 何? そんなもんは時代劇じゃあないって?


 待っておりました、その言葉!!!

 だってこちとら時代劇に非ず!!!



 時代劇”風”と謳いましては、

 皆様を魅了する、アクション習作と、相成ります!!



 はあ、さてさて…

 文化が違う、所が違う、

 そして何より惑星(ほし)が違う!

 されど人の在り方に、大きな違いは一切なし!!

 良いヤツもいれば、悪いヤツもいる、

 これが人の(さが)でございます!



 地球を遠く離れても、

 悪いコト企むどうしようもない輩は何処にでも沸くもんで…


 あれがしたい! これが欲しい!

 何はしたくない! やれ縛られたくない!

 余所様に迷惑を掛ける、他人を傷つける…

 自分が良ければそれで佳し!

 他のコトなんざぁ知ったこっちゃねえ!

 

 そんな困ったちゃんは、

 この惑星(ココ)にも蔓延(はびこ)るワケなんですわ…





 例えばホラ、こんな風に……。〕





ーーーーーーーーーー




 深夜未明、オエドタウンのとある町中。


 普段はもう夢の中の人々も、この日は”その姿”を一目見ようと、遅い時間にも関わらず、押せや押されの人だかりを作っていた。


 野次馬たちの注目の的は、現在(いま) 市井を騒がす一人のコソ泥。


 なかなか捕まらなかったこのネズミだが、その日、ついにヘマをやらかしたのだった。

 町中を張っていた同心に見つかり、同心を相手に大逃走劇を開始。

 同心は仲間を呼び寄せ、この小悪党の捕縛を試みる。


 数日間の捜査が身を結び、ようやく漕ぎ着けた下手人逮捕のチャンス。

 数時間に及ぶ逃走劇は、深夜にまでなだれ込む。

 

 逃げたいコソ泥、捕まえたい同心。

 隠れては見つかり、見つかっては暴れ、

 斬った張ったの大騒動に発展。

 

 なかなかしぶといこの小悪党、同心を一人、また一人と殴り倒しては、斬り倒しては……

 徐々に、しかし確実に包囲から逃れ始めるのであった。



「がはは!! 同心も大したコトねえのな!!

 こんだけ雁首 揃えておきながら、

 束になっても、俺さま一人捕まえられねえのかよ、情けねえ!!」



 コソ泥は調子に乗り始める。



「いいのかい? 俺さま調子に乗っちゃうよ?

 このまま逃げちゃうよん?

 悪人(なかま)たちに宣伝しといてやるよ!

 ”オエドタウンは悪事(しごと)し放題です”ってな!

 ”お役人は大したコトないから怖くないですよ”ってな!!


 宣伝料はたっぷり戴いたからな、

 お礼に余すところなくコマーシャルしといてやるぜ!!!」



 勝利……逃走の成功を確信し、これでもかと舞い上がる小悪党。

 同心たちも顔を真っ赤にし、睨み付けるものの、

 そんな視線はどこ吹く風やら……


 コソ泥に向けられた、人を射殺せるかのような同心たちの視線も、このコソ泥の調子を殺すことは出来ないようであった。


「がはは!!  悔しかったら捕まえてみろ、ってんだ!!

 まあ、そんなコト出来るスゴ腕なんざあ、この中にはいないんだろうけどなあ!!!」









「いるさココに! スゴ腕ならな!!!」










 突如響き渡る凛とした声。


 それは小悪党のダミ声とは対照的な、


 力強く、


 それでいて人々の耳によく通る、綺麗な声だった。



「だ、誰だ!!」


 突然響いた新たな声に戸惑うコソ泥。

 しかし、その質問はかき消される。

 同心たちが敷いた包囲の外側、野次馬の町人たちが一斉に声を上げたのだ。



「待ってました!!」

「よっ!! ミヅホ(いち)!!」

「起きてた甲斐があったぜ!!!」



 野次馬たちから沸き上がる歓声。

 そう、町人たちはコソ泥を観に来たのではなかったのだ。

 この声の主を一目見ようと、集まっていたのである。


「待ってたぜ! ヒーロー!!」


 誰かの声に、コソ泥は反応する。


「ヒーローだあ? 一体、何モンだあ?」

 

()()()を知らない、ってコトは、余所モンだね?アンタ。


 大方、余所でもコソ泥働いて、追われてオエドタウン(ココ)に流れてきたんだろうけど……

 このオエドタウンでおんなじように悪事(せいかつ)出来ると思ったのが大間違い!

