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灼熱の銀の球体  作者: 佐屋 有斐
第一部第五巻「天秤の剣」
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九十八章 王太子 



第九十八章 王太子 





 景色が変わり、舞踏会の踊りが始まる前頃だろうか。大勢の若く美しい娘たちが王太子であるユイシスと、王弟であるレフェレントを取り囲んで挨拶をしていた。

 貴族の娘たちはピンクや黄色、ブルーなど淡く可愛らしいドレスに身を纏い、薄い化粧で身を飾り立てていた。皆、私こそが美しい花などいわんばかりにその身の美しさを主張していた。

 けれど、そんな中にいても、娘たちよりも頭二つ分以上背の高いレフェレントは化粧ひとつしていないにもかかわらず美しく輝いていた。花を照らす太陽のように、その場の視線の多くを奪っていた。

 娘たちはレフェレントに微笑みかけられると赤面せずにはいられなかった。この世の者とは思えない麗しい人物に声は喉からなかなか出てこなかった。

 レフェレントの清らかな声ですら、皆の者を魅了していた。

 レフェレントの方を向いていたユイシスに、「ユイシス様」と甲高い声の娘が声をかけてきた。ユイシスが目を向けると、目の前で上品にカーテシーをした娘は真紅のドレスに身に纏い、金糸のような細い髪を繊細に編み上げていた。作りものようなそれは恐らく地毛ではないのだろう。

 ユイシスは首を曲げて会釈して返した。

「これはこれは、ビチャム令嬢。子供の頃に会って以来ですね」

「はい、殿下。ようやくお会いできて嬉しいですわ」

 ビチャムと呼ばれた娘は背筋をまっすぐにして立ち直し、口元をにっこりと口角が均等になるように微笑んだ。

 ユイシスはビチャム令嬢の着ているドレスに僅かに目を向けてから、令嬢の目を見て言った。

「私もです。今宵はとても美しい装いですね」

「ありがとうございます。わたくし、赤が好きですの。似合っていると嬉しいですわ」

 ドレスのスカートを軽く右手で掴み、可愛らしく首を傾けたビチャム令嬢にユイシスは微笑んだ。そのドレスはまるでユイシスと対になるように作られたかのようだった。いや、その通りなのだろう。王太子であるユイシスの妃になるのは私だといいたいのだろう。

 ビチャム令嬢はユイシスから一切目線を逸らさなかった。近くには驚くべきほど美しい王弟のレフェレントがいるにもかかわらず、一度たりとも目線を外さなかった。ビチャム令嬢の目当ては王太子であるユイシスただ一人なのだ。

 ユイシスは微笑んだ顔を崩さずに言った。

「えぇ、とても似合ってます」

「そうだと嬉しいですわ。殿下、殿下は陛下に似てこられてとても素敵ですわ」

「父上様に似ているとは嬉しい限りです。今宵は十分に楽しんでください」

「はい、殿下。わたくし、ダンスはとても得意ですので。お待ちしておりますわ」

 積極的な言葉にユイシスはしばらく黙ってから頷いた。

「母上がそう望まれたのであれば、お誘いしないわけにはいきませんね。ーービチャム令嬢、私と踊っていただけますか?」

「もちろんですわ、殿下。そのお言葉ずっとお待ちしておりましたわ」

 偽りない笑顔を向けたビチャム令嬢にユイシスも笑顔のまま言った。「では、後ほど」とーー。


 ふっと場面が早送りしたように飛んだ。

 次に現れた光景は驚くべき光景だった。

 美しいレフェレントの正装の腹部に、背が低く小柄な茶色い髪を背に流した令嬢が飲みものをぶちまけてしまったようだ。黒くなったシミを見下ろしたレフエレントに令嬢は愛らしい声で言った。

