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プロローグ:落日
空がどろりとした橙色に染まっていく。
この街が闇に溶けていく合図だ。太陽が落ちて黒と混ざり合い鮮やかな橙色は血を滲ませたような色へと変貌する。
人々はその夕焼けを見上げて感嘆するわけでもなくビルと人の合間を通り過ぎていく。
今の時代、悪魔も天使も空想の産物ではない。
かつての神話や経典から這い出てきた存在は「聖なる移住者」として崇められ、またある者は「忌むべき不法滞在者」として、このコンクリートジャングルに溶け込んでいる。隣に座っている者が角を隠しコーヒー啜ってる。微笑みの天使と呼ばれる女優は肩に生えた羽を隠し画面越しに今日も微笑む。
そんな歪な社会で人と悪魔と天使の調和を保つために今日も俺は出勤カードを翳すのだった。
ここは現代聖魔対策科。人でありながらまともから外れた者たち(オストラシズム)の集まりが闇に紛れて動き出す。




