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朝露と夕暮れの狂想曲  作者: 暇人、都築
3/4

文化系能力①

「そろそろ…俺が突入するべきかな。」

少年はそう呟き、

「「時間狂」、「夢世界破壊」…

「連立方程式」、発動。」


時間と空間を壊して飛翔した。


彼の瞳はまだ翡翠色だった。



out of step



禁忌が発動される前に、

俺が止めなくては。


その頃ーーー

「?!祐也ッ!!」

全てを破壊する兄の姿。

まるで人格が変わった様だ。


「俺は…アウリッシュを堕としてやる!!!」

兄は細長い刀を地面に刺し、


「「時代ノ牢獄干渉扉開門」はつどーーー


パキッ


空間が壊れ、能力を発動する時に唱える「法程式」も止まってしまった。


パラパラと音を立てる、空間。

瓦礫の中から出てくる青年。


「ふーっ、間に合ったかな?うん、間に合ったね。」


見渡しても池袋の街並みだ。

だが、アウリッシュがいる。

「何で僕も来てる訳ぇ?」

青年は答える。

「あんたはユーリオ家の人間だろ?

ユーリオ、フィアリア、楔、美郷…はまだいないか、この世界四大能力勢力家は「ある事」を起こすまで、友好条約を結んでる。

のに、あんたはどうしてそこまで楔を堕としたがるのさ?それが聞きたくて君も連れ戻したんだけど。」

アウリッシュは、言葉をつまらせ、体を震わせながら座り込んだ。

「うぐっ?!」

と同時に祐也までもがその場に座り込む。

青年は苦笑して

「あー、能力を使い過ぎたっぽいね。

とりあえずファミレス行こうか。」


×××××× ××××××

「まず、俺の名前はルカ=フェアリア。

名前から聞いてわかるだろうけど、フェアリア家の人間。で、そのカップルさんは?」

炭酸水を飲みながら祐也。

「いや、カップルじゃないですけど。

僕は楔 佐緒里(さおり)。楔家の人間です。

で、こっちが…楔 美華。僕の双子の妹です。」

そしてその傍に肉を頬張る侑樹。

「えーっと、楔 美華?です。記憶失っててよくわかりませんが、まぁ、よろしくお願いします。」

ルカは眉を顰め、「ふぅん。で、そこの

TTCは?」

少年は被っていたフードを取り、顔を見せた。

なんて整った顔なんだろう。

整った顔立ち、薄い翡翠の瞳と色素が薄く白と見間違える様な長い、パーマと見間違える様なほど上手くカールした金髪だった。

「僕はアリア=ユーリオ。アウリッシュって言うのは渾名。…そしてTTC。」

言い切った所でルカが仕切る。

「さて、一通り自己紹介が終わった。

次に今までの経緯を言っていこう。

俺は2011年から、そこの双子が今にもヤバそうなのをを「千里眼」で見て「連立方程式」でこちらへ来た訳。あ、「連立方程式」とかは後で説明するから。」

成る程と妹はうんうん頷くが兄には全く持ってわからなかった。

しかし、とにかく説明だけはしなくてはいけない。得意の要点整理でどうにか凌ごうか。

「えーっと、僕らは元の時代、2011年に遊んでたら、いきなりこうなった訳です。」

ルカはまた眉を顰めた。

美華は俯いている。

「次。アリア。」

アリアは説明し始める。

「僕はただ元の時代、2011年に昼寝してたら、夢の世界から連れていかれたんだ。

それで起きたらこうなってた。」

ルカはその事柄については理由が分かったのか、頷いて終わった。


「さて…佐緒里と美華に能力の説明をしないとな。まず、佐緒里の能力からだ。

佐緒里達の家系である楔は、本来なら

時間を飛んだり未来を見たりする…所謂(いわゆる)「時間系能力」しか使えない筈だ。

美華には悪いがぶっちゃけて言うと、

美華は「時間系能力」の一つである

「時間飛翔」を使ってこっちに来た訳だ。」

その言葉に佐緒里は、ただ、驚く事しかできなかった。

「何で…黙ってたんだよ。嘘も吐いて、

それほどの理由があるのか?!」

「仕方なかったんだよ…佐緒里を助ける為にはこうするしかなかったんだよ!!」

その言葉に佐緒里は食って掛かった。

「何だよ、俺のせいにするな!!」

口論が始まりかけたのを止めたのは、

アリアだった。

「まぁ、抑えて。で、ルカ。結局佐緒里の能力は?」

ルカはハッとした顔をして、

「そうだな。忘れてた。オイ、ちゃんと聞いてろよ?一回しか言わねぇから。」

少し落ち着いた所で、ルカはまた説明を始める。


「さっきも言った様に、楔は「時間系能力」しか使えない筈だ。美華は「時間系能力」を受け継いでいる。しかし、佐緒里は受け継がなかった。と言う事は無能力と言う事だ。だがどこから覚えたのかは知らないけど、

佐緒里には「文化系能力」、「絶対禁忌能力」という能力を合わせ持っている。

そしてこの時代に来たのはいい事だったんだ。」

「何でですか?」

刹那、時は凍る。


「お前のその能力のおかげで、

もし2011年に残っていたら、3年後の

16歳になる時…お前は消滅する筈だったんだ。それを見越した美華とお前らの母親が

安全だと判断したこの時代に飛ばしたんだ。」


アリアと美華は泣いている。

美華は「千里眼」で見てしまった光景を思い出してたのか、大粒の涙を零した。

アリアは自分の目的に関係あるのか、

ただただ悔し涙を流すだけ。


そして佐緒里はーーー


「お客様、お待たせしました。山盛りポテトです。」


店員の声など、虚無と化した。

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