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総合組合(ギルド)の職員2

「実力を隠している……かもしれないけど、もしかしたら、何かしらの『力』を持っているのかもね」


あー、とグルグの意見に、ロットは得心がいく。


「『力』持ちですか。そういえば、昨日もいましたね、変なおじさん」


不快なことを思いだし、ロットは眉をひそめる。


「豪華なローブと短剣を身につけていた、格好だけは一丁前な変態。総合組合ギルドの受付に来たと思ったら、私とメディに『魅了の力』を使いはじめて……かわいそうに、抵抗が遅れて、メディは少し『魅了』状態になって……」


ロットは拳を握る。


「昨日のあのおじさんを、やっぱり拘束して尋問しておけばよかったんですよ」


怒りをあふれ出しているロットに、グルグは恐怖のあまり苦笑いを浮かべるしかない。


「いや、本当に……昨日は本当にすまなかった。上でもまだ対応の方針が決まっていなかったから、メディもウィッスンさんの薬で完治したし、本人も謝罪の言葉を出していたから、結局厳重注意だけってことになったからね」


そのおじさんは、今朝早くに、『ドルフ』の村を経っている。

どこの国かわからないが、本当に貴族や王族の子息かもしれないのだ。謝罪があった以上、あまり大事に出来なかったのだ。


「謝罪っていっても『ごめんなさい。無意識で出していました』とか言っていましたよ? あれ、絶対に反省とかしてないですって」


「その『無意識』も、あまり強く追求出来なかった点だよ。本当に、害意を持って『魅了の力』を使おうとするんなら、こんな開けた場所で、人目につく場所で使うわけがないからね」


「それはそうですけど……」


不服そうに、ロットは口をとがらせる。


「それに……その『無意識』っていうのも、今回の件の鍵かもしれないよ?」


「というと?」


「どこかの国が集めていた『力の持ち主』を、実践に投入するための実地訓練。それが今回の豪華な装備を持った大量の若い子達が現れた原因かもしれない」


「なんですか? それ? グルグさん、いくら何でも夢物語すぎますよ。『力の持ち主』なんて、そうそういるわけでもないのに」


ロットは、くすりとグルグの推測を笑う。


「いや、そこまで的外れじゃないと思うんだ。ロットも気づいただろ? あの子たちの装備の数に、差があるって。あれは、あの子たちが持っている『力』の強さによるんじゃないかな? つまり、強い『力』を持っている子ほど、装備が弱くなる。『魅了の力』と同程度の『力』じゃ、あの装備で森で採取なんて出来ないからね」


熱心に自分の推測を語るグルグに、ロットは冷めた目を向ける。


「はぁ……まさか、報告書に、そんな空想を入れたわけじゃないですよね? グルグさん?」


「……いや、それは、さすがに。っと、噂をすれば、だ。返信だ」


会話中、グルグが常に手をおいていた、木の板のような報告書。


その報告書が、ぼんやりと光る。

すると、書かれていた文字が消え、新しい文字が浮かび上がる。


「……あの子に関しては、待遇を良くして、情報を聞き取れ、か。しかし、深追いは禁止、と」


グルグは、浮かび上がった上からの指示を一通り読み、要約する。


すると、別の木の板が光始める。


「……ん? 領主様から? あと10日は足止めしろって……」


グルグは困ったように頭をかく。


「……直接、観察したいってことでしょうか?」


この一帯を治める領主様からの指令に、ロットは息をのむ。


「……どうだろうね。でも、待遇を良くしたら、すぐに出て行くだろ、あの子」


グルグが息を吐く。


「え? どうしてですか?」


「他の子たちも王都に向かったんだ。なら、あの子もある程度金銭が貯まったら王都に向かう可能性がある」


グルグは指をおり、考える。


「馬車の値段と、滞在費。50,000ロラは持っていきたいだろう。あの子が本当に無一文でも、待遇を良くしたら、10日はちょっとキツいか……?」


通常通りの相場で買い取っても、厳しいだろう。


「……また物々交換ですか?」


「あー……出来るかな? 今日で必要なモノは揃えただろうし、それでもギリギリだ」


グルグは、背伸びをし、木の板、『端末タブレット』をコトリと机の上に置いた。


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