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前世では特技でした。

閲覧、ありがとうございます♪

お待たせしました! 

 マーサは望み通りの物を持って来てくれた。読み終わった新聞紙、包装紙、手紙用の綺麗な紙。そしてハサミ。

 絶好の遊び道具である。工作してもいいし、紙を正方形に切れば折り紙にもなる。

 前世では弟妹と遊ぶのに、費用もかからず重宝した。

 創作は脳を刺激するし、集中している間は静かだ。作った物を人に見せる楽しみもあるし。出来を競ったり、作った物で遊ぶ事も出来る。飽き知らずな遊びだった。

 知らない子同士でも作る過程で色々話す内に自然に仲良くなったりするので、家や子ども食堂に遊びに来た子達でもよく遊んでいた。片付けまでが遊びの内。共同作業で仲間意識が芽生えたりする様子も微笑ましかった。時には本気のケンカもするので調整が大変だったけど。

 前世のユーリ自身、物作りは好きだった。作った中で出来が良い物を両親がお店に飾ってくれると、常連客もほめてくれた。見てくれる人の反応で客観的に作品を見られるようになり。より工夫をするようになっていった。その中でも特技とも言えるものは折り紙だった。

 そのはず、だった。


「むう」

 新聞紙を三角に折って余分な所を切る。そうして、長方形を正方形にするつもりだった。それなのに、上手く折る事が出来ないのだ。手が小さく、今世ではまだ動きに慣れてないからなのだろう。当たり前に出来るつもりだったユーリは自分にガッカリした。

「なにがしたいんだ?」

 得意満面で嬉々として動いた結果が、不格好な折り目がついた新聞紙だ。最初の三角の段階でつまずき、ユーリは落ち込んでいた。変な折り目がついた紙を前にして項垂れるユーリに兄は首を傾げて聞いて来た。

「ユーリ様はお手が小さいですから大きな紙は扱いにくくても仕方ないですわ。どうしたいか教えてもらえたら、私が変わりにやりますわ」

 マーサが申し出てくれたけど、最初は断った。自分で頑張るつもりだった。前世では得意だったから、少し慣れたら出来ると

思っていた。頑張れば、慣れれば上手く出来る気がしたのだ。けれど、マーサと兄の視線に耐え兼ねてやってもらう事にした。

 綺麗な三角にしたい、ここを切る、ここをこうやって折る、などの支持を出した。

 マーサと一緒に兄も同じ事をしたので、同じようなものが二つ完成した。兄の物はよれていたけど、マーサは完璧だ。

「まぁ、これは袋ですか? 三角ですけど、物は入りそうですわね!」

 出来上がったものに対して否定せずに、何とか意味付けしてくれようとするのが優しい。

「えー、ものをいれてももちにくいだろ。へんなのー」

 兄は不格好な折り目については気にならないようで、文句だけつけて来る。

「これはね、こうするの!」

 兄が折ったものを手に取り、三角の底辺を開く。そして、床に座っていた兄の頭に被せた。

「えっとね、ぼうし!」

 本当は帽子ではなく兜だ。図鑑でカブトムシを見ていたので何となく作ろうと思った。簡単に出来るし。前世の子どもの日にはよく作ったりしていた。

「えー? こんなぼうしかっこわるい」

「ビートルみたいなの! つの、あるの!」

 不満そうな兄に、マーサが折ってくれたカブトを手にしてここがカブトムシの角みたいだとアピールする。そして自分でも被って見せた。

「ビートル? うーん、でもかみでつくるのはすごい、かも?」

 兄はそう言いながら、ユーリが被る兜をしげしげと眺めた。

「本当、どうやって思いついたのですか? 教えてもらってはないですよね?」

 マーサは不思議そうな顔で首を傾げた。

「まえにちいさいかみでちゅくったの!」

 作り方を知っているのは不自然だったかと気付いて、ユーリはわざと言葉を噛んだ。幼児ぶるのは卒業したかったが、前世を話しても信じてもらえる気がしないし。何より説明が面倒な気がした。なので逃げの一手だ。

 扱い難い子と思われるのは避けたい。嫌われるとか、信じてもらえないとかは思わない。ただ、少ない語彙で説明するのは面倒だなとも思ったのだった。

「ふーん、まぁいいや。ほかになにかおもしろいものはつくれないか?」

 単純な兄は興味が他に移るのも早かった。なのでユーリはそれに乗る事にする。

 新聞紙をくるくると丸める。やっぱり紙が少し大きいと扱い難くて苦戦したけど、細かい作業でもなかったので時間はかからずに出来た。

 丸めて細長くした新聞紙を手に持ち、得意気な顔をすると兄の頭に振り下ろした。

「うえっ! なんだよぉ」

 驚いた顔をする兄に、丸めた紙を振りかざしながらユーリは言い放った。

「けんっ!」

 何を言われたのか分からないという顔で「けん? けんって?」と呟いていた兄だったが。意味が分かると目を輝かせて紙を丸めて同じものを作った。そして剣のように構えて見せる。

「そう!」

 正解、と言うように笑って見せると頭を軽く叩かれた。

「こういうことだよな?」

 ニッと笑って言いながら、何度もポコポコと紙の剣で叩いて来る兄が腹立たしくて反撃する。

 追いかけたり、追いかけられたり、打ち合ったり、疲れるまで攻防は続く事となった。

 2歳差は大きく、結局は今日もユーリが疲れ果てる事になった。





 

どうしようかな、と迷っている内に少し間が空いてしまいました。

次話では、お客様が出せるといいなと思います☆

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