「申し訳ございません、殿下。余所見をして、躓いてしまいましたわ……。私ったら、なんてことを。早く拭かなければ、シミになってしまいますわ」

 令嬢はドレスのポケットに忍ばせた上等のハンカチを取り出して、濡れた箇所を拭こうとしたが、レフェレントは一歩後ろに下がって手を横に振った。

「いいえ、私は大丈夫です。それよりも、あなたの方こそさぞ驚いたでしょう?どうぞ、私のことはお構いなく。新しい飲み物を取りに行ってください」

 その場にいた令嬢たちはレフェレントの優しい言葉に「まぁ」とうっとりとため息をついた。

「どうかしたのかしら」と真紅のドレスを纏った王妃ライザナが近づいてきた。

「姉上様」と動揺した様子でレフェレントは呟いた。

「王妃様、申し訳ございません。私の落ち度でございます」

 令嬢は頭を下げてドレスの裾を持ちあげて恭しくそう言った。ライザナはレフェレントの服の染みに目を落として、クスリと笑い言った。

「大変だわ、着替えが必要ねーー確かにあなたの落ち度だわ。レフェレントに付き添って頂戴」

「かしこまりました。王妃様」

 令嬢は俯いたまま口元を綻ばしていた。他の令嬢たちは冷ややかな目で見ていた。王妃より直々に、レフェレントとの交流をもつ権利を得たもの同然だった。令嬢はわざと飲み物をレフェレントの服にかけたのだ。

 しかし、王妃は令嬢の思惑に気づいたが、レフェレントは気づいていなかった。遠くから見ていたユイシスは気づいていたというのにーー。


ふわっと場面が急速に変わった。

 暗い部屋の中、ユイシスは自室の床に座り込んで壁に身体を預けていた。深赤と金が刺繍された正装の首元のボタンをだらしなくあけていた。先ほど見た舞踏会の後のようだった。

 ユイシスは虚に開いた薄いカーテンが踊る大きな窓の向こう側を眺めていた。そして、ユイシスは呟いた。

「ーーもし、私が父上様の子でなく。もしも、血の血の繋がらない赤の他人で、そして、なによりあのような華奢な娘であったならば……これほど苦しむことはなかったのだろうか……」

 ユイシスは涙を流して胸元をぎゅっと握りしめた。


 景色はまた掻き消え変わった。

 明るい日差しに包まれた赤や黄色の華やかな庭園をレフェレントは歩いていた。服装は白地に金の刺繍が施された華美な上着を着ており、下には黒いズボンを履いていた。足の長さが強調されているようなデザインだった。

「レフェレント様、ご機嫌よう」と、甘く名を呼ばれ振り返ったレフェレントは側に駆け寄ってきた令嬢に苦笑した。

「ご機嫌よう、ミフィア令嬢。随分とお時間より早くお越しになられたのですね」

「約束のお時間が待ちきれず、早めに登城してしまいました。ご迷惑でしたでしょうか?」

「……いいえ、そんなことはございません。よければ庭を散策しませんか?」

「まぁ、喜んで!」

 レフェレントは腕を差し出して、ミフィア令嬢が小さな手を置いたて歩きだした。二人はしばらくして庭園の並木道を歩きはじめた。爽やかな風が木々の間を通り抜けていった。そして、ミフィア令嬢は靡く茶色い髪を抑えながら仰ぎ見たレフェレントの容姿に、うっとりとした表情を浮かべた。 

 金味を帯びた茶色い髪が揺れて目の前を柔らかに踊るたび、レフェレントは綺麗な目を細めた。しかし、その些細な変化さえ、実に絵になるのだ。ミフィア令嬢は頬を染めて俯いた。そして、言った。

