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名も無き将軍の物語り  作者: 縞栗鼠
18/22

鍛冶村で仲間に加わる隻眼の男と火縄銃の一団

ガラガラガラ………………


パカッパカッパカッ…………


チャリオットと、それに続く二頭の馬が細い希望の路を走り抜ける。


長い遂道(トンネル)を抜けると、そこは清らかな泉が湧く場所だった。


ポロロロン~♪


目の前が開けると、吟遊詩人の乙女が奏でる竪琴の音が湖畔に響いた。


『あれを見ろよ!』


大男が皆に向かって呼び掛けた。


彼が指差す方を見ると、そこには屋根の上に月の形を象ったオブジェが掲げれる

集会場らしき建物があった。


吟遊詩人の竪琴の音に気付いたのか腰が曲がった長い白髪の老人が杖を付いてドアを開けてベランダへ出てきた。


『聖月老子……』


約束の預言者である少女が口を開いた。


湖畔の淵をグルリと周り老子がベランダに立つ集会場を目指す5人。


ババパーーーーーン


ババパーーーーーン


ババパーーーーーン


けたたましい発砲音が湖畔に響いた。


ヒヒヒーーーーーン》》》


驚いた馬が(いなな)き立ち止まった。


『なんだ?!、なんだ?!』


『俺たちは盗賊じゃねーぞ!』


『どうやら歓迎されてないようだな……』


大男と狩人の青年は互いに顔を見合わせた。


すると聖月老子と呼ばれる老人の後ろから火縄銃を持った隻眼の赤い髪をしたマッチョ風の男が現れた。


大男が彼の姿を見て大声で叫んだ。


『おーーーーい!!』


『隻眼じゃねーーーか!!』


大男の突然の呼び掛けに驚いた隻眼のマッチョ風の男が手を翳して眼を凝らして声の方に視線を移した。


『おーーーーっ!!』


『兄貴じゃねーーーか!!』


『久しぶりだぁなぁーーー!!』


『発砲やめーーーー!!』


隻眼のマッチョ男の指図に傍らの森の中から鉄砲を肩に担いだ一団が出てきた。


馬を飛ばして大男のところまで駆け寄る隻眼のマッチョ男。


パカッパカッパカッ………………


『ドウドウドウ!!』


『兄貴!』


『野蛮王との戦いで別れ離れになって以来だな。』


狩人の青年が大男の横に馬を寄せて訪ねた。


『顔見知りなのか?』


大男は、それに答えて隻眼の男の肩に手を掛けた。


『おう!』


『こいつは、俺の義兄弟だぜ。』


『そして、あそこに見える野郎どもも仲間だ。』


困惑の表情で事の成り行きを見守る先発隊の4人。


『ところで……兄貴は、何でこんなところにいるんだ?』


これまでの経緯(いきさつ)を、かいつまんで隻眼の男を話した大男。


『へぇーー?!』


『それじゃ、兄貴は黄金騎士様の兄弟分になったてうわけだなぁ!』


大男は隻眼の男と、(かつ)ての仲間に黄金騎士への臣従を促した。


『この鍛冶村へも、間もなく悪に手を染めた長老騎士団がやって来る!』


『奴らが到着する前に防御を固めるんだ!』


隻眼の男は、すっかり人が変わった曾ての大男に驚きを隠せなかった。


『まさか、賊長の兄貴の口から、その言葉を聞くとは思わなかったぜ♪』


『黄金騎士様という方は、とてつもなくスゲーお人らしいなぁ!』


『分かった、俺たちは兄貴の下に入るぜ!』


大男は隻眼の男の肩をポンポンと軽く叩いて仲間の一団にも視線を送った。


『俺たちはこれから、兄貴の下に入るぞーー!!』


『おーーーーっ!!』


一団は火縄銃を高々と掲げて迎合した。


大男は仲間を隻眼の男に紹介した。


『こっちの綺麗なネーチャンは吟遊詩人のお姫様だ。』


『そして、この女の子は約束の預言者』


『あの若い弓を持った男は森の狩人。』


『そのとなりの老人は昔、騎馬隊の将軍だったらしい。』


大男の話に驚きを隠せない隻眼の男と仲間たち。


『みんな、誰でも知っている有名人じゃねーーーか!!』


『こいつらを統べる黄金騎士様とは、大した方だなぁ!!』


杖を付いて、後から歩み寄って来た聖月老子が約束の預言者の前に片膝をついて少女に語った。


『待っておりましたぞ。』


『輪廻転生の預言者よ。』


その時、少女の紺碧の空のような眼と太陽の燃えるような眼が輝いた。


聖月老子は高く杖を掲げて言った。


『この鍛冶村へ約束の預言者が来たり!!』


『祝福と平和をもたらす道が開かれる。』











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