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裏庭散策が日課になりました。

 アヒル親子が裏庭に来てくれてから3日。初日に簡易に作られた小屋も翌日には補強されて、しっかりしたものになった。

 アヒル親子も落ち着いたようだ。餌として野菜を与えているので畑を荒らす事もなく、逆に虫を食べてくれると庭師のシンも喜んでいた。

 初日に心配されていた親アヒルの怪我は翌日にはすっかり良くなっていたようだ。傷薬を塗り直そうとしたら綺麗に治っていた、とシンが教えてくれた。意外と大きい傷もあったのに、と首を傾げていたけど異世界の生き物は強いのだろうと思う。

 人間は野生動物と違うので、気をつけた方がいいのだろうけど。

 前世ではアヒルは飼う為に改良された家禽だった気がするけど、この世界では可愛く見えても野生らしい。意外と気性も荒いと知られているとか。食べても美味しくもないらしい。

 ただ、その羽毛は希少だとか。換羽の時期にまとまって一気に抜ける羽毛を他の鳥や動物が狙っているらしい。巣に敷き詰めるのだとか。もちろん人間も布団にする為にその羽毛を狙う。飼い慣らせない以上、換羽の時期を狙うしかなく。殺すよりも、換羽で抜けた羽毛の方が状態は良いという事で、殺してはいけないという暗黙の了解があるらしい。

 飼うのは良いのかと思ったけど。飼ってはいけない決まりもない、というか、飼えるものだと思われてもいないらしい。

 アヒルが野生でも生きられるのは羽毛が生存戦略として使われているからなのかもしれないと思う。蛇には関係なかったようだけど。異世界の生き物も面白い。

 換羽の時期、夏より前には親アヒルの羽毛も抜け換わるだろうというので。ユーリはすかさず「羽毛布団が欲しい」とリクエストした。笑顔で了承されたので、その内に羽毛布団が出来るだろう。楽しみだ。


 アヒル親子が裏庭に住み着いてくれたおかげで、ユーリの行動範囲も広がった。それまではまだ3歳と幼いので、家の中が行動の中心だったし。散歩も館の前庭を少しウロチョロさせてもらえるのみだった。

 とはいえ、しっかりと歩けるようにはなって来たのでそろそろ運動の必要もあると思われていたのだろう。アヒル親子が裏庭に住み着いたのをきっかけに、裏庭に行くのを許されるようになった。

 午前中は先生から学ぶ兄の横で一緒に勉強して。昼食を食べた後にマーサに付き添ってもらって裏庭に行き、アヒル親子と遊ぶ。庭師のシンを見かけた時は手伝いと称して声をかけて構ってもらう。

 シンは庭師らしく草木に詳しくて、色々と教えてくれる。虫もよく知っていて、作物にとっての益虫と害虫がいるのだと教えてくれる。シンとユーリがいると側に寄って来るアヒル親子に害虫を与えたりもしていた。アヒル相手にも説明するのが面白い。偶然なのか言葉が分かるのか、親アヒルも言葉に頷いたりしていた。毒がある虫はこの辺にはあまり出ないらしいので安心だ。出ないわけではないから、見慣れない虫には触らないようにと注意はされた。

 マーサは虫嫌いらしく、虫の話に嫌な顔をしながらも横で聞いていた。全ての虫は触るべきじゃない、と小声で言っていたけど。子どもの目から見ると、見慣れない生き物は気になるものなのだろう。精神的には大人な意識はあっても、怖いのも気持ち悪いのも興味になってしまうのは身体が幼児だから仕方がないのだと思う。

 知らない事が色々あって、見つけるのや知る事が楽しいと思える。幼児も悪くないなと思うのだった。




 




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