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買い取り

「え……えっと……」


「このウィッスンさんは、この村で薬剤師をしているの。薬草や木の実はだいたいこの人が総合組合ギルドから買い上げていくから、どうせなら、ね」


「ふん、買い上げるなんて、いつも売っとらんくせに何を言うか。結局必要な薬草のほとんどは、栽培したモノを商人から買うか、儂が自分で冒険者アドベンチャーに依頼を出して採取してきてもろうとるじゃろうが」


「あんまり採ってくる人がいないからしょうがないじゃないですか。それに、依頼の出しすぎで、どれだけ総合組合ギルドにツケが溜まっていると思っているんですか?」


なんて話をしつつ、ウィッスンは、総合組合ギルドの机の上に置かれた、さきほどカグチが職員に見せたヨモギみたいな草と、ベニバナみたいな花を手に取っていた。


「……ふむ。『ハイエコリター』と『ザフロア』で間違いないのう」


「……買い取ってもらえますか?」


カグチは、ウィッスンと、そして緑色の髪の職員をみる。


「……ええ、もちろん。二つとも総合組合ギルドでの買い取りの対象となっている植物ですから。道沿いの雑草には中々生えていない植物ですからね」


緑色の職員は、良い笑顔をしている。


まるで、幸運でしたね、とでも言っているように。


(……あー、これ。偶然、道沿いに生えていた奴を採取したと思われているな)


それほどまでに珍しいのだろうか。

だったら、あまり大量に見せないほうがいいのか。

カグチがこれからの対処を検討していた時だ。


「……これだけか?」


と、ウィッスンが、鋭い目つきで見てきた。全て見透かしているような、鋭い目。


(……こりゃ、隠すのは無理そうだな)


ウィッスンの目に、早々と隠すのをやめることにするカグチ。


目立たないようにしながら俺ツエーもいいだろうが、カグチは別にこの村に住もうなんて考えていない。


だったら、多少目立ってもいいだろう。


それよりも、お金だ。買い取ってくれるなら、売った方がいい。


カグチは、風呂敷に入れていた薬草を次々と取り出す。

最初に見せた二つ以外にも、キノコや木の実、他の花や薬草もある。


一〇種類くらいの植物を並べると、総合組合ギルドの職員達も、そして、ウィッスンも目を丸くしていた。


(……さて、どうなる)


ウィッスンは、慎重に一つの木の実を手に取ると、検分を始める。

カグチが『桃』みたいだな、と思った木の実だ。


「『プロズリー』か。こっちは『モッター』この葉は『ギンゴウ』。『アンストンプリズ』もあるな」


ウィッスンが出す名前に、組合ギルドの職員は明らかに驚き、固まっていた。


赤い髪のお姉さん、ロットは、ウィッスンが検分を終えた『プロズリー』をみる。


「良い香り……でも、自然になっているの?」


「森の方では、見かけるって聞いたことはあるけど……」


青い髪のメディも、ウィッスンの検分を手伝っている。


「これは『ジトウネン』ですね。こんなモノまで……ん?」


メディは、なぜかウィッスンが脇によけていた根っこがついた草を手に取る。


「これは……」


「あっ! こりゃ!!」


ウィッスンは、慌ててメディが手にした根っこを取り返そうとするが、メディは巧みに距離をとり、避ける。


「これ、『カルラウネ』じゃないですか! 天然の!? 粉末じゃないの、はじめてみた!」


メディの言葉に、他の組合ギルドの職員達も根っこに注目する。


(あー……やっぱりレアか。それ)


何となく、葉っぱが似ていたから、切らずに引っこ抜いたが、少し白い根っこの、二股に分かれた、人のようにも見える人参みたいなモノが出てきたのだ。


白い、人参。しかも、人型。


カグチが思い浮かべた植物は、『高麗人参』。と、『マンドラゴラ』。

『地球』では、一方は最高級の漢方の材料で、もう一つは伝説の植物だ。


ここでも、どうやら二つを組み合わせたような『カルラウネ』は似たような立場の植物のようだ。


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