「私がレフェレント様の伴侶になれれば、このうえない幸せでございます」

「えっ?」

「私は至らぬところばかりですが。レフェレント様の妻としてーー」

「きゃああああ!」 

 突然、並木道の向こうある背の高い垣根の方で女性の叫び声が聞こえた。レフェレントはミフィア令嬢に「ここでお待ちください」と言った。

「レフェレント様!」

 ミフィア令嬢が呼び止めるのを聞かず、レフェレントは並道の向こう側に行こうと、垣根の途切れる場所まで走り、そこから垣根の反対側を見てみると、侍女が地面に倒れていた。そして、その傍らにはアミアガリアが腹部を抑えて地面に蹲っていた。服部を抑える手からは鮮血が滴っていた。

 レフェレントは真っ青になって叫んだ。

「兄上様!」

「ーーあなたが悪いのよ!」

 アミアガリアを見下ろすように女性が立っていた。よれよれの汚れた寝巻き姿のイーユが血のついたナイフを震える手で握りしめていた。

「手当たり次第、誘惑してーー。どうしてなのよーー。私の気持ちを無視してーー」

 イーユはこめかみから冷や汗を流し、視点の定まらない目でどこか宙を見つめていた。顔は灰色がっていた。血色が悪いどころではない。明らかに異常な状態に陥っているようだった。

 レフェレントは跪いてアミアガリアの前で狼狽えた。何をどうしていいのかすらわからなかったのだろう。

「私が許さないわ」と何やら呟いた後、イーユはその場から瞬く間に跡形もなく消えた。

 しかし、そうしている間にも地面に蹲るアミアガリアの顔色は白くなりつつあり、鮮血が地面に血溜まりを作りはじめていた。

 レフェレントはその真っ赤な血を見て正気でいられなかったのだろう。

「兄上……嫌だぁああ!死なないでください。私を置いていかないでください」

 レフェレントはアミアガリアの身体に手を差し伸ばした。すると、レフェレントの紫色の瞳が微かに白味を帯び始めそのうち紫の一部が赤となり、赤の次にオレンジ、黄色となり、黄色は緑に、緑は青へ……そうして、虹色となった。その瞬間、レフェレントの周囲に風の輪ができた。その風の輪の勢いのせいか、地面の血溜まりは波立ち始めた。そして、なんということだろうか、血溜まりの血は一度は滴り落ちたというのに、血溜まりの血は滴となり宙に浮き、すべてアミアガリアの腹に向かって逆に戻っていったのだ。

 腹部にできた傷はじわじわと修復されたが、「ううっ」とうめいた後、アミアガリアは気絶した。どうやら強引な治癒により、身体がショックを受けたのかもしれない。

 レフェレントの瞳の色は紫に戻るにつれて、レフェレントは自身の差し出した手を見下ろし、苦しむのではなく寝息を立てたアミアガリアの姿を見て、ほっとした表情を浮かべた。

「神様だわ」と近くでは驚いたような複雑な恐怖を滲ませた顔で侍女が言った。

 レフェレントは「ーーえっ?」と言うと、「レフェレント様!」と遠くから衛兵を連れて駆けてくるミフィア令嬢の姿があった。

 

 景色がふわりとまた変わった。次の光景は、アミアガリアの王の寝室のようだった。

 ベッドに横たわるアミアガリアは静かに寝息を立てていた。傍らで金縁の椅子の座る王妃であるライザナは涙を流しすぎたのだろう、化粧が流れて汚れていたが。上等のハンカチーフで涙を拭うことしかしなかった。

「母上」と王の寝室にやってきたユイシスは心配そうに父王を遠目に見ていた。

 ライザナは鼻を啜り、小さく息子を手招きした。ユイシスは頷いて母親に近づいてから中腰になった。ライザナは近づいてきた息子の手を両手で包み込むようにはさんだ。

「ユイシス、あなたの叔父様のおかげで命に支障はないそうよ」

「それは……」

「だけどね、陛下は完全には完治しているわけではないの。しばらく休養が必要なのよ、わかるかしら」

「はい、母上様」

「陛下が休まれている間、政をしなければなりませんわ。ですが、わたくしは陛下のお側から離れることはできないの。イーユ様がいつまた現れるか心配ですし。邪な者が陛下の足を引っ張ろうとしてくるやもしれませんわ」