 そうは問屋が卸さない!!


 いやさ! このアタシがやらせはしない!!

 悪党稼業は、このときをもって廃業さ!


 さあ、覚悟しな!!!」


 キョロキョロと声の出所を探るコソ泥。

 だが、眼に入るのは、自分と同じように辺りを見回す、

 傷ついた同心たちや、笑顔の野次馬の顔だけだった。


「ヤロー…カッコつけて言いたい放題 抜かしやがって……

 …言いたいコトは面と向かって言いやがれ!!

 この臆病もん!!!」


 得体の知れない存在に、言いたい放題言われ苛立つコソ泥。

 姿が見えないコトも、コソ泥の苛立ちに拍車を掛ける。


 検討違いの方角に向けて、思いきり怒鳴り声を上げるのであった。


「……更に三つ、間違いだ。

 一つ、ヤローじゃなくて、アタシゃ女だ。

 二つ、アタシは臆病風にはこれっぽっちも吹かれちゃあいないよ。

 そして三つ……




 ……アタシなら、さっきっからココにいるよ!!!」



 再びキョロキョロ、首も視線も動かす小悪党。

 いや、コソ泥のみならず、同心たちも、野次馬たちも、

 この場にいる全ての者が、声の出所を探る。


 そして……


「あ! あそこだ!!!」


 野次馬の一人が見つける、指を指し示す。

 そこは長屋の屋根の上。

 そこには月の光を背にして立つ、一つのシルエット。



 

 月の光で淡く反射する、鋼で出来た鎧。

 そよ風に吹かれ、微かに揺れる束ねたポニーテイルの後ろ髪。

 色付きのゴーグルを着けているため、目元はよく見えない。

 両耳には、アンテナ付きの耳飾りをはめている。

 両手、両脚には金属のプロテクターを着けている。

 ちなみに両足は下駄、瓦屋根の上で実に器用に立つものである。

 おそらく、着物の普段着の上から、鎧を装着しているのであろう……

 腰の帯の飾り結びは、腰やお尻を通り越して、太股の辺りまでの伸びており、そよ風にたなびいていた。




 ……回りくどい表現をしたが、ストレートに言おう。




 そこには、カッコイイヒーローがいた。




 先程までの喧騒が嘘のように静まり返る一面。


 怪我を負った同心たちも、

 歓声を上げていた野次馬たちも、

 そして、コソ泥でさえも、


 その美しさ、カッコよさに眼を奪われた。



 実に()になる光景。

 ”月下のヒーロー、ここに参上”とでも名付けようか。



 そんな一場面を壊したのは、我にかえったこのコソ泥(おとこ)であった。


「て、てめえか!

 何モンだ、てめえ!!!」


「問われて名乗るもおこがましいが、

 その名を知らずに送るも偲びなし!


 教えてやるから、その胸にしかと刻み付けて逝きな!!」


 コソ泥の質問に、芝居掛かった言動で返すヒーロー。

 町人たちは、”まってました!”、とばかりに、期待の表情でヒーローを熱のこもった視線で見つめる。






「疾風迅雷、疾風(はやて)の如く!


 威風堂々、大樹(たいじゅ)の如く!


 (たぎ)る血潮は民のため! 熱き心は人のため!


 弱きを助け、邪悪を砕く!

 

 オエドタウンの守り神――――――、」










疾風堂々(しっぷうどうどう)! ダイアレスター!!!」











〔影あるところに光あり!!

 悪あるならば、正義も然り!!!

