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後片付けは大事です。

 アヒル親子の無事を確かめた後。ユーリは無茶した事をマーサに説教された。雛達を守ったのは偉いけど、怪我をしたら家族皆が悲しむ事を考えなさいと。アヒル達の生命も同じように大事に考えてくれる所がユーリには嬉しかった。説教が長引くといけないので神妙な顔で謝った後で、抱きついて嬉しさを表現しておいた。

 たかが動物、と見下す人も世の中にはいる。そういう人が身近にいると、心が削られるような寂しさがある。人それぞれ価値観が違う事は分かっているけど、同じように人間以外も大切に思える人がいると心が温かくなる気がする。


 兄は先生に魔法を使えるようになった事を祝われた後に、やっぱり説教されていた。先生は逃げられないようにかガシッと兄の肩を掴み、目を覗き込むように説教していた。最初は頭を撫でて誉める所から始めたので嬉しそうにしていた兄だが、徐々に固まって無意識にか逃げようともがいていたけどガッシリ固定されていて逃げられなかった。ユーリは心の中で合掌した。けど、教育的には先生が正しいので仕方がない。


 攻撃魔法は慣れない内は緊急事態でも危険だから使ってはいけない。

 使い慣れても、威力が強いものは街の中で使うと警吏に捕まる事がある。

 火魔法は攻撃対象だけでなく、他が燃えて火事になる事があるので危険性を考える必要がある。

 使い方によっては便利なので、攻撃威力よりもコントロールする事を真面目に学ぶ事。

 そんな事を延々と真剣に聞かされていた。マーサも私の横で頷いていたので、説教を止める人はいなかった。


 御者兼護衛で普段は庭師をしているという男性は、蛇の後始末をしている。シンと名乗った男性は身近で見るとまだ若かった。細身で筋肉質な身体付きで、庭師になる前は冒険者を目指していた事もあったらしい。父親が病で亡くなって、一人になった母親に頼まれて街の中で出来る仕事を探したのだとか。良い人が来てくれて、家にとってはラッキーだったかもしれない。

 蛇は素材も取れるらしいけど、火魔法の後に水魔法をぶつけた事もあり結構損傷してそうだ。解体は見たくなかったので背を向けていたけど、しばらくして何か素材を取ったのか少し膨らんだ麻袋を馬車に積み込んだ後に戻って来た。そして、先生と兄に後始末を手伝って欲しいと頼んでいた。

 先生が土魔法で穴を掘り、そこに処分したいものを入れた所に兄の火魔法で燃やすらしい。そして土魔法で埋める、と。兄は説教から解放されるのと、火魔法を使えるという事で張り切って了承していた。先生は渋々という顔で頷いていた。

 火魔法で燃やす、と聞いてユーリは焚き火の元に仕込んであった芋を思い出した。

「あっ、おいもっ! にいちゃ、おいもも!」

 せっかくなので焼き芋を食べたい。両手を上げて飛び跳ねながら訴える。美味しいオヤツは人生を豊かにする為には大切だと思う。兄はその言葉に少し考える顔をした後に思い出したようだ。期待がこもった目で先生を見つめる。先生は苦笑しながら頷いた。

「では、先に焚き火に火をつけましょう。芋が焼けるには時間がかかりますからね」

 そう言って、先刻挑戦していた焚き火に皆で移動した。兄は火力は大きいものの無事に火をつける事に成功し、皆で歓声を上げた。ユーリも「にいちゃ、しゅごいっ!」と思いっ切り誉めておいた。得意気な顔で胸を張ると、兄は先生とシンと共に後始末に向かって行った。

 その背を見守った後に、ユーリはマーサに敷物の上に案内されて座って出されたお茶を飲んだ。

 お昼ご飯を食べてから、そこまで時間は経っていないのに疲れた気がする。温かいお茶で一休憩していると、聞き慣れかけた声がした。

 ガァガァ、ピィピィという声に振り向くとアヒル親子がちゃっかりと敷物に上がり込んで来た。

 親アヒルはユーリの横に陣取って座り、雛達はピィピィと鳴きながらユーリを取り囲みヒザの上に登って来た。

 ユーリのヒザに何とか乗ろうと頑張る雛達。8羽もいるので落とし合いになっている。騒がしい雛達に、親アヒルは大丈夫なのかと思って見ると丸まって寝てしまった。ユーリを外敵から守ってくれると認めてくれたのかもしれない。

 無防備なアヒル親子に、野生の生き物として大丈夫なのか心配になりつつも温かな重みが嬉しい。

 焼き芋が焼けたら皆で一緒に食べよう。

 皆で食べる焼き芋は絶対に今までになく美味しいだろう。焚き火を見つめながら楽しみに思うのだった。

 ちなみに、雛を撫でさせてもらおうと手を伸ばしてはクチバシで突かれてもいた。 触るまではまだ許してもらえないらしい。残念。





昨日の投稿に初リアクションをくれた方、ありがとうございました♪

更新は1日置きでいいかなと思っていたのですが、反応を見つけて続きを上げようという気になりました!

少しでも楽しんでもらえたなら嬉しいです。

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