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スキのありすぎる妖精サマと私  作者: 姫宮煌輝
10/13

10 スキだらけの寝顔

 すすり泣きを聞きながらの勉強は、全く手に着かなかった。


 言い過ぎたかなぁ。……こんな異郷の地にたった一人で来て。普通の人間(・・・・・)には妖精が(・・・・・)見えない(・・・・)から、助けを求めようにも誰にも気づいてもらえず。


 痛いほど気持ちは分かる。


 言い過ぎたなぁ……。

 感情に流されすぎた。

 はぁ。仕方ない。


 私は席を立って、泣きつかれて寝てしまったのか、静かになった鳥籠の方へ歩く。


 中を見ると、案の定、涙も乾かぬうちに寝てしまっていた。

 それに、耳をすませると、小さく寝言で、

「ごめんさない、カナ、ごめんさない……」


 と言っているようにも聞こえた。


「まったく、どこから私の名前を聞き付けたのだか……」


 私は、起こさないように静かに鳥籠の扉を開け、そっと妖精サマをつまんで手のひらに乗せた。


 そして、ベッドの枕元に毛布で小さな盛り上りと、ぬいぐるみ用の小さな枕を置いて、即席の妖精サマようのベッドを作ってそこに寝かせた。


 そして私もベッドに、うつ伏せになって妖精サマを正面に見るように寝転がった。


 妖精サマをよく見ると、長くて綺麗な睫毛、サラサラなライトグリーンの髪の毛、特徴的な、先の尖った耳。可愛くて、なんだかいとおしかった。


 そっと指で妖精サマの髪をそっと撫でる。

 ……思った通り、サラサラできもちいい髪。


 しばらく撫でていると、強ばっていた表情が、だんだんやわらかいそれになっていって、辛そうだった寝息も、穏やかになっていった。


「……おやすみ♪」


 わたしはそっと妖精サマの小さな手を取ると、その甲にそっと口づけをした。


 かわいい、いとしい、お姫様。やすらかにお眠り♪

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