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第38話 春蛙秋蝉

 ◇


 康が勝利した後。傭ヘドロと黒ガマが敗北したことを知って殿坂家の洋館にいる圭流達は絶望していた。


「あの二人が負けるなんて」


 黒ガマが寝返って、こちらに向かっているので椅子に座っている圭流は頭を抱えていた。


「砂塵の残党はなにをしていたんだ」


 砂塵の残党は連絡できなかったので全滅したことを知らない。


「ご報告します!!」


 側近が慌てて報告する。


「康の部下らしき二人がいて砂塵の残党は全滅していました!!」


 いくら連絡しても出ないので砂塵の残党がいる荒野に団員をいかせた。砂塵の残党は全滅していて、虎夏と陰子が冷やしそばを食べていた。報告した団員は怖くなって逃げてしまった。


「なっ!!」


 砂塵の残党が全滅したことを知って驚き、圭流は椅子から落ちた。マヌケな姿を見て、側近達は呆れた。


「全能寺家に連絡しろ!!」


 自分達ではどうすることもできないので全能寺家にすがる。


「大変です!! 黒ガマがきました!!」


 全能寺家に連絡する前に敵がきてしまった。


「黒ガマのやつ!!」


 側近の報告で圭流は怒り、走った。急に走った主より敵がきたので側近達は圭流についていく。

 敵が見えるところへ移動し、窓を開けた。外にはヘケトにまたがっている黒ガマがおり、後ろにトランプの騎士隊のダイヤがいる。

 黒ガマが睨んでいるので圭流も負けずに睨む。


「この裏切り者!! どのツラさげてきた!!」


 寝返って敵とともにきた黒ガマを罵倒した。


「裏切ったのはお前だ!! 私の故郷を滅ぼしたのが全能寺家で、その傘下のお前が私を利用して殺そうとしていたことを康様が教えてくださった!!」

「なっ!?」


 すべてばれてしまい、圭流は驚いた。


「しかたがないことだ!! 教えたら全能寺家に逆らうだろ!? 全能寺家に逆らうのは愚かなことだ!!」


 家を守るためにやったことなので言い訳をした。優秀だが危険な人材なので利用するだけ利用して殺すつもりだった。全能寺家は殿坂家以上の名門で逆らえば簡単に滅んでしまう。


「これからは康様に仕えて全能寺家と戦うことにした!!」

「ああっ!!」


 全能寺家の敵が生まれてしまった失態で圭流はめまいを起こし、立っているのが辛くなった。


「これ以上、抵抗しても無駄なので、おとなしく降伏しろ!!」


 黒ガマは攻撃をする感じがなく説得している。


「康様は慈悲深いお方でお前達に一日の猶予を与えてくださった!! 明後日の朝までに降伏しろ!!」


 康が猶予を与えたのは慈悲ではなく嫌がらせで圭流では立て直せないので殿坂家を乱すことができる。


「もし降伏しなければ私が攻める!!」


 黒ガマは背中の刀を抜いて圭流に向けた。彼女とトランプの騎士隊が攻めてきたら死ぬことになる。しかし降伏しても殿坂家は滅ぶ。


「ううん」


 圭流は白目をむき、口から泡を出して仰向けに倒れた。


「圭流様!! しっかりしてください!!」


 側近達は気絶した圭流を運んだ。無様な姿で側近達は仕えたことを後悔している。


「よく考えるんだな!!」


 黒ガマは刀を背中に戻して洋館から離れ、トランプの騎士隊とともに移動し、見えなくなった。

 当主の情けない姿は洋館全体に広がった。

 

 ◇


 圭流が気絶した後。圭流は自分の部屋のベッドへ運ばれた。


「降伏したら、すべてを奪われる!! 徹底抗戦だ!!」

「戦っても死ぬだけだ!! 無条件降伏だ!!」


 当主が気絶したままなので側近達だけで会議をしたが抗戦派と降伏派に分かれて不毛な会議になっていた。


「全能寺家に連絡できたか!?」


 抗戦派の側近達は全能寺家に援軍を要請しようとしている。


「ダメだ!! 無視してる!!」


 いくら連絡しても無駄で全能寺家は殿坂家を見捨てた。そのせいで混乱と絶望が大きくなった。

 どうすることもできない圭流達を見捨て、団員と使用人達は逃げている。逃亡者を処罰する余裕がなく、止めることができない。

 次の日も圭流は気絶したままで団員と使用人達はすべていなくなった。鮟鱇田は康がほぼ制圧したので殿坂家を助ける貴族はいない。

 側近達も逃げ、圭流だけになった。起きた圭流はなにもできないので降伏するしかなかった。


 殿坂家は滅びました。

 「美女能力者のお腹にある別空間で特訓をして強くなった中途半端な能力者」と「非正規団員の小事件集」も連載中です。

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