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お兄様のお友達が家に来るそうです。

 梅雨が明けて、外に出られると思っていた頃。兄が勉強に慣れて来たという事で午後も勉強の時間が増えた。

 とは言っても、午後は1時間ほど。多分、徐々に時間を増やすつもりなのだと思う。

 ユーリは一緒に勉強してもしなくてもどちらでもいいと言われたけれど、せっかくの機会なので兄と一緒に勉強している。

 発音も大分改善されて来て、慌てなければちゃんと話せるという自信もあった。

 けれど、正に順風満帆という時には何か起こりがちだ。後から考えるとそういうタイミングだったのかもしれないなと思う。


「明日からラルフと同じ年の子を預かる事になった。ラルフはお茶会で会った事がある男爵家のカイル様だ」

 家族でテーブルに座り、夕飯を食べている時に父が話を切り出した。兄と同じ年の相手に様付けなのは貴族だからなのかと、お客様が来るという珍しい事にユーリは興味津々に目を輝かせながら父を見た。

「え? あそびにくるの? でも、しばらくって? なにかあったの?」

 兄は喜ぶというよりはビックリしていた。事前に何か約束していたわけでもないらしい。そして、口にパンを咥えたまま話して怒られて納得がいかない顔をしていた。確かに行儀は悪いけど気持ちは分からなくもない。言い返すと説教が長くなるのは学習しているのか反論はパンと一緒に飲み込んでいるのが見ていて分かった。5歳男児にしては偉いと思う。

「色々あって、気分転換になるようにしばらく家に遊びに来る事になったの。ラルフ、優しくしてあげなさい。男爵家は取引先ではあるけどそれは気にしなくていいから」

 母は優しい顔で微笑みながら兄にそう言った。説明になってない言葉に兄は事情について聞きたそうな顔をしていたが、母の静かな笑顔に気圧されたように頷いた。世の中には逆らってはいけない相手がいる。ユーリは心の中で合掌した。

 兄と同じ年という事は5歳、男児という事は自分はどうしたらいいのだろう。ユーリは母を見た。兄に同じ年の友人がいた、という事にも驚いたけど。同時に、自分には家族や家人以外の人に知り合いすらいない状況にも気付いて不思議に思った。

 学校がまだ無い変わりに、お茶会で子ども同士が顔合わせするらしい。自分は行った事はないと思う。5歳男児は3歳幼児の自分は相手出来るものだろうか。あわよくば遊んでくれないかな、と思って母を見ると苦笑された。

「……ユーリは、カイル様とはとりあえず会わないようにしましょうか。男の子は男の子同士の遊びがありますからね」

 母のその言葉に、何となく家に来る事情について思い浮かんだ。確信はなかったので、ユーリは不思議そうな顔で首を傾げてながらも頷いておいた。

 考えてみたら、5歳男児が二人となると体力を使った遊びに走りやすい。ユーリは置き去りにされるか、逆に付き合わされるにしても面倒だ。遠目で眺める位が丁度いいかもしれない。

 兄は、何して遊ぼうかと考えているようだったが。「勉強は一緒にするように」と父に釘を刺されてショックを受けていた。お友達は遊びに来るだけでなく、勉強もするらしい。家で預かる、と言った言葉そのままなのだろう。

 ショックを受ける兄に、姉は鼻で笑っていた。気の毒だけど仕方がない。勉強は自分の為になるのだから。

「ユーリはお勉強はお休みね?」

 傍観していたユーリも母に釘を刺された。静かな笑顔から決定事項なのは分かる。兄の友人には近寄らない方がいいらしい。やっぱり、そういう事かなと考えつつ遠い目になるユーリだった。

 予想が当たりなら、確かに関わらない方がいいだろう。勉強の時間が楽しかっただけに残念だと思いながら、静かに諦めたのだった。 




 

星の数程あるだろう作品の中から見つけてくれて、ありがとうございます♪

細切れながらもまだ話は続くと思うので、よかったら読んでもらえると嬉しいです。

何となく先は見えて来た気がします。

まだまだ終われない、どころかスキル鑑定(5歳)までかかりそうですが。

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