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第6話 人喰いクラゲ

 ◇


 ボーゾーストが暴れていた頃、無頼党鮟鱇田支部のアジトは盛りあがっていた。アジトは街から離れている廃工場で夜にいくら騒いでも問題なく恐ろしくて、だれも近づかない。

 黒い革ジャンのような団員服姿の団員達がおり、バラバラのマネキンや吊るされた野良犬や野良猫の死体、赤いペンキで壁などが汚れていて不気味だった。


「リーダーの仕事がうまくいけば大金が手に入る!!」


 ボーゾーストが康にやられたことなど知らず団員達は前祝いを楽しんでいる。しけたつまみや安い飲み物ばかりで殺し屋どもにふさわしい。

 大金が手に入ると思っているが康を殺そうとしたリーダーの殺し屋ギルドなので死が近づいており、だれもそんなことなど知らずバカ騒ぎをしている。


「くうう!!」


 無頼党の団員達だけでなく両手と両足を縛られた霞がいて悔しそうに涙を浮かべていた。康と仲がよく春也に従わないタイプなので無頼党は彼女を捕えていた。


「このアマ!! よくもやってくれたな!!」

「自分がしたことを後悔させてやる!!」


 彼女が抵抗したことで死んだ団員や傷ついた団員達がおり、やられた団員や興味をもった団員達が霞を囲んでいる。

 男達は下品な目で見て興奮しており長くて太い棒を持っていた。


「お前にやられたところが痛むんだよ!!」


 霞にやられた団員達は棒で殴る。


「くはん!! くふう!!」


 彼女の頑丈な体でも痛みはあり悶えながら耐える。他の団員達も霞を殴り、興奮して楽しんでいる。


「うっくう!! 太い棒で!!」


 抵抗できずに殴られているので涙を流して歯をくいしばり、艶めかしいうめき声を出した。


「こいつ、たまらないな!!」

「今までの女と違って頑丈で楽しめる!!」


 霞の姿を見て嗜虐心が増し醜い笑みを浮かべ、棒だけでなく足で頭や顔、胸部や腹部、股間を踏んで嬲る。殺し屋もストレスがたまるので、捕えた女性を嬲ってストレスを発散していた。


「あくう!! うあっ!!」


 足で転がされ、霞の表情は屈辱で歪み体をくねらせている。


「殺さないように加減しないと。こいつは見た目がいいから高く売れる」


 殺し屋ギルドの無頼党は人身売買もしており高く売れる女達は殺さずに売っていた。


「どっかの貴族が買って両腕と両脚を切断して肉人形にするだろうな」


 団員達は勝手な想像をして笑い、霞の表情は不安と恐怖でひきつっていた。


「おい。なんだ、この箱は?」


 しけたつまみや安い飲み物が置いてあるテーブルに知らない箱があり、酔っぱらっていた団員は気づいた。


「こんな箱、あったか?」

「だれか持ってきたのか?」


 他の団員達も箱に気づき、霞を嬲るのをやめ箱に注目している。皆、首を横に振り、持ってきた者が分からなかった。

 困っていると箱は自動で開き、中身は白いホールケーキだった。


「祝いのケーキか? けどイチゴとかがない質素なケーキだな」


 中身が分かると団員達は安心したが、白いクリームだけのケーキなので物足りない。


「えっ」


 霞はケーキを見て真っ青になり、テーブルにあるケーキのことを知っていた。


「ケーキだから切ってみるか」


 食べるというより調べるために近づいて包丁を持った。いくらケーキでも怪しいので、いきなり食べることはしない。

 包丁で切ろうとした時、突然ケーキが浮いた。


「ケーキが浮いた!?」


 団員達が驚いているとケーキの底に大きな穴があき、中からトゲだらけの青い触手を無数に出して伸ばす。


「うわあ!! なんだ!?」


 切ろうとしていた団員は包丁を触手に投げて離れ、他の団員達は慌てながら武器を持った。


「撃て!! 撃て!!」


 触手が襲いかかろうとしているので団員達はマシンガンを撃ちまくる。触手にダメージはなく浮いているケーキを狙っても触手が銃弾を防ぎ、当たってもきいていない。


「ああああああ!!」

「溶けるうううううう!!」


 触手は青い毒液をまき散らし浴びた団員達は溶けていく。


「ぐぎゃああああああ!! 痛い!! ダメだ!! だれか殺してくれ!!」


 一気に溶ける毒ではないので少しずつ醜く溶けており激痛が凄まじく、のたうちまわる。


「あんなふうに死ぬのはごめんだ!! 死ぬんなら、かっこよく死にたい!!」


 戦意を失い、団員達は武器を持ったまま無意味な抵抗をしながら逃げる。毒液は溶かすだけでなく機械などをおかしくする効果があり、マシンガンなどの銃が使えなくなってアジトの機能も停止した。


