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総合組合(ギルド)の新人職員3

その質問に、一瞬、葛藤した少年は、恐る恐るといった様子で聞いてくる。


「メディさんは、大丈夫、なんですよね? だから、その、『魅了の力』の人は……」


「ふむ、そうじゃのう。結論を言えば、『魅了の力』の持ち主は、この村から追い出した。ある程度尋問して、謝罪と慰謝料を支払ったからのう。法律通り、対処したわい」


「法律……ですか?」


「ああ、そういえば、あまり一般的じゃないかもね。『魅了の力』みたいな人を操る力を無断で他人に使用した場合、罰があるのよ。だいたい、操った時間や、操った人の身分、あと、どんな種類で操ったのかで罰の大きさが違う」


「今回は単純な魅了じゃったからのう。時間も短かったし、初犯じゃった。だから、罰金ですんたというわけじゃな」


ウィッスンたちの説明を聞き、少年はポツポツとなにやらつぶやく。「……法律」「罰があるなら」「種類……」そんなつぶやきだ。


少年は、考えをまとめたのか、ウィッスンの方を見る。


「法律があるってことは、結構いるってことですか?その、『魅了の力』程度なら」


「そうじゃの。単純な、Fの『魅了の力』程度なら、王都に100人くらいおるんじゃないか? さすがにこの村にはおらんがの。それでも、術師を目指すものならば、常に警戒し、対応出来ねばならん『力』じゃ」


ウィッスンの言葉にメディはシュンと肩を落とす。


「……100人もいるんですか?」


少年は、驚愕を隠そうともせずに顔に浮かべている。


「Fの力なら、ダンジョンやら神秘が残っておる地で手に入る『神秘物アーティファクト』で身につけることが出来るからのう。安くはないが、買えなくもない『力』じゃな」


「それに、『魅了の力』なら、自力で神秘に触れて身につけることも出来るだろうし」


「はぁ……」


「なんじゃ? そんなに『力』のことが気になるかの?」


「へっ!?」


ウィッスンの指摘に、少年は素っ頓狂な声を上げる。


「い、いや、そんなことは別」


「ははは……まぁ、どうでもいいことじゃがな。それよりも、お前は早く鑑定をしてあげんか。この小僧が気に入っておるのかもしれんが、仕事は仕事じゃろうに」


「はいっ!?」


ウィッスンの指摘に、今度はメディが素っ頓狂な声を出した。


「なにを言っているんですか!? 私は別に……」


「こんな田舎じゃ出会いもないからのう。有望そうなヤツに唾をつけておくとは、有能じゃ。頑張れ頑張れ」


「違います! その髭引きちぎりますよ!!」


メディの怒りを、ウィッスンはカラカラと笑い受け流す。


ちらりとメディは少年を見るが、少年も気まずそうに笑顔を浮かべるだけだ。


「……もう! ほら、用がないなら帰ってください」


「ワシの用事はその薬草を買い付けじゃから、査定が終わるまで帰れんのう」


「ああ、ウザい!!」


メディは、イライラしながら薬草の鑑定を続けた。


(……まったく、私がこの子に気があるわけないじゃない。そもそも、名前も知らないのに……)


そんなことを考え、薬草の鑑定と査定を終えたメディは、買い取りの時に、気が付けば少年の名前がカグチであることを聞き出していたのだった。



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