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「秋華、まだ顔が赤いぞ」

「は、恥ずかしいんです、師匠…。まさか、あんなことをするなんて…」

「しっかし、自慰の講習ねぇ…。お姉ちゃんらしいといえば、らしいかもしれないけど…。なんか、無表情で淡々とやってそうだよね」

「師匠は、いろいろとすごい方です…」

「そんなことはいいだろ。それより、望のお祝いだ」

「そうだよねぇ。何がいいんだろ」

「あ、あの…。私、いろいろと考えてたのですが、本なんてどうかなと思うんです…」

「なるほど、本かぁ。秋華は、どんな本がいいと思う?」

「そ、そこまでは…」

「…どうせなら、図書館に置いてないような本にしたらどうですか?」


声がした方を見てみると、エスカがいて。

少し汗の匂いがするから、どこかで軽い運動でもしてたんだろう。

…リューナの近くにいなくて、また大火傷しないか不安だけど。


「エスカ。どこに行っていたのだ」

「すみません、リュナムクさま。あの、セカムさんにお散歩に誘われまして、お城の周りをグルリと回ってきました」

「ふむ、そうか。それならよい」

「むふふ。それって逢引きってやつじゃないの?」

「ち、違いますよ!」

「セカムにエスカが取られちゃうよ、リュナムク。…どこにいるかは知らないけど」

「セカムならよい。安心してエスカを任せられる」

「ち、違います!セカムさんとは、そういう関係ではありません!」

「えぇー。ホントかなぁ」

「も、もういいじゃないですか!そんなことより、望ちゃんのお祝いですよ!」

「はいはい、話逸らし話逸らし」

「違います!」

「あ、あの、お二人とも、このままでは全く話が進みませんので…」

「まあ、そうだね。仕方ないなぁ」

「ナナヤさん…」

「で、図書館に置いてない本って?あの図書館、ホントになんでも置いてあるよ。女の子用の春本とかもあったし」

「そ、そんなのがあるのですか…?」

「秋華、興味津々だねぇ」

「わ、私は別に…」

「まあ、女の子って、あんまりそんなのは見ないらしいからね。種類は多くないけど」

「何が書いてあるのでしょうか…」

「格好いい男の人の裸とか、女の子の裸も描いてあったかな」

「ナ、ナナヤさん、読んだのですか…?」

「だって、気になるじゃん。でも、男の子用は女の子の裸ばっかりなのに、女の子用には両方描いてあるなんて不思議だよね」

「女は男よりも共感しやすいらしいからな。男の裸を見るより、自慰に耽る他の女を見てる方が捗るのかもしれない」

「ふぅん。そんな理由があったんだ」

「いや、本当か嘘かは分からない。適当に言っただけだし」

「なんだ…」

「でも、さっきも、望がやっているのを見てたら、私もなんだか興奮してきたような…」

「ふぅん。強ち間違いでもないってことか」

「そうかもしれないな」

「あの、さっきって、秋華ちゃん、何かしてたんですか?」

「えっ?あっ!な、なんでもないですっ!」

「今は何も聞いてやるな、エスカよ…」

「リュナムクさま?」

「さっきね、望と秋華が一緒に、お姉ちゃんに…」

「わわっ!ダ、ダメです、ナナヤさん!」

「あはは、分かってる分かってる」

「……?」


まったく…。

秋華の精神衛生上、こいつに話すべきではなかったな…。

エスカにも、興味と疑問を持たせるだけ持たせて…。


「まあ、それで、そんななんでもある図書館にない本なんて、どこにあるの?」

「えっ?あぁ、えっと、ほら、あそこです」

「どそこ?」

「そんな言葉はないと思いますが…」

「いいのいいの。それで?」

「何でしたっけ…。あ、度忘れしてしまいました…」

「ナナヤさんが、余計なことを言うからですっ」

「えぇー、私のせいなんだ」

「いや、実際そうだろ…」

「お姉ちゃんまで…。ちょっと傷付くなぁ…」

「そんな顔を作る前に、原因になった態度を反省して直せ」

「これが私の性格なのに?」

「ふざけるのも、適度にしておけということだ」

「適度ってどれくらい?」

「他人が困ったり、不快になったりしない程度だ」

「善処しまーす」

「まったく…」

「あっ、そうだ!リョウゼン書店ですよ!」

「リョウゼン書店ですかぁ。私も、一度行ってみたかったんですよね」

「そんなところがあるんだ。何なの、そこ。はぐれ図書館?」

「本の貸出をする図書館ではなくて、販売をする本屋さんですよ」

「ふぅん。でも、あの図書館にもない本っていえば、もうわけの分からないような本ばっかりじゃないの?」

「そういうのも多いでしょうけど、意外な掘り出し物もあるかもですよ」

「そうなんだ。じゃあ、まあ、お昼くらいから行こっか」

「そうですね。秋華ちゃんも、それでいいかな」

「はい。私は大丈夫です」

「うん」

「でも、そう考えると、なんだかお腹空いてくるね」

「いやいや、お前の神経回路はどうなってるんだ…」


昼から行くとは言ってたけど、それでどうして腹が減るんだ。

謎だな。

もしかしたら、ナナヤの胃は頭の中にでもあるのだろうか。

…わけの分からない想像はこの辺にしておこう。


「午後からの予定も決まったし。じゃあ、お昼を食べにいこっか」

「あの、まだ早いですよ、ナナヤさん」

「どうせあとで食べるんだし。先に食べても大丈夫大丈夫」

「そういう問題では…」

「えぇー。じゃあ、脱衣ジャンケンでもする?裸になったら負けね」

「お前の発想はおっさん並だな…」

「えぇ、そうかなぁ。お姉ちゃんは、脱衣ジャンケンやらない?」

「お前が身ぐるみ全部剥がれて泣いてる様子が容易に想像出来るからやめておく」

「それはこっちのセリフだよ。ほら、掛かってきなよ」

「まったく…」


なんでこんなことになるんだろうか。

まあ、少し本気を出して、さっさと終わらせてしまおう。

…自分も恥ずかしい思いをすれば、秋華へのちょっかいも減るかもしれないしな。

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