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11 ニンゲンの温もり
夢をみていた。
暗くて、恐ろしい夢だ。
見えるもの全てが闇。すぐ近くにあるはずの手も、指も、体も、何も見えない。
まさに今の私の心を表しているかのような夢。
全てが暗闇に閉ざされ、行く先も分からない。
カナ、ごめんさない。
思い浮かぶ言葉は、たったその一言だけ。
カナ――――。
その時。
柔らかい、暖かい温もりが私の全身を包み込みました。
まるで、まるでお父様やお母様が傍にいてくれるかのような、優しい温もり。
…………カナ。
私はすぐにカナだと分かりました。
何故だかは分からないのですけれど、カナだなって。
このとき、私はとても救われた気持ちになれました。