第8話 圧倒的な蹂躙
◇
準備が終わり、鮟鱇田第一基地の外には武装した団員達がいる。団員達は春也につき康を敵と思っており、きたら攻撃する気満々だった。中には消極的な者達もいたが、ほとんどが春也派で逆らうことができず従っていた。
「康を殺せば大手柄だ。おれが殺してやる」
「いや、おれだ」
春也派の団員達は新当主に取り入ろうとしている。自分の出世のためなら喜んで殺すほど康は人望がなかった。
春也はここの団員達を康が死んだ後の自分の手足としか思っていないので戦力はほとんどザコで主力は洋館にいる。
「戦力はここだけじゃない。これで康は終わりだ。可愛かったのに残念だ」
「ああ。死ぬ前に可愛がりたかったぜ」
見た目がいいので人望がなくても人気があり下品な話をする者達もいた。ここの団員達は一緒に働いていたのに康の本当の強さを知らず可愛い男の娘としか思っていない。
戦力差があって春也が勝利すると思っており団員達には余裕がある。しかし、その余裕はすぐ消える。
「なんだ、あれは!?」
見たことがない大部隊を見て外の団員達は驚いた。地上にはクラブのトランプの騎士隊十三体と多くの怪人がいて進んでいる。
人間と同じ大きさと形で水色の複眼の黒いアリ怪人がトランプの騎士隊より多くおり、団員達に負けていないほどの数だった。
空中には青いチョウチンアンコウの形をした無数の戦艦が移動しており、地上と違い、背中に羽があるアリ怪人達が飛んでいる。
人間ではない大部隊が現れたので動揺しているが怪物退治は慣れており戦闘準備もできている。
『鮟鱇田第一基地の団員達!! 私は魚安家の正統な当主 魚安康だ!!』
「康!?」
一隻の戦艦のスピーカーから康の声が出て団員達の動揺は増していく。この戦艦に康は乗っておらず彼は兄がいる洋館に向かっている。
『当主の座を横取りした愚かな兄をこれから成敗する!! 兄についたお前達も同罪でついでに皆殺しにしてやる!! 降伏しても無駄だ!! それは私が決める!!』
兄についた団員達を許す気などなく部下達に皆殺しを任せ、自分は兄がいる洋館を攻めることにした。
「皆殺しにするだと!! ふざけるな!!」
「そうだ!! やれるものならやってみろ!!」
康の言葉で団員達は怒り、降伏しても無駄なので戦闘をし、敵を倒して生きるしかない。
団員達はマシンガンを構えて康の大部隊を攻撃した。無数の弾が命中しトランプの騎士隊とアリ怪人達は倒れた。
「やつら、弱いぞ!!」
弱い敵達を見て団員達は笑って撃ちまくる。しかし倒れたトランプの騎士隊は消え、立った状態で復活し倒れたアリ怪人は白い卵を産んで消えた。卵から小さいアリ怪人が出てきて人間くらいの大きさになった。
「どうなってるんだ!?」
団員達は驚き、いくら倒してもトランプの騎士隊は復活しアリ怪人は卵を産み、まったく減らない。
トランプの騎士隊は死んでも近くに復活するようになっており、アリ怪人は死ぬと卵を産み、大きくなって即戦力になるので戦力が減ることなく安定して戦闘を行うことができる。
「相手が死ぬまで撃て!!」
敵が減らなくてもマシンガンを撃ち続ける。ザコの団員達なので、それぐらいしかできない。
騎士隊はマシンガンを出して構え反撃を行う。一斉にマシンガンからエネルギー弾を発射した。普通のマシンガンと違い、威力が高いエネルギー弾なので命中して死ぬと団員達は消滅した。
「こっちより武器が優秀だ!!」
負けずに撃ち続けるが敵は減らず、団員達の方がやられている。マシンガンの弾に耐えているアリ怪人は口に蟻酸を集め、光線にして発射した。
「うあおああああああ!!」
当たった団員は体が溶けて歪み、ふっとんで溶けてなくなった。
アリ怪人はトランプの騎士隊のようにアリを部下にした雑兵蟻でしゃべることはできず命令に従う知能しかない。
「ぜんぜん楽勝じゃない!!」
「これじゃあ春也様についた意味がない!!」
騎士隊の銃撃と雑兵蟻の光線で団員達の数は減って陣形は崩れ、士気が下がっており突破できる状態になっていた。地上部隊は突破せず空中部隊が動き、チョウチンアンコウ型の戦艦が大きな口を開けると羽がある雑兵蟻達が飛んで出てきた。
地上部隊の攻撃と増援で多勢に無勢になり基地は砲撃を行った。戦艦は落ちず飛んでいる雑兵蟻達を撃墜しても戦艦から出てきて空中で卵を産み、まったく意味がない。
飛びながら雑兵蟻達は光線を発射して基地を攻撃する。生物は溶かし建物は破壊するので基地は爆発した。基地は大きく揺れ、中は崩れており団員達は戦意を失い、逃げようとしている。
トランプの騎士隊は剣と槍を出して基地へ向かう。
「もうダメだ!! 逃げろー!!」
戦闘前の余裕はなくなり団員達は戦闘を放棄して逃げた。団員が戦闘を放棄して逃げるのは問題だが、それだけ戦意を失っていた。
「康様のご命令で皆殺しだ!!」
クラブの一が指示を出し、雑兵蟻達は従い、光線を発射して逃げる団員達を殺していく。
「おれ達はもう戦闘をする気はない!! 許してくれ!!」
「康様に降伏するから助けてくれ!!」
「こんなところで死ねるかあ!!」
逃げながら命乞いや降伏をしても意味がなく殺され、抵抗しても逃げるのは不可能だった。主の命令で動いており康が止めないかぎりやめず人間ではないので躊躇しない。
騎士隊と雑兵蟻達は基地の中に入り、逃げている団員達を攻撃する。通信やキャノン砲の操作をしていた連中は、ろくな武器しか持っていないので簡単にやられていく。
「僕は康様派だから味方だ!!」
両手をあげる者達がいたが容赦なく殺す。主の味方でも、ここにいるのなら敵と同じなので殺すのは当然だった。
団員だけでなく基地の中をエネルギー弾や光線で破壊していき、飛んでいる雑兵蟻達は中にいる味方を気にせずに光線で攻撃している。
「ぐわあ!!」
殺しながら進んでいたトランプの騎士隊は指揮官を射殺し基地は制圧された。
『お前達!! 攻撃をやめろ!!』
主の命令で騎士隊と雑兵蟻達は殺すのをやめた。攻撃が止まり皆殺しにならなかったので団員は、かなり生きている。
「た、助かった……」
生きている団員達は放心しており多くの仲間を殺した騎士隊や雑兵蟻に抵抗する気などなかった。
「こい」
「はい……」
トランプの騎士隊は生きている団員を集めている。抵抗する気がまったくなく従順で簡単に集まり、逃げないように見張る。殺さないが捕虜扱いだった。
エネルギー弾と光線で死体は少なく雑兵蟻達は死体を食べており捕虜達に止める権利はなく、きれいになくなっていく。
敗北した団員達は春也についたことを後悔し康のすごさを思い知った。
トランプの騎士隊と雑兵蟻の能力は、リスポーンのようなものです。
評価とブックマーク、感想をよろしくお願いします。
ポイントは小説を書き続けるための大きなモチベーションになりますので、ご協力お願いします。
「美女能力者のお腹にある別空間で特訓をして強くなった中途半端な能力者」と「非正規団員の小事件集」も連載中です。
 




