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部屋に戻ると、誰もいなかった。

またどこかに遊びにいったのかな…。

布団も散らかして…。

ここで遊んでたのかな?

とりあえず、綺麗に畳んでおく。

っと、これは…。

光、気付かなかったのかな…。

ん?

中身は入ってない。

ということは、ちゃんと気付いてたってことか。

うん、それならいい。

光が身に着けているところを見られなかったのは残念だけど。

まあ、夕飯のときの楽しみに取っておこう。


「さて…」


どうしようかな…。

本当にやることが少なくなった。

今までの忙しさが嘘のよう。

五日に一回の休日なんて取らなくても充分なくらい。

…うん、医療室に行ってみようか。

風華もいるだろうし。

部屋を出て、医療室に向かう。


「あ、お母さんだ~」


と、すぐにチビたちと出会う。


「どこ行ってたの?」

「お外?」

「ちょっと桜の部屋に行ってたんだ」

「ふぅん」

「あ、そうだ。光、どうだ?それ」

「うん。すっごく、良いよ!ありがとう、お母さん」

「ふふ、どういたしまして」


白い肌に黒い足輪が映えていて綺麗だった。

響のは白で、光のは黒。

色まで注文したわけじゃないのに、これはすごく巧妙だと思った。


「じゃあね!」

「ああ。しっかり遊んで来いよ」

「うん!」「じゃあね~」


そしてまた、駆けていった。



ん?

入る部屋を間違えたかな?


「あぅ…」

「………」


うん、医療室だ。

でも、風華はいなくて、代わりに風華をちっちゃくして金髪にしたような子がいた。


「うぅ…」

「呻いてるだけでは分からん」

「えっと…」

「名前は?」

「く…葛葉…」

「どこから入った?」

「お、お母さん…どこに行ったの…?」

「お母さん?お母さんと一緒に来たのか?」

「ううん…葛葉…葛、葉は…お、お母さん…お母さんに…会いに…」

「おい、泣くなって」

「うぅ…うえぇ…」

「困ったな…」


葛葉の横に座り、ゆっくりとなだめるように頭を撫でる。

ていうか、ここ何日かでチビっ子がどんどん増えてるのは気のせいか?

城の門はいつも開いてるとは言え、許可なしでは入られないはずだけど…。

…まあいいか。

それだけ平和になったということだ。

門番には厳重注意しないといけないけど。


「………」

「あ…」


泣き疲れたらしい。

私の服をギュッと握って眠る様子はすごく可愛くて。

この子の母親はどこにいるんだろうな…。

城の中にいるのか?


「ぅむ…」


それにしても、この子…。

実際に見るのは初めてだな…。

百年生きるごとに一本増えるというが、ということは、この子は八百歳を超えてることになる。

…まあ、それはないな。

所詮は迷信だったってことか。

それだけ珍しいとも言えるけど。


「あ、姉ちゃん。来てたんだ」

「ああ」


そんなことを考えていると、風華が戻ってきた。


「あ…葛葉…。泣いたりしてなかった?」

「いや。全然」

「そう…」

「誰なんだ?」

「葛葉っていうの。身寄りがないのか知らないんだけど、村の周りでウロウロしてたから保護してみんなで面倒を見てたの」

「ふぅん…」

「ちゃんと言い聞かせたのに、来ちゃったみたい…」

「お母さんって?」

「あ…そんなこと言ってた…?」

「ああ」

「…私のことだよ。なんでか知らないんだけど、私のことをお母さんって言って慕ってくれて。嬉しいんだけど、なんか複雑な気持ちで…。私が母親の代わりなんて出来るのかな…って」

「風華は、葛葉のこと、好きか?」

「うん…」

「葛葉のためになら、一所懸命になれる?」

「うん…」

「じゃあ、不安になることはない。相手のために一所懸命になるのが親だ。風華は、立派な母親だよ」

「…うん」


ニッコリと笑って、私をギュッと抱き締める。


「ありがと」

「ううん。私は、思ったことを言っただけ」

「でも、ありがと」

「うん」


一所懸命に面倒を見て、一所懸命に叱り、一所懸命に褒めてやる。

相手のために一所懸命になれるなら、誰だって親になれる可能性がある。

風華が葛葉の親であるように、葛葉も風華の親だろう。

そういうものだよ、親っていうのは。

八月の終わりくらいに自分のパソコンがお亡くなりになってしまって、更新が滞ってました。

さて、葛葉の登場ですね。

この子はどういう動きをしてくれるんでしょうか。

楽しみです。

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