「どけ!! 邪魔だ!!」

「お前こそ!!」


 しょせん殺し屋の集まりなので団員達は邪魔な相手を押しのけて自分だけ助かろうと必死に逃げている。


「助けてくれ!!」

「触るな!! ぐっ!!」


 毒にやられた団員達が助けを求めても見捨て、その毒がついて苦しみ倒れる者達がいた。長い触手は逃げる団員や毒で動けない団員達を捕えていく。触手の力は強く、無数のトゲが刺さって毒液を注入しており逃げることができない。


「助けてくれ!!」


 浮いているホールケーキに命乞いをする。しかし命乞いをした者達を楽しんで殺した者達の命乞いなど通用しない。


「ぐああああああ!!」


 毒液で団員達は溶けていき液体になり触手は、その液体を吸収している。団員達を吸収し、ホールケーキは大きくなっていき、人間くらいの大きさになった。

 無数の触手はアジト全体に伸び、前祝いに参加していなかった団員達も捕えていく。無数のトゲで逃げられないようにし溶かさずに捕えた団員をホールケーキの大きな穴まで運ぶ。


「うわああああああ!!」


 恐怖で悲鳴をあげている団員を穴に入れて毒液で溶かす。大きな穴は口で人間を生きたまま溶かして喰っている。


「康の人喰ひとくいクラゲ」


 霞は殺されている敵達を見て恐怖を感じている。動けないので逃げることができないが、まったく毒液がかからない。トゲがない一本の触手が伸びてきて彼女を優しく持った。


「なぜ、あの女だけ!!」


 自分達と違う女を見て団員達は驚きながら死んでいく。

 ホールケーキの正体は康が使役している人喰ひとくいクラゲで彼の命令に従い、無頼党鮟鱇田支部を滅ぼしにきたので敵は皆殺しにし、無関係な者は殺さないようになっている。

 触手は伸び、霞を安全なところへ運ぶ。


「無頼党鮟鱇田支部は終わりだ」


 人喰いクラゲの恐ろしさを知っているので無頼党に少し同情した。無頼党鮟鱇田支部は前祝いとは違う地獄のような騒ぎになっていた。


 ◇


 無頼党鮟鱇田支部のアジトの倉庫。ここには無頼党の武器や乗り物がある。人喰いクラゲにやられなかった団員達はここまで逃げてきた。しかし触手が近づいているので団員達は二台の装甲車に乗りこむ。

 装甲車で触手を強行突破してアジトから逃げようとしている。


「早くここから脱出だ!!」

「分かってるよ!!」


 前の装甲車は動くが後ろの装甲車は触手に捕まり動かなかった。


「わああああああ!!」


 毒液を注入され、装甲車の中にいる団員達は毒にやられて悲鳴をあげた。


「おれ達もああなるぞ!! 早く!!」

「ああ!! 発進!!」


 仲間意識がなく見捨てて走った。この装甲車なら壁を破ることができるので壁に突っ込む。壁に激突しようとした時、突然、横から触手が出てきて装甲車を横転させた。


「ああああああ!!」


 装甲車は走ることができなくなり毒液を注入された。中にいる団員達は毒にやられ、装甲車から出ることができなくなった。

 無数の触手は二台の装甲車を持ちあげて人喰いクラゲの口まで運んでいく。ほとんどの団員を食べて巨大になっており装甲車が入るほど大きく、溶かしながら食べる。

 すべての敵がいなくなり人喰いクラゲは毒液をまき散らしアジトを溶かして、もろくし触手で破壊していく。アジトは跡形もなく消え、巨大人喰いクラゲだけになった。

 仕事を終えた巨大人喰いクラゲは浮くのをやめて着地し、その場で休む。食べたものを消化しており元の大きさに戻ろうとしている。

 康を殺そうとした罪は大きく、ボーゾーストだけでなく無頼党鮟鱇田支部も滅んだ。元の大きさに戻った人喰いクラゲは主のところへ帰った。

 康の戦力 人喰いクラゲです。ホールケーキの姿をしており相手をだまし毒液をまき散らし、触手で捕食します。

 評価とブックマーク、感想をよろしくお願いします。

 ポイントは小説を書き続けるための大きなモチベーションになりますので、ご協力お願いします。

 「美女能力者のお腹にある別空間で特訓をして強くなった中途半端な能力者」と「非正規団員の小事件集」も連載中です。

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