第37話 真実の罪
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傭ヘドロとの戦闘が終わった後。人喰いクラゲに捕まった黒ガマとヘケトは能力を封じる拘束ワイヤーで縛られており、ゴスロリ男の娘の前にいた。
康を睨んでいるが、黒のジョーカーと赤のジョーカー、トランプの騎士隊、雑兵蟻達がいて固まっている傭ヘドロを見たので敗北が分かっており、抵抗する気などなかった。
「敗者は死ぬだけ。さっさと殺せ」
死ぬ覚悟があり、彼女は潔く両目を閉じた。恐怖がなく冷静で死ぬことも仕事と考えている。
「傭ヘドロの指示に従い、正確な戦いをしたな。ここまで戦ったお前は番狂わせの黒ガマと呼ばれるだろう」
今までの敵と違う彼女を褒めた。敵に褒められたので黒ガマは少し動揺している。
「お前を殺すのは、話をしてから判断する」
「話?」
「お前の故郷を滅ぼした者のことだ」
「なに!?」
死ぬ覚悟がふっとび、敵の話を聞く。
「お前の故郷を滅ぼしたのは全能寺家だ」
康は故郷を滅ぼした者を教えた。
「全能寺家!? そんな大物が」
黒ガマは驚き、殺せないことが分かった。全能寺家は荒場木を支配しようとしている反逆の大貴族で息がかかっている領土が多く、彼女だけで敵討ちは無理だった。
「味方にならなかったから滅ぼしたのかもしれないな」
彼女の故郷を滅ぼした理由は分からなかったが、当たっているだろう。
「殿坂家も全能寺家の息がかかってる」
「それは本当か?」
殿坂家には少し恩があるが、仇を教えてくれた康の話を信じている。
「いろいろ証拠がある」
ゴスロリ男の娘は星奈のクモヒトデを出した。
『黒ガマはバカなやつだ。自分の故郷を滅ぼしたお方を知っている私に仕えて、よく働いている』
『砂塵の残党が動くので康と黒ガマを片づけてくれます』
『早く康と黒ガマの首を見て安心したい』
このクモヒトデは圭流と側近達の話を録音しており、その話を流した。本人達の声で黒ガマは仇の配下にだまされていたことを知って怒った。
「砂塵の残党は私の部下達が全滅させたから安心しろ」
康のおかげで彼女は助かった。
「私の部下にも全能寺家と圭流を恨んでいる者がいる。出てこい」
ゴスロリ男の娘の命令で人喰いクラゲが現れた。
「うっ!」
自分を捕えた人喰いクラゲの触手を見て、黒ガマが警戒していると人喰いクラゲは元の姿に戻った。少女になったので黒ガマは驚いた。
「彼女の名前は倉海 月理。私の使用人だが全能寺家の元玩無身だ」
少女は傭ヘドロと同じ元玩無身だった。
「月理。黒ガマに説明してあげなさい」
黒ガマを信じさせるために康は彼女に説明させる。
「はい」
辛い話でも主のために話す。
「私は昔、全能寺家に母親を殺されて玩無身にされました。クラゲの魔物に凌辱され、あきて配下の貴族に送られました」
凄惨な過去を淡々と話しており、忠義が思いだしたくない恐怖を上回っていた。
「配下の貴族を転々とし、圭流はボロボロの私をゴミのように捨てました。ですが康様に拾われて私は助かりました」
圭流に捨てられた時の月理は今より貧相でゴスロリ男の娘に拾われて回復し、人喰いクラゲに変身できるようになった。彼女は命の恩人である康に感謝しており、服従している。
「話を聞いて、お前はここで死にたいか?」
康は黒ガマにチャンスを与えている。利用するだけ利用して殺そうとした圭流に仕える意味がない。
「康様に服従します」
彼に仕え、敵討ちをすることにした。
「歓迎するよ、黒ガマ」
優秀な人材が味方になったのでゴスロリ男の娘は喜び、月理は黒ガマとヘケトの拘束ワイヤーをほどいた。
「ウー、ウー」
「ヘケト」
ヘケトは黒ガマに近づき、彼女は撫でた。
殿坂家の戦力はほとんど削れ、魚安家の戦力は黒ガマが加わって強化された。
圭流の罪は黒ガマをだましていたことと月理を捨てたことです。
「美女能力者のお腹にある別空間で特訓をして強くなった中途半端な能力者」と「非正規団員の小事件集」も連載中です。




