その日の放課後(1)
【4】
「やあやあ、お疲れ。今日も素敵だったわよん」
授業が終了した。移動する人波に紛れブライカが手を振っていた。エトリはそれに頷き、視線を返した。
「付き合うなら自分より強い人って言ってなかったっけ?」
「……言ったっけ?」
はるか後方では監督教師たちが何やら話し込んでいる。その片側にブライカは視線をやった。
「じゃあ嘘だ。そんな人いないもの」
あっさりとエトリは断言した。実際そのような発言に覚えはなかった。会話の中で適当な相槌を打った結果、そういう事になっていたということか。
彼女にしてみれば、恋人に求める条件などとは考えたこともないのだが。
「自分より強い男が条件なんて、なんという身持ちの硬さだ、コイツこのまま処女貫くんじゃね、とか思ってたんだけどねえ」
「けれど優しくて、とてもいい人よ」
あまり感情のこもってない評価に、気のない口笛で返事を返した。
「優しさね。そういうのも大切だとは思うけど。まあお幸せに。たまにはあたしたちとも遊んでよね」
「うむ。じゃあ、早速今日の放課後は、前行きそびれたあの店に食べに行きましょ」
「素直に食べ歩きにはならないと思うけどね」
そのままブライカは手を振りながら逃げるように去っていった。教師たちがこちらを見ていたようだ。
「さてと……」
エトリは場内の整備を始めた二人の教師を確認すると、そのまま通用口へと歩いて行った。




