1話「目覚め」
2話目です当分、こちらを優先します。
ふと意識を取り戻した私は、あれ? 思いながらも目を開けた。そこにはあたり一面の花が咲き乱れていたて、その奥には森が広がっていた。
「……ここ…は?」
訳が分からずキョロキョロと周りを見渡す。そこは本当に見覚えのない場所だった。
「…っ⁉︎」
しばらく何が起きたのかと呆然としていたが、ふと自分が撃たれた時の記憶が脳に蘇って私は体が竦む。
──そうだ私、あの時…。
1つ思い出すと次々に色々なことが蘇ってくる。銃弾を受けた時の痛み、火薬の匂い、私を撃った人の息づかいまで。
だが、それよりも気になることがあった。それはあの時かばった子供は大丈夫だったのか。犯人はどうなったのか。そして、太一…。太一は無事だったのだろうか。
「…っ…ぐすっ…うぅ」
考え出したら、涙が止まらなくなった。
──会いたい、太一に会いたい。
だがそれはもう叶わない、そう思うと余計に涙が溢れてきた。
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──どれくらい泣いてたかな……。
すでに涙は止まり、少し落ち着いてはきていたが心は、言いようのない喪失感が生まれるばかり。何もやる気が起きず私はただ、その場で呆然としていた。
「あ、あの…」
「⁉︎」
突然聞こえた声に私は驚き、声のした方を勢いよく向いた。そこには、腕にカゴを持った少女が私を見ていた。
「どうして、こんなところに人が…」
「……」
目を見開いて驚いている少女にどう声をかければいいかわからず言葉がでない。
少しの間が空いた後、少女がしびれを切らしたのか、
「えっと、あの、あなたはどちら様でしょうか?」
…と恐る恐る私に尋ねてきた。
「私は…」
名前を言おうとした私は名前を言っていいのかと戸惑った。ただでさえ知らない場所にいて、子供とは言え全く知らない人、やり過ごした方がいいかもしれない。
「あ!わたしから名前を言った方がいいですよね!私はこの森を抜けた近くの村に住んでいるニーナと言います!」
私があれこれ悩んでるのをよそにニーナと名乗った少女が元気よく挨拶をしてきた。
これじゃ私が名乗らないのは失礼かな。
「ううん、私の方こそ名乗らなくてごめんね。
私は上山未来と言います!」
私もニーナちゃんに負けないくらいで挨拶をした、しかし、ニーナちゃんはまたしても目を見開いて驚いていた。
「ん?どうかしたの?」
「え、ミライ様は貴族のお方なのですか?」
貴族?貴族とは確か……偉い人だ。私はごく普通の一般人です。というか。
「えっと…貴族?」
「貴族のお方ではないのですか?でも、家名を持っていらっしゃったから貴族様なのかと」
私が首を傾げているとニーナちゃんが説明をしてくれた。どうやら家名を持つものはそれなりの地位があり、そういった家名持ちの人たちのことを貴族と呼ぶらしい。
「苗字が貴族って、それじゃ私住んでたところはほぼ全員が貴族になっちゃうなぁ…」
貴族の定義がおかしくなりそうだ。
私が言ったことがわからなかったらしくニーナちゃんが可愛らしく首を傾げている。
「?」
「あ、いや気にしなくていいよ!」
「?…はい、わかりました」
未だに首を傾げているがわかってくれたようだ。
「それでちょっと聞きたいんだけど…」
「はいっなんでしょうか?」
とりあえず私は今、このお花畑がどこにあるのかとかここがどういったところなのかを具体的に知りたかったのでニーナちゃんに質問をいくつかした。
そしてわかったこと、これは先ほども聞いたがここはニーナちゃんの住んでいる村の近くの森を抜けた先にあるお花畑だということ、ここから村までは1時間程度歩くらしい。
「うん、ありがとう。わかりやすかったよ!」
「いえそんな、ミライ様のご期待に添えられたのなら良かったです。」
そう言いながら私たちは2人で微笑み合った。
読んでくださりありがとうございます。