自由時間の過ごし方。
初評価に大喜びしてました!
リアクションも増えていて、とても嬉しかったです。
ありがとうございました♪
嬉しかったので早く続きを投稿しようと頑張りましたが
……虫が苦手な方は少しご注意を。
直接は出て来ないのですが、少し話が出て来ます。
飛ばしても物語そのものには問題ないので、よろしければスルーしていただいても良いかと思います。
勉強の時間が無くなって、自由時間が増えた。何をしようかと考えるまでもなく本を読むのに丁度良いと気付いた。
字を読むのに慣れて来たので、絵本以外も読みたいと思っていたのだ。
この世界では紙は普及しているので本は普通にある。
けれど、子ども向けの本、特に幼児に与えるような絵本以外の本は無いようだ。そもそもの絵本も分厚い表紙と固い紙で幼児には捲りにくいもので。大人が読み聞かせる事が前提のようだ。勉強も兄には学校で使う教科書が渡されているが、ユーリにはまだ早いという事で手元にはない。
字や絵を書く用のノートはユーリにも与えられているので、紙はそこまで高くないのかもしれないが。本は幼児向きに作られていないのかもしれない。
書庫にもまだ入れてはくれないし、子ども部屋には絵本以外にはない。
なので、動物とか植物を知る本が欲しい、と無い語彙を総動員してマーサにお願いして何とか図鑑を何冊かゲットした。
図鑑は凶器になりそうな位に重く大きかった。絵本はそこまで分厚くなかったので、床に座って立てて読んだりしていたが。図鑑は無理そうなので、床に寝転がって読む事にした。クッションを敷いて、寝転がる。本は斜めになるように別の本で角度をつけてページを捲って読む。
本を汚さないように飲食は禁止。落書きも出来ないように、ペンを持つのも禁止だ。メモしたくても出来ないけど、前世の専門の図鑑と同じく読み辛く面白味には欠けるので絵を眺めるのが中心になっている。
それでも珍しい生き物や植物を眺めているだけでも面白い。虫も動物も、前世よりも大きいものが多かったりするし。習性も面白い。
庭でよく見る透明なアリは、エアアントという名前だと知った。水滴みたいなのでウォーターアントでもいいのにな、と思ったらその名前のアリもいた。
水色の小さなアリがウォーターアントというのらしい。アメンボのように水上を歩く事が出来るアリだ。
前世のアメンボは呑気そうに見えて虫の体液を吸うという捕食手段を取る。テレビで見た時は少し怖かった。捕食対象は虫とはいえ、給水に来た虫を水に引きずり込み突き刺して体液を啜る映像だったからだ。実際は小さな虫の世界の話だけど、テレビでは大きく映したから。
ウォーターアントは、水上を移動してボウフラのような小さな虫を捕食するようだ。水草の上に巣を作り、死んだ魚を食べる事はあるけど動物や人が襲われる事はないらしい。考えると少し怖いけど、自然界の掃除屋とも言えるのだろう。むしろ、魚には見つかったら食べられる事もあるらしい。他の虫や動物から襲われにくいらしいけど、自然界はシビアだなと思う。
男子が好きそうな甲虫も載っていた。カブトムシやクワガタのような見た目で、大きなものになると全長1メートルあるものもいるらしい。ペットとして人気なのは大きくても50センチ位までらしい。色も様々で、派手なのは虹色や金銀。赤青黄色や地味な黒や茶色まで揃っている。ただ、棲息するのは街付近にはいないとの事。大きいものは魔素を吸収する魔虫の一種になるらしい。魔虫の中には人を襲うものもいるが、魔素が多い森が生息地なので街の中はまず大丈夫そうだ。
難しくて読みにくくて長い名前や説明も多いので適当に斜め読みしながら、絵を中心に楽しむ。真面目に読もうとすると眠くなるので適度に。それでも、寝転んで本を読んでいると時に寝落ちしながらものんびりしていた。
でも、それが続くと飽きて来た。前世ではそこまで勉強が好きではなかった事と、幼児だからか身体を動かしたくてウズウズするのだと思う。
部屋から出てはいけない、とは言われてはいない。けれど、兄と同じ年のお客様が家に来たのは昨日だ。まだ帰る話は聞いていないのでしばらくいるだろう。それなら、用心の為にしばらくは大人しくしておこうと思う。
部屋で出来る読書以外の遊びや勉強。そう考えると、文字の練習とお絵描き位しか思い浮かばなかった。けど、それは午前中にしていた事だ。せっかくなので、のんびり出来るこの機会に何か新しい事がしたい。
何か部屋で出来る面白い遊びがなかったか考えると、前世で得意で好きだったものが浮かんだ。思いつくとやってみたくなる。マーサに欲しい物があると相談すると、それなら今からでも用意出来ると言ってくれた。
マーサを待つ間、ソワソワしつつ本を読む事にしたものの全く頭に入って来なかった。
けれど、割と直ぐにカチャっとドアが開く音がした。期待に顔を輝かせてドアの方を見ると、そこにいたのはマーサではなく兄だった。
「……ユーリぃぃ、やっぱりむりだよ。カイルがまっったくあそんでくれないぃぃ。はなしかけてもむしされるんだよぉぉ」
期待が外れた事と、お客様の相手をしているはずなのに子ども部屋に来た兄にユーリは冷たい目を向けた。
歓迎されていない空気に泣き言を口にする兄を見て、仕方がないなと諦める。
頑なになっている子どもの心を開くのは確かに容易ではないだろう。
「にいちゃもずかんみる?」
冷たい目はなかった事にして、自分の隣に手招いて誘ってみる。
「……みるっ!」
予想以上に喜び勇んで兄は横に滑り込んで来た。素早さにユーリは驚いた。
「やっぱりビートルはかっこいいよな! オレ、キングビートルがかいたい!」
先刻までの落ち込みはどこにいったのか、甲虫のページを大喜びで見ている。
「かうのはメッ!」
ユーリは即座に否定した。眉間にシワが寄っている自信すらある。見るのは面白いけど、家にいるのはちょっと抵抗がある。
「なんでだよ! キングビートル、なれたらのれるんだぞ!」
体長50センチもあれば人も乗れるのか。家で飼うには最大サイズだけど、それは少し考えてしまう。
「……メッ!」
心を鬼にして否定しておく。子ども心は少し揺れた。まぁ、大抵の母親は虫が苦手だから阻止されるとは思うけど。拒否だけはしておかねば。
キングビートルは金色で確かに虫よりも機械っぽいけれど、虫には変わりない。
「じゃあ、シルバーモス!」
銀色の蛾、それもちょっと。
「むしはメッ!」
その後も目に付く気になる虫を次々と上げる兄にユーリは全力で拒否を続けた。
兄は楽しそうだったが、ユーリはすっかり疲れてしまい。戻って来たマーサがその疲れた様子に首を傾げる事になるのだった。
ユーリは虫を面白がりはしても、飼うほど好きではないと思います。
今後は出て来ない、はず、です。
飼う事はないかと!
私も虫は苦手な方ですが、子どもの頃は嫌いではなかったんですよね。
不思議です。




