堕ちる天使、嗤う悪魔。夜惑なネオン。1
ー狭間墜人が新宿歌舞伎町雑居ビルから、何者かによって落とされる3時間前
歌舞伎町のネオンは、いつだって人を惑わせる。
穢れた路地裏、金、欲望も虚飾と香水の香りで夜に瞬く一等輝く星のようになる。
そんな街の一角、雑居ビル一棟丸々サクラメントグループの系列の最上階にある店、高級キャバクラClub SERAPH。
今夜の俺は刑事ではなく、新人ボーイだった。
黒シャツ、細みのベスト、右耳にはインカムを付け、普段のだらしないボサボサの髪は、ワックスで綺麗に整えている。
鏡に映るその姿は一介の刑事ではなく、都会に飲まれ少しだけ背伸びをするために夜の世界に踏み込んだ大学生アルバイターのようだった。
だが、眼だけは誤魔化しきれない。フロア全体の導線、非常口、監視カメラ、スタッフの配置、常連客の把握まで全て頭に入れて煌びやかなフロアに続く扉を開けるのであった。
店内は妖しげな薄暗さ、祭壇の周りに音楽を奏でる天使が描かれた中央の天井には一際大きく輝くシャンデリアが吊るされている。
卓には男の見栄と虚勢、女の笑顔の裏に隠れた欲望の糧が常に金という見える形で消費されていく。
中央の最も輝く卓には今一番摘み取られる『華』であるNo.1キャバ嬢嶺聖アマネが鎮座し、今宵も金払いの良さそうな客が彼女の側を入れ替わり立ち替わる。
事前にこの店のマネージャーである雁楽寺義人には連絡しており店の周辺、裏方に捜査一課の人間が潜んでいる。
俺はフロアを歩き始めると、俺の教育係であるボーイの田村さんが「新入り!今日アマネさんのVIP客である。代犠様が来られるぞ!!アマネさんにも代犠様に失礼のないようにしろよ!」
ー代犠巡。不動産王である彼はサクラメントグループのキャバクラを中心に通っており、彼が気に入った嬢は一夜にしてNo.1になれるという逸話をもつ神客である。そんな彼が今一番気に入っているのが、彼女である。嶺聖アマネも代犠によって一夜によってそこら辺の草から大輪の花へと変わったうちの1人である。
そう、代犠がこれまでNo.1にしてきた現役キャバ嬢がこの事件の犠牲者。つまり、散らされた『華』たちなのである。
投稿が遅れました!すみません!




