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眩しいばかりの余生のために

作者: おおらり


 くす玉が割れたときのように、花紙のようにたくさんの年賀状が舞い散ったから、手にとってみるとものすごく薄く、透明だった。郵便番号を書くための赤い枠が光に透けて、腕に影を落とした。


 謝りながら拾い集める郵便配達の人に周りの人が協力している。けれど雨が降ってきて、水に溶けてしまって。「私たちは何を拾い集めていたのだっけ」「それは光のようなものだったね」「曇ってしまったし、雨が降ってきてしまったからね」と、めいめいに話しながら散っていく。


 私は雨をしのぐふりをして、それを木の下から眺めている。急な雨に、落ち葉も舞踏会をやめたみたいだ。木枯らしで、雨で、葉の落ちきったはだかんぼの木の下に、茶色い鞄を頭に乗せて雨宿りに来た人がいて、革の鞄で雨をしのごうとする不器用さに親近感を覚えるのだけれど、すぐに強い陽が差して、蝉の声の中。取引先に遅れないようにとパッと駆けて行ってしまった。誰かのために。


 中学生の女の子たちが、ベルを鳴らして自転車で駆け抜ける。楽しげな笑い声を、ベルがちりんちりんと後押しする。共鳴するように、りん、りん、と風鈴が鳴る。今日は風が吹いたり止んだりで、本当にときおり、りん、と鳴る。


 亡霊になることが唯一、生きていくための方法なのだと君が君自身に向かい呟くのを聞いて。「わかるよ」と画面の向こうで口に出すのだけれど。必死に、サバイバルしてきた君に。君の目に映る私に。

「お互い、亡霊と幽霊で苦労するね」と。

君の味方で居たい。そう思いながら、言葉を届ける勇気を持たない。


 私の言葉が君へのギフトになる気がしない。

 君からもらった言葉は、ずっとずっと大事にしている癖にね。


「かくことは、楽しい」


 合い言葉だったね。


 りん、りん。

 オルゴールのネジがとれてしまって、風鈴の音を代わりに聴いている。


 ちいさな水滴が、オタマの上からフライパンに落ちる。高い位置から流し入れると、綺麗なまあるいかたちになる。みんなそう言うけれど、自分でやってみるまで気づかなかった。


 ホットケーキを焼いて、食べて欲しい。焦げると悲しいし、上手に焼けると嬉しいよ。でも、どちらもそれなりの美味しさがあると思う。

 巧拙を問わずに。


 かくことは、楽しい。

 君が私に教えたことを、突っ返されて面食らってほしい。

 でもそれは、暴力でしかないから。


 私は君にもらった言葉に、かいて、返し続けるだけ。楽しく。幽霊のように祈るだけ。


 眩しいばかりの余生のために。





ラジオ大賞のお題をすべて盛り込む遊びは、詩が一番相性が良い気がしました。投稿要件は満たさないけど、11個の言葉をすべて盛りこんで詩を書いて!って楽しいと思う。

次点でホラーかなあって思うので気力あるときにチャレンジしたいです。


ずーっとネット上で創作を楽しんでいるけれど、10代前半で、最初に掲示板に投稿したのは詩でした。会話文だけのなにやら楽しげな小説を書いていた時期もありました。


今、異世界恋愛やらBLやらいろいろ書いていますが、一番基礎の土台の土台にあるのは詩だろうナ〜 と思います。


言葉は自由、というのを最初の最初に教えてもらえてよかったな、と思います。


今年のなろうラジオ大賞は、そんな感じで、土台がどこにあるのかな〜とか、何ができるのかな〜、どういうものを書けるのかな〜と模索する機会になって、

エンタメに寄ったかと思えば内省しつつ、

応募要件を満たさない作品も多くなりましたが、楽しく書くことができました。


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