13 スキだらけの放課後
仲直りから1週間、毎日のように放課後、フィスが学校まで迎えに来てくれるようになった。
妖精は普通の人間には見えないから出来る事であって、フィスの事がみんなに見えていたら、大変な騒ぎになっていたのではないかと思う。だってフィス可愛いし。
フィスは、ホームルームが終わる頃に飛んできて、私の肩に座って、ニコニコしながら私と私の友達との話を聞いていた。
じっと黙って、きっと私の事をもっと知ろうとしてるんだと思うけれど、私たちの会話を聞いていた。
仲直り以降、今度こそ約束を守ってくれるようになったフィスだったけれど、今度は従順すぎる。
はじめの時からすると、気持ち悪いほど素直に言うことを聞いてくれるし、滅多に私の嫌がる事をしなくなった。
なんだか人が変わったみたい。
でも、大人しいフィスになってから一回だけ、我慢のしすぎで辛くなったのか、泣い懇願してきた事があった。
「ずっと一人で寂しいのです。だから、だからガッコーまで行かせてください」
って。少しでも長く私と一緒にいたいらしい。送り迎えだけでも、終わったらちゃんと帰るからと、もうそれは滝のような涙を流しながらお願いされた。
可愛いやつめ。一人でずっと留守番をしてて寂しかったんだな……と反省して、送り迎えをお願いすることにした。
それを告げたときのフィスはそれはもう、天使かよと思ったくらい可愛かった。
「じゃあね、みこっち、ちーちゃん」
「また明日ー」
「じゃーねー」
二人と別れ、もう家まで一人になった。……いや、フィスがいた。
「今日もお迎えありがとね、フィス」
「ふえっ!? べ、別にいいのですわ! 寂しかったとか、早く会いたかったとかじゃないんですわ!」
「ふふっ。ありがとう」
「ふあっ……♪」
顔を赤らめてそっぽを向く、いつも通り素直になれないツンデレさんの頭を撫でながら歩く。
フィスは私の隣を、綺麗な銀色の翼を、心なしかリズミカルに羽ばたかせながら、私が撫でてあげたところを両手でおさえながら付いてきた。
……そんなに嬉しかったのかな?