仲間と旅へ
オルレイは小さな街まで歩くと西のリルアへ向かう馬車に乗った。
あの日、灰の放狼団は骨の悪人を壊滅させた後無事に南の国ゲネイアへ辿り着きそのまま街の衛兵として雇用された。
オルレイはゲネイアで鍛錬に勉学を積み、魔法を覚えた。
とりあえずオルレイはリルアに向かっていろんな知識を深めようと魔法が発展したリルア王国に向かおうと決めていたのだ。
ガラガラと馬車の音が鳴りながら道を歩く。
「……なんでみんながいるの?」
オルレイは馬車に乗っている灰の放狼の三人を見た。
「あ? 別にいいだろ? 傭兵ってのは気ままだぜ?」
「私は一度刀国に帰ってみたかったからな。 雨もそうだろ?」
「そうだね雷月。 僕も君と旅が出来て嬉しい」
「なんでだ?」
オルレイは目の前にいるノヴァ、ライゲツ、アメを見た。
確かにここ十年でこの三人とも仲良く過ごし、本陣で一緒に暮らして来た。
そしてオルレイは刀国語もマスターして雨と雷月の事は刀国の発音で呼んでいる。
「おいノヴァ私はあなたについて来て欲しいなんて一言も言っていないんだけど?」
そう言ってオルレイはノヴァを睨みつける。
「おいなんで俺だけ悪者なんだよ? 雨とか雷月にそんな事を言えよ」
「はっ! 何を言っているの? 最初に出会った時いきなり胸ぐら掴まれた男に旅に行くなんて屈辱以外ないんだけど?」
鼻を鳴らしてオルレイはノヴァを見る。
「まぁ落ち着け。 オルレイ。 団長にはちゃんと話してある。 それに私とお前の仲じゃないかせっかく一緒に旅をするんだったら一緒の方が何かといいだろ?」
「そういう物なの雷月? 私には全く分からないわ」
オルレイは年頃の少女のように拗ねる。
何もなかった名無しの少女はもういない。
今は泣き笑うただのオルレイプリジスだ。
「お嬢さん方見えました」
「これが……リルア」
オルレイは目の前に広がる綺麗な街並みに見惚れた。