第一章☆第二話
蒼い海。
波も酷くはない。
ゆ〜らゆ〜らゆ〜ら・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・逆に暇だ」
ミズキは甲板にいた。
穏やかな風が髪を揺らす。
ミツキとドクロ(まとめて呼ぶときこう呼ぶことになった)たちは無駄にある、船の中の部屋でトランプ中だ。
今のところ、ドーが圧勝らしい。先ほどからミツキとクロの悲鳴が聞こえる。
人形に負けてますよ。人間。
はぁ、とため息をつき、ミズキは遠くを見る。
「あ・・・・・・・・・・・・」
そして、小さくつぶやいた。
「敵だ・・・・・・・・・・」
すぐさま、一人とドクロに知らせるため、船の中の部屋へ行く。
船の構造は、地下一階が生活すために必要な部屋(キッチン・トイレ・バス・部屋)がある。
地下二階は食料庫・武器庫などなど。
地下三階は特に何もない。これから何かを置く予定だ。
そして、迷惑なことに、一人とドクロは地下三階でトランプ中だ。
何故そこでやるのかは「気分」だそうだ。
猛ダッシュで地下三階まで降りる。
そして、一体何に使うんだ?というぐらいある部屋を見ていく。
幸いなことに、一つの部屋から光がこぼれている。
「―――ぜってー、ここには入れさせねェ・・!」
ミズキは怒りがこもった口調で言う。
「なんで、地下三階で一番奥の部屋なんだよ・・・急いでるんだよ・・・これも気分か?」
ミズキは急いで奥の部屋に行く。
そして、ドアをイキオイ良く開ける。
バンッ
「わっ」
「なんだ?」
「ミズキか?」
「ったく〜〜・・・敵だよ。もしかしたらのために、上に上がって来い!」
『えぇ〜〜〜〜〜!?』
ふざけんじゃねー。
・・・・・ジャンルを「コメディ」に変えようか。
「とにかく、来い!んで、そこでトランプでもなんでもしろ!」
『わかった!行くぞ〜!』
一人とドクロはすぐさま階段を駆け上った。
「子供め・・・・」
ミズキも急いで上に上がる。
上がると、一人とドクロ(めんどくさいので三人)が呆気に取られていた。
「どした?」
ミズキが声を掛けると、ミツキはミズキのほうを見た。そして、
「かっくいい!」
の一言。
今、海に突き落とそうかと思った。
と、その多数の船は、こちらに向けて、大砲を向けた。
「うわっ、イキナリ!?オイっ!ミズキ!舵を取れ!」
「・・・・・・・・ポチ」
ミズキがリモコンを取り出した。そして、そのリモコンの右矢印ボタンを押した。
すると、ゆっくりと船が動いた。
「・・・・・・・・・・・・・」
三人はまた呆気に取られた。
「二人じゃ人手が足りないから♪、という手紙があります。ここに、はい」
「母様ですね?」
「はい、そうです」
「便利ですね」
「はい、そうですね」
「・・・・・・・・・・・・・・・まぁ、じゃあ、準備しろ〜!接近戦は大丈夫か?」
ドーが二人に聞く。
『モチロン。コイツのせいで』
二人は同時にそれぞれを指す。
「そうか、じゃあ、まず大砲の扱い方だ・・・ってリモコンがあるな!便利だな〜!!」
クロは、ケラケラと笑った。謎だ。
「じゃ、まず弾を入れるぞ!ここから出る仕組みだな?」
ドクロたちは仕組みをさっさと理解していく。
そして、次々とこうしてくれ、と指示を出す。
二人は、それに従い、実行していく。
弾は床の仕組みから、大砲の土台まで運んきてくれるので後は弾を入れるだけだ。モチロン、二人の力では無理なので、大砲と繋がっている床の穴に弾をいれ、発射させる。
「結構、重いんだね」
ミツキはそういいながらも、弾を転がして穴に入れる。
大砲が床より低くてよかった。じゃなきゃ、持ち上げれないもんな。
二人はごろごろと転がしていく。ドクロも二匹で頑張っている。
と、ドオォン・・と大きな弾が二人の船に向けて放たれた。
「うわっ!」
目の前で大きな水しぶきが上がった。
「よしっ、準備は出来たな?よしっ、撃て――――ッッッ!!」
ドーが叫ぶ。
それと同時に、船から弾がいくつか放たれる。
それは、綺麗な放射線を描き、相手の船の近くへと落ち、大きな水しぶきを上げる。
「やったぁっ!」
ミツキは両手を挙げて叫ぶ。
が――――・・。
ドォーン・ドォーン・ドォーンと続けて放たれる弾。
「ひぃぃっ!」
「ミツキ!これを入れろ!」
ミズキは弾を思いっ切り蹴っ飛ばす。
それをミツキは足の裏で止める。
「なんか、サッカーに一瞬見えた」
これが、この重い弾ではなかったら、見事にゴールできただろう。キーパーがミツキではなかったら。
ミツキは蹴られてくる弾を続けて入れていく。
ドォン・ドォン・ドォン・・二人も負けてはいない。
まぐれで空中で当たったり、相手の船にぶつかったり。
こちらは、船じゃない、と言うほどに船が移動する。
なので、船に当たることはない。
しかし、周りでは水しぶきが何回も上がっている。
「水にも飽きたな・・」
ミズキが本音を漏らす。
「じゃあ、炎?」
オマエはこの船を沈ませる気か。
そんなことを思いながら、弾を打ち続ける。
と、その船がスピードをあげて、こちらの船に向かってきた。
「うわっ、来たよ?ミズキ〜!」
「うん、来たな。きっと接近戦あたりかな?」
「おしっ、オレっちたちは武器の用意だ!」
そして、二人は、近くに吊るしてあった短剣を持つ。
一人二本。二刀流だ。
二人は、一応貴族。自分の身は自分で守るということで、剣の使い方などを習っていて、以外にプロ並に成長した。
ドクロたちは、武器庫から、予備用にと、銃を渡してくれた。
「おいらが選んだんだ!いいやつだぞ!きっと!」
信用できねーよ・・。
「ホントに大丈夫か?」
ミズキは聞く。
「おう!オレっちたちに任せろ!てことで肩に乗せろ!踏み潰されるのは嫌だ!」
「うわっ、乗っかるな!って、ミツキ!オマエも一匹持て!」
「はいは〜い!」
そう言ってミツキはドーを肩に乗せた。(立っていることがすごい)
「よしっ!じゃあ、行くぞ!」
クロが叫んだ。
多数の船は、だんだん近づいてくる。
見てくれてありがとうございます。