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怠惰

作者: ラーレ

ふと見上げると壁に掛かった時計がちょうど24時を指したところだった。





あの人はまた今日も帰って来ない。

買ってきたケーキや料理を冷蔵庫に片付ける。



サークルの飲み会と言っていたが嘘だということはわかっている。

きっとどこかで私より可愛い子たちと楽しくやっているんだろう。


そしていつものように私に会ったらきっとこう言うつもりなのだろう


「わりっあいつらの面倒みてたら終電のがしちゃってさー今度お詫びにどっか行こうぜ?」



その約束が果たされたのも数えるほどしかなかったが。




告白してきたのはあっちから。

流されるように付き合いだしたけどそれなりの関係を築けるよう努力はした。


可愛い洋服、化粧、料理......喜んでもらえることがうれしくていろいろやった。

デートもなんども行ったし彼の部屋のカギももらった。

そんな幸せな時も最初の1ヶ月しかもたなかった。


次第に約束の数が減り、ドタキャンも増えた。

女の影も誤魔化してはいるがわかりやすい。

時折相手の女の子から呼び出されることもあった。



私は噂には疎く知らなかったのだが彼は浮いた話の絶えないプレイボーイだったようだ。

交際を告げると幼馴染みに必死に止められた。

その時は彼を信じてみようなんてよくわからない使命感を感じたのだ。

今思えばドラマのような展開ではしゃいでいたのかもしれない。



彼の浮気が増えるにつれ冷静になっていく。

もともと恋愛に積極的なほうではなかったのだ。

むしろ今までが珍しかったくらい。


冷めてしまえばすべてがどうでもよくなる。

彼のために行動するのも面倒に感じる。

彼を責めることも感情に酔っていた最初だけで続きだしてからはしていない。

もちろん泣いてすがることなんてしなかった。

約束を断られてもなにも感じない。

まだ別れてないので彼女としてすべきことを事務的にこなしているだけ。


何故かすぐに私の様子に気がついた幼馴染みに告げると私らしいと安心された。

別れないの?と聞かれるが決定的な証拠がない。

最近は女子に呼び出されることもないため、理由にできない。

きっかけさえあればと待つ日々だった。



昨日は付き合って半年の記念日だった。

こんな感じで半年もよくもったものだと感心さえ覚える。

付き合い始めに半年の記念日は2人で過ごすと約束をしていたのだが彼はこなかった。

きっと忘れているのだろう。

私もあえて彼に告げたりはしなかった。



机に『今までありがとうございました。』とだけ書いた紙を置く。


既に彼の部屋から私を思い出すものは全て捨ててある。

携帯を変え、アドレスも変えた。

マンションも解約して実家から通うことにした。

やりすぎな気もするし彼も私がいなくなったところで探したりしないと思うのだが幼馴染みのアドバイスにより実行した。

面倒くさいとだれる私をひっぱりながらうれしそうに次々とこなしていったのはなんだったのだろうか。



彼も私を思い出すことはないだろう。

周りを見て頷き部屋を出る。

カギを閉めたらそのカギを新聞受けに落とす。







あぁようやく解放された。



名前が出てこない。

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