戦場へと向かう
「……あ、あのす、すみませんいきなり泣いてしまって」
「大丈夫。 何も心配はいらない」
そう言ってロテナがオルレイの頭を優しく撫でる。
「……そ、それで私は何をすればいいんですか?」
オルレイは顔を上げてロテナの顔を見る。
「そうだな。 本陣の留守番でもして貰おう。 ……だが熱はよし、ないな」
ロテナはそう言いながらオルレイの額に手を当てて熱を感じ、体温が下がっている事を確認する。
「よし、では出発するか」
「えっと。 どこへ行くんですか?」
「戦だ」
オルレイはロテナに手をひかれながら宿を飛び出して戦場に向かった。
「うっ!?」
オルレイは灰の放狼団の本陣地に足を運ぶと恐怖を感じた。
家で感じた怒りや蔑みよりも恐ろしく、洗練された闘気。
それはオルレイの心に未知の感情を抱かせた。
「すまない。 みんな戦いを前にして昂っているんだ」
そう言ってロテナは再びオルレイの頭を撫でた。
「えっ?」
ロテナに頭を撫でられると気持ちがほぐされていつも通りに呼吸と思考が出来る事をオルレイは感じた。
「すまないがここで待ってくれ。 今から演説しなければならないからな」
そう言ってロテナは右手に杖を持ちながら団員達の目の前に立つ。
「皆準備はいいか! 我々はこれより魔獣討伐と傭兵団骨の悪人の壊滅を行う。 ブリット! リーゼ! お前達が突撃して本陣を壊滅させろいいな?」
「「はい!」」
ロテナに声を掛けられたピンク髪の女性と茶髪で額に傷が目立つオルレイに声を掛けてくれた男が返事を返す。
「よし! 私は単独で敵団長を殺してくる! いいな? では突撃!!」
「「おう!」」
こうしてオルレイが事情を飲み込む前に灰の放浪団は戦場へと突撃して行った。