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お家に帰りましょう!

 焚き火で焼いた芋はとても美味しかった。人数分の芋を焼いたので、ユーリの芋をアヒル親子に分けたのだけど、取り合いが発生する位に美味しかった。

 アヒル親子の食い付きにユーリはドン引きしたけど、兄は面白がって自分の芋もあげるふりで焦らして遊ぼうとして囲まれて突かれた上に奪われていた。

 マーサは食べ易いように解してあげて大好評、芋を食べ終えた後も囲まれていた。うらやましい。トーリ先生と護衛役のシンはにこやかに見守りながらも自分の分を食べ切っていた。

 焚き火の後を処理して敷物とかを大人達が片付けてくれている間、手が空いたユーリは蛇が埋められた場所に行った。

 埋めた場所は土の色が違うので分かった。他と違い草も無く、小さな木の枝が一本刺してあった。ユーリはその辺に咲いていた白くて小さな花を摘んで供えた。共存するのは難しいとはいえ同じ生き物だ。安らかに眠って欲しい、という思いで両手を組んで目を閉じて祈る。

 前世もこの世界も所詮は弱肉強食なのは変わらないのだろう。けど、人間は祈るという行為を世界や国や人種に関係なくするんだろうなと思う。祈る相手が何であれ、祈る心は変わりないのかもしれない。


「ゆーり、なにしてるんだ? そろそろいくよ、だってー」

 兄が声をかけて来たのに振り返る。その後ろにはシンがついて来ていた。

「ユーリ様は優しいな。でも、あの蛇はダークスネークと言って人間も襲うから討伐対象なんだよ。他に被害が出なくてよかったと思っておけばいいさ。ラルフ様は偉かったな。初めての魔法で蛇を倒して妹を守ったんだから」

 話しながら兄の頭を撫でる。兄は照れた顔で「やめろよー」と言って撫でる手から逃げようとしたが嬉しそうだ。


 馬車の前でマーサが笑顔で手を振っていた。先生もその横に控えめな笑顔を浮かべている。帰る寂しさもあったけど、初めてのお出かけに疲れていたユーリは帰れる嬉しさもあった。待っている二人に手を振って近寄ると、マーサの足元にはアヒル親子もいた。

 ユーリは思わずしゃがんで親子アヒルに触れようとしたが、避けられて無理だった。しょうがないと笑って、手を振る。

「まちゃね!」

 またね、と言うつもりだったのにと思いつつ笑顔を保ってマーサの手を借りて馬車に乗り込んだ。兄、先生、マーサが乗り込んでドアを閉めようとした時だった。

「ガァ!」

 掛け声のように鳴いて親アヒルが馬車に飛び乗って来た。

「えっ?」

 突然の事に人間達が驚いている内に、親アヒルが雛を咥えては馬車に入れる。

「えええっ?」

 次々に馬車の中に入って来た雛達がピィピィと鳴いて駆け回る。


「出発していい、のか分からないですね。何があったんです、これ?」

 御者として確認に来たシンが馬車の中を見て呆れたような声を上げる。

 駆け回る雛達。親アヒルはマーサの足元で落ち着いている。ドア付近なのでシンが手を伸ばすと突かれていた。出すのも難しそうだと大人達が悩む横で、ユーリは目を輝かせた。

「いっちょにかえりゅ!」

 これしかないだろう。せっかく馬車に乗ってくれたのだ。家にはペットはいないし、庭に放し飼いにすればいい。

「⋯⋯奥様が何て言うか」

「ゆーり、おねがいすりゅ!」

 困った顔で言うマーサに、自信満々でユーリは主張した。

「しょうがないな。いっしょにおねがいしてやるよ」

「動物は子どもの情操教育には良いですよ」

 兄と先生も援護射撃してくれた。

「あー、家の中だと汚すかもしれませんが。庭なら害虫駆除にも役立つかもしれませんね。庭を草木を食べたり荒らすようなら、その時は森に戻すと言いますか」

 シンがそう言ってくれた事で、そのまま連れて帰れる事になった。

 少し仲良くなれたアヒル親子と別れずに済んでユーリはご機嫌だった。

 両親に何て言ってお願いしようか、とか、アヒル親子の家はどんなものがいいのか、とか考えていたものの。疲れからそのまま眠ってしまい、家に着くまで目覚める事はなかった。

 親アヒルは寝ていたものの。雛達は寝て起きて動いて鳴いてと忙しくて、大人達はとても眠れなかった。

 尚、兄も熟睡していたという事なのでユーリが呑気なわけではない。ない、はずだ。





 






 

アヒル好きなので、連れ帰る展開は書いていて楽しい&うらやましいですっ。

水鳥は実際に飼うのは大変そうですが、可愛いんですよね。

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