 オエドタウン(この町)には……ヒーローがいる!!!!〕





 完璧に決まったヒーローの名乗りに、鼓膜が破れんばかりの歓声と、拍手の嵐が沸き起こる。


 まるでTVドラマの一場面。

 面白くないのは、やられ役のコソ泥だけだ。



「さあ、悪党への名乗り(餞別)は済ませた……

 神妙に縛につきな! 小悪党!!!」



 ヒーロー……ダイアレスターが、コソ泥に指を指す。


「やかましい!! 誰が捕まるか!!!

 これで捕まったら、俺さま ただの道化じゃねえか!!


 ヒーローだかなんだか知らねえが、

 てめえが本当にスゴ腕なら、俺さまを捕まえてみやがれ!!

 このコスプレヤローが!!!」


「……いや、ヤローじゃねえ、っつってんだろうが。

 あと、芝居の衣装でも、コスプレでもねえから。」


 コソ泥のヤジにダイアレスターは、「せっかく決まったのに、出鼻くじきやがって」とジト目でぼやく。


「……まあいいや、サクサク終わらせるよ。」


 盛り上がったテンションがだだ下がりしたものの、ダイアレスターは気を取り直し呟く。

 目を閉じ、深呼吸した彼女は、気合を入れ、コソ泥相手に腹の底から叫んだ。

 



「ダイアレスター!! 参る!!!」 




 若干、調子を狂わされた感があるものの…… 

 ヒーローの捕縛劇が始まる!!






 そんな様子を、野次馬たちに見つからないように、姿を隠しながら、遠巻きに見守る、一人の少女がいた。


 手には通信機を持ち、機械越しに、誰かと会話する少女。



「皐月さん、また調子に乗ってますね。」


「”まあ、それでビビる悪党が増えてくれれば、犯罪率も下がるんじゃない?

 こんな小悪党、相手にしてる暇も、本来は惜しいじゃん?”」


「いや、あれが皐月さんのやり方(スタイル)だ、っていうことは理解してはいるんですよ。意味があることもわかってます。

 でも小悪党相手だって……

 いえ、誰が相手であろうとも、油断は禁物です。」


「”おおぉ。言うねえ、先崎香里。

 流石は皐月の相棒だ♪”」


「…弥生さん、からかわないで下さい。」


 ひたすら軽いノリの通信相手の女の声に、困惑する少女。


 まあ、世の中に絶対、なんてことはない。

 小悪党相手に、人気のヒーローがまさかの返り討ちに遭う、なんてあってはならないことが起こることも……



「あ! 召し捕ったり~!!!」



 ……なかったようである。







 ヒーローの捕縛発言で、辺りに再び歓声が上がる。


 なんてことはない、深夜未明の大捕り物劇は、

 ヒーローにとっては文字通り ”()()()”だったようである。




 小悪党は、ヒーローに活躍の場も見せつけられず、あい御用となったわけである。




 同心たちに引き渡され、その場は解散。

 やれ、一件落着となったのであった。





ーーーーーーーーーーーーー





〔え? 肝心のヒーローの活躍が全く見れてないって?

 

  それはしょうがなし! 

  いたしかたなし!!

  あんな小物じゃ魅せられるバトルに耐えられる道理なし!!


  気になるヒーロー、ダイアレスターの実際の活躍は本編にて!


  あ! お楽しみ頂きましょう!!!


  序幕はここまで!まずはここまで!!



 

  さあ!わたくし、講釈師が語りまするは!

  一人の少女の物語!!




  異色の! ”時代劇”×”変身ヒーロー”の物語!!



 『疾風堂々! ダイアレスター』



 いよいよ始まりであります!!!





  波乱万丈! 勧善懲悪!!

  愉快! 痛快!! どんなもんだい!!!

  笑いあり! 涙ありの!! 熱さ満天娯楽劇!!!


  わたくしの語らいに、しばしのお付き合いをば、願います!!



  お代はいくら、なんて野暮なコトは言いっこなし!


 



  貴方の人生の!

  ほんのひとときのお慰みにならんことを!!!!





  ではではでは………


  ”異世界ファンタジー時代劇”


  堂々の開幕でございます!!!!!!〕








 第一話、このあとすぐ投稿します。

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