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第39話 雲竜井蛙

 ◇


 明後日の朝。猶予は終わったので康は黒のジョーカーと赤のジョーカーをつれて、殿坂家の洋館に近づく。

 黒ガマなどの戦力が待機しており、すぐ制圧することができる。


「圭流だ」


 無様に立っている圭流を見て、康は笑った。彼しかいなくて降伏することは分かっていた。

 ゴスロリ男の娘が近くまできたので、圭流は媚びる顔をした。


「康様。私は降伏します」


 彼だけではどうすることもできず、自分が助かるために名門の家を平気で捨てた。こんな当主で先祖達は泣いているだろう。


「すべて全能寺家と側近達が悪いのです! 私は言いなりだっただけです! 殺すのなら、やつらを殺してください!」


 自分が助かるためにすべて全能寺家と側近達のせいにしている。側近達がいないので罵倒されることなく喚いた。

 必死な姿が面白いのでゴスロリ男の娘は聞いており、黒のジョーカーと赤のジョーカーには耳障りな声だった。


「降伏したので貴族の地位を保証してください」


 降伏したので康の傘下に加わり、貴族の地位を確保しようとしている。前より贅沢はできないが、庶民よりマシな生活ができる。

 降伏して、すべて全能寺家と側近達のせいにしたので許されると思っている。


「消えろ」

「えっ?」


 圭流は康の言葉が理解できなかった。


「降伏した者に消えろとは、ひどい冗談です」


 冗談と思い、屈辱に耐えて、ひきつった笑みを浮かべた。


「なんの価値もないお前を迎えるわけがないだろ。殺す価値もないから消えろ」


 黒ガマのような人材ではなく殺す価値がないので無一文で追放する。苦労せずに育った中年男性の貴族なので追放されたら野垂れ死にするだろう。


「なんの価値もないだと!」


 屈辱と絶望が混ざり、青い顔で気絶しないようにしている。康を殺したい気持ちになったが、戦闘をしたことがないので無理だった。


「早く消えろ!! 目障りだ!!」

「ヒイイイイイイ!!」


 大声と恐怖で圭流は慌てて逃げる。


「よろしいのですか? あんなザコでも擁立する者がいるかもしれません」


 黒のジョーカーは進言した。


「やつを殺すのは私じゃない」


 ゴスロリ男の娘は悪い笑みを浮かべ、黒のジョーカーは理解した。


 ◇


 圭流は康達が見えないところまで逃げ、疲れたので休んだ。


「おのれ、康!!」


 命が助かっても無一文で追放されたので彼のことを恨んでいる。


「これからどうしよう」


 言いなりだった彼はひとりではなにもできず、庶民のように働くのは嫌だった。


「あなたは私に殺されるのです」


 月理が圭流の前に現れた。康は彼女のために圭流を殺さなかった。


「だれだ、お前は!?」


 驚いたが、弱そうな少女なので強気な態度になった。


「覚えていませんか」


 少女の姿が昔と違い、捨てた人間を覚えている性格ではない。


「まあ、こんなカスじゃ覚えていませんね」

「なんだと、この小娘!!」


 追放されて機嫌が悪い圭流はバカにされて怒り、月理を殴ろうとした。弱そうな少女なら殴ることができる。しかし月理は片手をトゲだらけの青い触手にして、殴られる前に圭流を叩いた。


「どほお!?」


 初めてくらった攻撃で一瞬、なにも分からなくなり、ふっとんだ。


「ぶおお!! 血が!! 血が!! いだい!! だれかあ!! 医者をよべえ!!」


 トゲで傷つき出血し、初めての激痛で悶えており、立つことができない。


「こむすめえ!! 医者をよべえ!!」


 攻撃した少女に助けを求め、無様だった。


「私の名前は倉海 月理。あなたが捨てた玩無身です」

「そんなことはどうでもいいから助けてぐれえ!!」


 激痛で彼の頭はグチャグチャになっていて、話にならない。


「もういいです」


 捨てられた恨みがあり、情けない姿を見て呆れ、少女は触手を伸ばし、青い毒液をまき散らした。


「ブワアアアアアア!!」


 毒液を浴びて苦しみ、ザコの圭流ではすぐ死んで溶け、液体になった。


「ありがとうございます、康様」


 復讐のチャンスをくれた主に感謝し、圭流を殺すことができたので無邪気な笑みを浮かべた。

 康に敗北した圭流は追放され、行方不明ということになり、だれも心配していない。

 圭流は苦労しないで育った言いなり中年男性です。

 「美女能力者のお腹にある別空間で特訓をして強くなった中途半端な能力者」と「非正規団員の小事件集」も連載中です。

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