お兄様は無事に魔法が使えるようです。
お兄様の魔法適性検査は、お姉様の予想通りに「火」なりました。さすがお姉様!
検査には受けに来る家族が沢山いるので、両親と兄だけで出かけて行った。
朝早くに出かけて帰って来たのは昼過ぎだったので、昼ご飯がお祝い会になった。
「にいちゃ、まほうがつかえるようになったの?」
ユーリはワクワクしながら聞いた。本人に自覚はなかったが目もキラキラと輝いていた。妹から期待たっぷりに見つめられたラルフは兄らしく胸を張った。
「まだだけどぜったいつかえるようになる! そのときはいちばんにみせてやるよ」
「来年、学校に行くようになったら魔法も習うようになるわ。その前に頑張りたいなら家庭教師をつけるけど。ラルフ、どうする?」
鼻息荒く得意気に宣言したラルフに母が言う。じっとしているのが苦手な5歳児は母の言葉に返事を詰まらせた。姉のローザが勉強している所を見ていて、既に勉強という言葉に苦手意識を持っていそうだ。
ユーリは勉強そのものも気になったので、期待を込めた目でラルフを見つめた。家庭教師が来たら、兄と歳が近いのを理由に教えてもらっているのを横で聞けるかもしれない。勉強家のローザの邪魔は出来ないけど、勉強嫌いそうなラルフなら横にユーリがいたら逆に喜びそうだ。
ローザはラルフの勉強嫌いを見抜いてか鼻で嗤った。何も言わなくてもその意味が分かるのか、ラルフが睨む。
「にいちゃ! すごいまほう、はやくみたいっ!」
喧嘩を止める為にもユーリは声を上げた。あわよくば、一緒に勉強出来るかもしれない。期待で輝く妹の目を見てラルフは顔を強張らせた。勉強は面倒臭い、けれど称賛は欲しいという葛藤が見てとれた。
「あら、魔法なら姉様が見せてあげる」
姉様、と強調するように言うとローザは微笑んだ。そして向かい側に座るユーリのジュースが入ったグラスに手を伸ばして何か呟いた。
ローザの指先がキラキラと光り、少しするとコロンコロンと音を立てて丸い氷がグラスに落ちた。
「うわぁ、すごい! ねえちゃ、すごいっ!」
興奮して言う私に姉は得意気な顔で笑った。8歳なのに大人びた笑顔だけど、素直な所は子どもらしいとも言えるかもしれない。
「ふふ、さすがローザね。凍らせるのではなく、氷を出すのは難しいはすよ」
母は姉を誉めつつ、兄をチラッと見た。対抗心を煽ろうとしているなと思いつつ、ユーリも兄に期待の眼差しを向ける。
「おれだってすぐにすごいまほう、つかえるようになる!」
「そうよね。私もそう思うわ。家庭教師の先生を探すから、頑張って早くユーリに火魔法を見せてあけてね」
間髪入れず母に言われたラルフは固まった。ハメられた事に気付いたのだろう。え、あ、う、とか言いながら何とか言い逃れようとしたのだろうけど上手い言葉が浮かばなかったのかガックリと項垂れた。
父は苦笑して肩を叩き、母は楽しそうに微笑み、姉は企みが成功したような勝ち誇った笑みを浮かべた。
「わーい! にいちゃのまほうたのしみ!」
家庭教師の先生が来るのも楽しみだ。




