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sideA1)削除された創作童話 『蛇の印』 冒頭
【創作童話】蛇の印
作 みなみのうお
「こまった、こまった!」
いつもは美しい声で楽しそうに歌っているコマドリが、悲痛なさえずりを上げました。
「お嫁さんが生んだばかりの卵を、食いしん坊ヘビに見つかっちゃった!」
「やあ、それはお困りだね。あいつは執念深いからなぁ。卵はきっと食べられちゃうよ!」
イタズラ好きのリスがちゃかします。
この罰当たりのリスは、他人がビックリしたり困っているのを見るのが好きなのです。
げらげら笑っているリスですが、あまりに大笑いをしすぎたので、枝から落ちてしまいました。
リスが地面に衝突する前に、さっと手を伸ばして抱き留めたのはアナグマでした。
「やあ、ありがとう。おかげで痛い目にあわずにすんだよ。」
乱暴者ですが優しいところもあるアナグマに、いたずらリスはお礼を言います。
けれどもリスは、アナグマの顔を見て、背筋が寒くなりました。
アナグマが真っ赤な顔で怒っていたからです。
アナグマは、何も言わずにリスを地面に叩きつけると、足でグイグイ踏みつけました。