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サンジョウの『天啓』

三条さんじょう 仏流さとるは、真面目な生徒だった。


どこにでもいる、ごく一般的な生徒で、高校デビューをして悪ぶっている生徒とも、その容姿から一目置かれる常春や剣丘などとも、また、その特異性から、注目されていた金星かなぼし 輝香みかとも、まったく違う、ごく普通の男子生徒だった。


強いて言えば、少々根暗なことが、彼の特長と言えたかもしれない。


外で遊ぶよりも家の中でゲームをして遊んだり、本を読むのが好きな少年だった。


そんな彼がハマったのは、中学生になってから手に入れたスマホで読むWEB小説だった。


最初は、当時話題のアニメの原作を読めるから、という理由で読み始めたのだが、豊富な数と、ごくまれに存在する良質な小説にのめり込み、今ではアニメ化もコミカライズもされていない小説を探しては読む、立派な読者の一人になっていた。


物語にのめり込み、ハマる人には、単純に読み込むのが好きな者もいれば、作者の真似をして書きたくなる者など様々なタイプがいるのだが、サンジョウは、その世界の人物になることに憧れるタイプであった。


つまり、コスプレイヤーの心境に近いのだろうか。


あこがれの、剣と魔法の世界で、『チート』を手に入れて生活することを夢見てきたサンジョウにとって、天使によって魂を複製され、『アスト』にやってきたことは、まさに夢が叶った瞬間であったのだ。


何度も、何度も、脳内で繰り返してきた、『異世界チートで俺ツエー』するためのスキル選びの場面。


サンジョウは積極的に発言し、結果、彼は自分が望む力を手に入れた。


軟体スライムの力』

『異世界チート』が出来る世界の中では最強クラスの力を得る、当たりの外れの『チート』。


『異世界チート』な世界観の作品を読み尽くし、シミュレーションをしてきたサンジョウが手に入れた時点で、彼の『異世界チート』な生活は保証されていた。


なのに、さらに『軟体スライムの力』を手に入れる時に、サンジョウは口から出任せで、天使に「『軟体スライムの力』が欲しいのは、別の皆に幸運が行くようにしたいからだ」と言ったのだが、結果として、彼は『準備』に置いて、好待遇を得ることになった。


準備中に、天使の分身が、『自己犠牲の精神を見せた皆様に誠意を持って答えたい。Fの力には3つではなく、5つの準備の品を与える』と言いだしたのだが、こっそりと、サンジョウに天使は頭の中で話しかけてきたのだ。


最初にその身を犠牲にし、『軟体スライムの力』を得たサンジョウには、特別に8つの準備の品を与えると。


だから、サンジョウは7つの装備を選んだ。


聖火の剣

聖水の盾

聖土の槍

聖風の弓

聖闇の鎧

聖光の衣

聖雷の鎚

そして、最後に一つ、アイテムを選んだ。

聖命の薬


それらを身につけたサンジョウは、もう、浮かれていた。


確実に、自分がこの八十八人の中で、もっとも優れていると、確信していた。


選びに選び、さらには選ばれたサンジョウは、天使から『火の力』もアナタが持つべきだったと言われ、そのとおりだと素直に思えていた。


……いや、そのとおりだと思ったが、同時に、違うともサンジョウは思っていた。


(……全てだ。僕は、ここにいる、八十八人の全ての力を得るべき人間なんだ。なぜなら僕は誰よりも優れているのだから……そう、誰よりも、何よりも!)


そんな『天啓』を、サンジョウは授かった。


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