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第9話 消えた忠臣達

 ◇


 鮟鱇田第一基地陥落後。康が乗っている戦艦が魚安家の洋館にきた。


「なんだ、あれは!?」

「まさか康の部隊か!?」


 空には無数の戦艦、地上にはクラブ以外のトランプの騎士隊と雑兵蟻達がいて洋館は包囲され、逃げることができない。


「すごいな」


 外にいる団員達が動揺している中、傭ヘドロは楽しそうに康が乗っている戦艦を見た。ゴスロリ男の娘は椅子に座ってくつろいでおり両隣には黒のジョーカーと赤のジョーカーがいる。


『兄上!! いや当主の座を横取りした愚か者と、その部下達!! 鮟鱇田第一基地は陥落させた!! 次はお前達の番だ!! 降伏は認めない!! それは私が決める!!』


 兄とその部下達は鮟鱇田第一基地の団員以上に許す気などない。鮟鱇田第一基地の陥落を知って団員達の動揺は大きくなり逃げ腰になっている。


『愚か者についたことを後悔しろ!! 攻撃開始!!』


 康の命令でトランプの騎士隊はマシンガンを出し、エネルギー弾を連射し雑兵蟻達は口から光線を発射した。


「そうはさせない!!」


 傭ヘドロはバリアをはり団員達を守る。しかし守れたのは近くにいる者達だけで消滅した者達もいる。


「こっちも攻撃しろ!!」

「は、はい!!」


 彼女の命令でマシンガンを撃ち、傭ヘドロはフードにあるタコの漏斗のようなものから炎を噴射し敵を燃やした。


「おおっ!! すごい!!」


 多くの敵が消滅したので団員達は喜び士気があがったが、トランプの騎士隊が復活したのを見て、士気はすぐ下がった。


「倒しても減らないとは面白い!!」


 何回も攻撃できるので団員達と違って彼女は笑っており漏斗から黒い毒液を噴射し敵を溶かしていく。


「やるな」


 康はまともに戦闘をしている女傭兵を見て感心していた。


「あそこに康がいる!!」


 康がいる戦艦が分かるので傭ヘドロは笑みを浮かべた。


「もうダメだ!!」


 いくら倒しても意味がなく剣や槍を持った騎士隊と雑兵蟻達が進んできたので、ほとんどの団員は戦闘を放棄して逃げ総崩れになった。戦意を失った団員をまとめるのは無理なので女傭兵は団員達を見捨て康がいる戦艦へ向かう。

 邪魔をする騎士隊や雑兵蟻達をチョップで切っていく。いくら倒しても無駄で、なかなか進めないが楽しんでいる。

 逃げている団員達はやられていき、スペードのいちが率いる騎士隊が洋館の中へ入った。


 ◇


 洋館の中。団員達は入ってきた敵にやられていき、勝ち目がないので逃げている。


「父上!! このままではやられてしまいます!!」

「まさか康にあんな戦力がいたとは!!」


 傭ヘドロに指揮を任せていた銀知雄と要七は洋館の中におり敵が入ってきたので狼狽えていた。


「春也様とともに、ここから逃げるぞ」


 銀知雄は冷静になり勝ち目がないので戦闘をする気がなく主をつれて逃げることを考えていた。


「奥方様と沙吾様はどうするのですか?」


 少しあせっている要七は地が出ており情けない感じだった。


「足手まといになるので置いていく。シェルターにいれば安全だ。奥方も子も春也様がいれば、またできる」


 主の安全が第一で主の家族でも邪魔な者は捨てて軽くする。春也が死んだら、すべて終わりなので銀知雄は急いで主のところへ向かう。要七は主を守ることより自分の安全を考えており康の攻撃は春也の陣営に大打撃を与えていた。


「銀知雄と要七だな?」

「だれだ!?」


 男の声に驚き、二人は振り向いた。スペードの一がいて血がついている剣を持っていた。


「トランプの騎士隊の切りこみ隊長 スペードの一だ」


 しゃべることができるので名乗った。トランプの騎士隊は、すべて男性でジョーカー以外すべて同じだが康はスペードのエースがお気に入りなので特別扱いしていた。


「お前、人間じゃないな!!」


 銀知雄はスペードの一が人間じゃないことに気づいた。


「ああ。私は康様のお力で、この姿になったトランプだ」


 隠す必要がなく自慢するようにいった。康の力で、この姿になったことを誇りに思っている。


「人間の部下がいないとは。人望がない康らしい戦力だ」


 銀知雄はバカにして笑い、要七はスペードの一が怖いので父親のように笑うことができなかった。


「お前達は人間なのに、なぜ康様に逆らったんだ?」


 康に絶対服従のトランプの騎士隊には理解できないことなので聞く。


「康が当主になったら春也様と私達は追放される。そのようなことをするやつなど主ではない。私達を認めてくださった春也様に仕えるのは当然のこと」


 康は銀知雄と要七を嫌っているので冷遇し二人も厚遇してくれた春也につくのは当然のことだった。


「お前達が康様に仕えてなくてよかった」

「なんだと!! 紙きれごときが生意気な!!」


 人間ではないトランプに侮辱されたので銀知雄と要七のプライドは傷ついた。


「敵の私達から魚安家を守ることができないお前達など無能な春也の側近がお似合いだ」


 本当の敵がきたら春也達では力不足でやられるので魚安家の当主は康の方がふさわしい。


「魚安家は康様に任せて、お前達は安心して死ね」


 主が嫌いな人物達なので生かしておかない。


「紙きれごときが!!」


 銀知雄と要七は刀を抜いて抵抗する。


「いくぞ!!」


 スペードの一は銀知雄に斬りかかり要七は離れた。トランプの騎士隊は優秀な剣術で闘い、銀知雄はたたきあげの剣術で闘っており実力は互角だった。

 若い頃から実戦経験があるので押していき、スペードの一を斬った。


「しょせん紙だ!!」

「さすが父上!!」


 敵が消滅したので銀知雄は笑みを浮かべ、要七は喜んだ。しかし、スペードの一は立った状態で復活し斬りかかった。


「なっ!?」


 銀知雄は驚き、対処が間に合わず斬られてしまい、片膝をついた。主が嫌いな相手なので、すぐ死なないように斬った。


「ぐう!!」


 痛みを感じて苦しんでいる銀知雄は死ぬのが分かっており敵を睨んだ。


「こいつは死ぬ。次は、お前だ」


 とどめをささなくても苦しんで死ぬので次は要七を殺そうとしたが姿がなかった。


「逃げたか」


 父親が斬られた時、彼はスペードの一に気づかれないように静かに逃げていた。


「息子は春也様を逃がすためにいったのだ……」


 銀知雄は顔色が悪くなり、しゃべるのが大変で死が近い。


「まあ、あんなやつはどうでもいい。春也を捕えないと」


 春也を殺すのは康の役目なので殺さずに捕えようと動く。


「いかせんぞ……!!」


 倒せないのは分かっていても最期の力で立ちあがって斬りかかる。


「邪魔をするな」


 スペードの一は銀知雄の首を斬り落とした。首は転がり、体は倒れて死んだ。


「すぐに春也もいくから安心しろ」


 無能力者の銀知雄は能力の差で敗死した。要七は父の期待を裏切り、春也のところへいかず自分だけ逃げようとしていた。

 康が嫌いな相手 銀知雄が死にました。

 評価とブックマーク、感想をよろしくお願いします。

 ポイントは小説を書き続けるための大きなモチベーションになりますので、ご協力お願いします。

 「美女能力者のお腹にある別空間で特訓をして強くなった中途半端な能力者」と「非正規団員の小事件集」も連載中です。

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