「邪な者?」

 ライザナは両手で今度はぎゅっと息子の手を握りしめて、息子に顔を寄せ小さな声で言った。

「ユイシス、いいこと。王妃である私や、王太子であるあなたの地位を狙っているものがどれだけいるのか意識なさい。アミアガリア様はこの国の君主。同胞の王の中の王。あなたはその息子よ。王太子として、この国の政をしっかりと牛耳りなさい。さもなければ、あなたはその首を狙われますわよ」

 ユイシスは母親が何を言わんとしているのか、わからず瞬きをした。ライザナは言った。

「城に仕えるものを安易に信じてはならない。ビチャム令嬢のお父上を利用なさい」

「ビチャム公爵をですか?」

「あの方は娘を王妃にし、孫が王位に就きさえすれば満足するわ」

「しかし、母上。私はビチャム令嬢のことをーー」

 ライザナは息子の手をぎゅっと握り引き寄せた。

「ユイシス、婚姻を経てから愛が芽吹くこともあるのよ。わたくしは婚姻前からあなたのお父上を慕っていたけれど、お父上がわたくしを大切にしてくれるようになったのは婚姻してからのことだわ。ビチャム令嬢もあなたに夢中のようだから、あなたはじっくり時間をかければいいだけよ。もし、婚姻後、どうしても愛せなければ、些細な遊び程度なら許してもらいなさい。あなたはどのみち王になるのだから、令嬢も火遊び程度なら我慢するでしょう」

「母上……」

 ユイシスは辛そうな顔をした。ライザナはまさか息子に想い人がいるとも知らず、婚姻を嫌がっているだけだと思ったのだろう。母は息子の頬に手をあてて言った。

「あなたもいつまでも、子供のままではいられないのよ。困ったときは、この母に言いなさい。わたくしが力になるわ」

「はい、母上様」

 

 ふわりと景色が変わり、今度の景色は玉座の間のようだった。

 父王に代わり、ユイシスは十段ほど高い位置に造られた玉座に座り家臣たちから政の話を聞いていた。家臣たちの説明を聞きながら、王座の傍らには茶髪の腹部が豊かな小太りの男性が立っていた。背はやや高く、上等な青の上着を着ていた。茶色い髭を蓄え、気難しそうな顔をしていた。この男性こそが、ビチャム公爵なのだろう。ユイシスの側で、家臣たちを威圧的に見下ろしていた。

「パルペルト侯爵、前へ」とビチャム公爵が言った。

「ごきげんよう、王太子殿下。ビチャム公爵様」

 ユイシスは頷き、ビチャム公爵はユイシスが頷いた後にあえて頷いた。すでに義理の父として意識しているのが明らかだった。

 パルペルト侯爵は言った。

「王太子殿下、今度の傭兵どもはなかなか良いと聞き及んでいます。物資交渉の傭兵戦争では今度こそ、我が国が勝つことでしょう。ですので、是非とも増額の書類をお通しいただきく存じます」

 ユイシスは侍従から書類を受け取り、さっと目を通した。そして、傍らに立つビチャム公爵を手招きして何やら耳元で囁いた。ビチャム公爵は頷いた後、小さく囁き返した。それから、ビチャム公爵はパルペルト侯爵に言った。

「最北の傭兵の島から数名雇い入れると書かれているがーー」

「はい、さようにございます」

「海賊の島の隣にある島の出の者ということか?」

「さようにございます。しかし、ご心配なく。海賊出身の者ではなく。海賊どもとは一線を引く者たちにございます」

 ビチャム公爵は傲慢そうに言った。

「王太子殿下にもわかるように詳細を述べよ」

「かしこまりました。彼らは代々傭兵を営む一族の血筋でございます。代々、島を出て、大陸へと出稼ぎに出る生業をしており。子供の頃より、戦う術を身につけた強者ばかりが揃っているそうです」

