世界の秘密
初心者です。温かい目で読んでいただけると幸いです。
目の前の少年は白い丈が膝下まであるだぼだぼな服を着ていて宙に浮いていた。歳は僕と同じ、いや少し上、高校生くらいだろうか。
???「あの、大丈夫?」
「は、はい。えっといきなりなんですけどここって死後の世界なんですか?」
ここの門番的な人だろうか。あきらかにこの世界の住人って感じがするけれど。当たり前に浮いてるし。
「死後?うーん。どうなんだろ。そんな気もするし、違うかもしれない。ごめんね、あんまり覚えていないんだ。君はどこから来たの?」
そうじゃないかも、か。もしかしたらまだ生きているのかもしれない。あきらかにここ変だし。死後の世界っぽくはない。
「トラックにひかれて、気づいたらここに。」
「トラック…それは災難だったね。」
「あの、帰る方法ってわかりますか。」
「そうだね。その体透けてるし、ちょっと浮いてるからきっと意識だけがここにきている感じかなー。元の体に戻れればいいんだけど。」
意識、なるほど。衝撃であのスリープタイム現象に巻き込まれたのか。ある意味研究は成功したみたいだ。帰れなきゃ意味ないけど。
「意識を戻すってどうすればいいんですか。」
「肉体が治ればしだいにもどるんじゃないかな。君の体は外にあるんだから。」
「そうだと嬉しいですね。とりあえず戻るまで待ってみます。」
「わかった。数日あれば結果もわかると思うからそれまでゆっくりしていって。ここには何もないけど。」
少しだけ疑問に思った。ここがもしスリープタイム現象のなかなら、時間は現実とくらべてかなり遅い。なら、目を覚ますまでの数時間、数日ってこっちだと10倍、100倍なんじゃないか?いや、考えても仕方がない。いまは祈ろう。
とりあえず周りを見てみることにした。意識体なだけあって体は自由に浮いて飛び回れる。近くの城を目印にあたりを適当に探索してみたが、特に何かがあるわけではなかった。半壊した家、ビルの上の階、小さな森、公園の砂場、水など本当に世界中のランダムな地点にあったものをそのまま引っこ抜いたかのような光景が無限に広がっている。ただ中に物は一つもなく、外観だけ、時は止まっているので動かせもしない。要するに置物だ。色々見て回るのも楽しいのかもしれないが、あの少年の元に帰れなくなるのもまずい気がする。この時間、どうやって潰そうか。
「あのー。」
「あ、こんにちは。どうかした?」
「帰るのを待つ時間ただ一人でいるのもあれなんでいろいろ話したいなと思って。いいですか。」
「うん。いいよ。何か聞きたい?」
どうしようか。聞きたいことが多すぎる。まずは、、
「あなたは一体誰なんですか?この世界の管理者的な人ですか。」
少し失礼かもしれないけど、これが一番気になる。正直言って怖い。この人。本当に何者?
「うん。解釈としてはあっていると思う。僕のした選択が結果この未来につながっているわけだから。といっても僕はそんな選択した記憶はないんだけどね。」
「じゃあ、なぜ知っているんですか。」
「それはね、」
少年はそういうと手のひらから一冊の本を召喚した。まるで魔法のように。
「この本に載っているんだ。僕の人生、僕の決断、この未来に至るまでの長い長い道のりが。」
ごくりとつばを飲み込む。なんだろう、この異様な空気は。一体何が書かれているのだろうか。
「一つ一つ君の疑問に答えるのもいいけど、やっぱり物語として教えたほうがわかりやすいでしょ。まだ時間はあると思うから。それまで読んでみたらどうかな。きっと君の疑問も解決すると思う。僕が誰なのか。ここは何なのか。君たちの世界がどうして今も続いているのか。」
僕は本を手に取った。そしてこれから、僕はすべてを知ることになる。この世界の隠された秘密を。
次からは一章になります。この作品は後日譚から始まるので次からが本編のようなものです。謎の少年が主人公となり物語は一転します。感想、批判、意見、質問なんでも受け付けています。更新は不定期、催促があれば頑張ります。