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お昼寝の後のご飯は美味しい。

 気持ち良く目覚めた時、一瞬どこにいるのか分からなかった。寝ている間にピクニックの拠点、敷物の上に寝かされていたから。

 前世、コタツで寝て朝目が覚めたら布団の中にいたのをユーリは思い出した。小学校に上がってからは弟妹を起こしたり運んだりする方になったけど。子どもとして甘えられる期間が短か過ぎたするなと思う。

 終わった事だし、人は遅かれ早かれ大人にならなければいけない。いつまでも成長出来ないよりはきっとマシだっただろう、という事にしておく。

 自分の事は自分で出来た方がいいと思うし。今はこうして甘える事も出来るのだから。

 大事にユーリを運んで寝かせてくれたのはマーサだろう。風邪をひかないようにか、お腹にバスタオルがかけてあった。気遣いに心が温かくなる。

「ゆーりがおきたっ!」

 くすぐったいような温かさにバスタオルを抱き込みながらゴロゴロしていると兄が気付いたようだ。

「起きましたか? お昼ご飯、先にいただいてますが食べられますか?」

「すみません。先にいただいてます」

 マーサが優しく声をかけてくれ、先生は申し訳なさそうに声をかけてくれる。

「ごはんっ! たべゆ!」

 寝起きなので舌が回らなくて、少し恥ずかしくなりつつも笑って誤魔化す。そう、食べるって普通に言えたはず。口元をニヨニヨさせている兄は無視する。


 お昼ご飯はサンドイッチだった。卵サラダ、ハムきゅうり、ベーコントマトの3種類。この世界には何故かマヨネーズは普通にある。ユーリみたいに転生した人がいたからか、自然派生なのか、それは知らないけど。卵サンド好きなのでマヨネーズがあるのは素直に嬉しい。

「午後はどうしますか? 疲れたのなら、またにして今日は帰ってもいいのですが」

 トーリ先生の言葉に、兄は魔法が使えるようになったのかと気になる。

「⋯⋯やる。はやくつかえるようになりたい」

 元気なく暗い顔で言う兄を見て、多分まだ使えないんだなと思う。

「おいも、たべたい!」

 どよんとした空気を吹き飛ばすように、わざと元気な声で主張する。

「お芋? ああ、そういえば焚き火の中に入れましたね」

「そうそう! ラルフ様の初めての魔法でお芋が食べたいとユーリ様が言うのでお持ちしたんですよ!」

 そう、家からわざわざ持って来たのだ。

「え? そうだったのか?」

 落ち込んでいた兄が顔を上げて意外そうな顔をする。

「にいちゃ、できるっ!」

 そう、出来ると信じて用意して来たんだと期待のこもった目で見つめる。

 出来ないと思わないで、芋を焼く為に火を起こすというイメージで頑張って欲しい。プレッシャーをかけるのは良くないけど、全く期待されないのも嫌なものだ。適度な期待は信用と同じだと思う。


「わかった! ぜったいイモをやくぞ!」

「あい! にいちゃ、かっこいい!」

 サツマイモによく似た甘い芋は、焚き火で焼いたら絶対に美味しいオヤツになるだろう。

 何で出来ないんだろう、から、芋を焼く方向に気分転換が出来たのらしい。兄が張り切って声を上げる。単純、ではなく素直さは美徳。


「そうです、その意気ならきっと上手く行きますよ。焚き火の火を起こすだけなら魔力も沢山は必要ありません。火石で火を付けるイメージで、身体を巡る魔素を使って火を起こすんです。具体的にどんな現象をどうやって起こすのか、を考えると成功しやすくなります」

 これまでも先生は何回も同じ説明をして来たけど、実際にやってみて初めて実感したのではないかと思う。兄は真剣に話を聞いていた。

「よし! がんばる!」

 そう言うと立ち上がって、靴を履くと飛ぶように焚き火の元に駆けて行った。

 先生は苦笑すると立ち上がり、ユーリに近寄ると頭を撫でた。

「ありがとうございます。お芋を食べられるように頑張りますね」

 そう言うと兄の後を追って行った。後押しの役には立ったらしい。

 側に行ってエールを送るのはまたプレッシャーになるかもしれない。

 という口実で、ユーリは午後も動物探しをする為に立ち上がった。

 お昼ご飯で元気をチャージしたし、午後こそは頑張って可愛い生き物と出会いたい。兄とは別の方向に意欲を燃やして立ち上がった。出会えるとは限らないのに、出会ってみせると思う所は大変子どもらしかった。

 

 


 


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