「そのような者たちがいると聞いたことがない」とユイシスがよく通る声で言った。

「これまでは北の地に住まう、我らの同族が匿ってきたからでございます」

「匿う?」とユイシス。ペルパルト侯爵は小さく頷いた。

「さようにございます。我が国は大陸の中央に位置し、戦いとは無縁の地にございます。ところが、北や南、西や東など、大陸の端には下々の一族から離反した無法者どものが暮らしているのです。我らの一族の末端もの者のうち北へと移住した者たちは、身を守るために彼らを雇い従わせたことが傭兵の起源となり。彼らに小さな島を与え、そこに暮らせました。海賊の島と言われる島は、後年になり海賊たちが勝手に住みついたと聞き及んでおります」

「ほう。興味深いな。しかし、北にはランガムという我らの同胞の国が建ったはず。彼らは何も言っては来ぬのか?」

 ユイシスの問いに、ペルパルト侯爵は微笑んだ。

「いくらランガム王とはいえ、支払いが終わった傭兵の出の者を従わせることはできません。現ランガム王の一族は、傭兵の島を作るルーツとなった一族とは異なるのです。彼らは滅んだため、傭兵の出の者たちは金さえ支払えば、どの国の傭兵としてでも戦います。その腕は並のものでは敵わず。傭兵十人分ともいわれております」

 ビチャム公爵はふんと鼻息を吐いた。

「たいそう、侯爵は評価しているのだな」

 ペルパルト侯爵は頭を下げた。

「もちろんにございます。彼らの腕前を見れば、殿下や閣下もさぞ驚かれることでしょう。彼らの中で特に気に入った者がおり呼び寄せたいのですが。特別値が張るため、こうして正式に書類申請をいたしました。彼らを雇い入れれば、国としては大きな戦力となりましょう」

「それほど言うのであれば、侯爵が自ら雇い入れればどうだ?」とビチャム公爵は言ったが、ペルペルト侯爵は首を横に振った。

「残念ならが、できないのです。彼らは下々の血は引いておりますが、戦いにおいては誇りがあるのです。特に、私が雇い入れたい者は一家門に従うような者ではないのです」

 ユイシスは熱意溢れたパルペルト侯爵を玉座から見下ろしてしばらく黙っていたが、「殿下」とビチャム公爵に声をかけられて、ようやくユイシスは口を開いた。

「その特別な者がこの地に辿り着くには間に合うのか?傭兵戦争はこれから六ヶ月後のことだ。遠く離れた北の地であれば、到着まで時間がかかることだろう」

「問題はございません。傭兵の島の者の脚力は我らの常識を遥に越えているのです。三月もあれば、我が国に到着していることでしょう」

「随分と早く着くのだな。早馬でもいるのか?」

「彼らはどのような手段を使っても、期日は守る者たちです。その点では、信頼に値する者たちともいえましょう。隣国たちもすでに動き始めております。仮契約を結んでいるからこそ、繋ぎとめておりますが。支払いが済まない限り、他国に奪われるかもしれません」

「もう仮契約を済ませているのか?」と、ビチャム公爵は言った。

 ユイシスは「ハハハハ」と笑った。

「侯爵が気に入ったという者、我が国に招けば良い。書類は通そう。どのような者か見てみたくなった」

「ありがたき幸せにございます」と、パルペルト侯爵は深々と頭を下げた。「殿下」とビチャム公爵はユイシスに言ったが、ユイシスは言った。

「父上の代わりとして政を預かっている以上、傭兵戦争では勝たねばならない。元々も、我が同胞の主は我が国であると示さなければならない。公爵もその準備を指示するように」

「かしこまりました、殿下」

 ユイシスの王太子として、次期国王としての未来を見据えた姿を見てビチャム公爵は感心したように頷いた。






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