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第27話 忘恩負義

 ◇


 康達が改革をしている頃。鮟鱇田で康に服従していない名門 殿坂家とのさかけの洋館。

 鮟鱇田ギリギリの位置にあり、魚安家より身分と勢力が上でゴスロリ男の娘に従う気などない。

 ギリギリの位置なので殿坂家を攻めれば周辺の中心地が黙っていない。

 そんな殿坂家の洋館に要七がいる。暗くて質素な部屋で酒を飲んでいる。


「面白くない!! 酒だ!! 酒を持ってこい!!」


 彼は悪酔いしていて荒れていた。態度が悪い使用人は渋々安酒を持ってきて、テーブルに置いた。


「肴なしでこんな安酒! おれをだれだと思ってるんだ!! 磯木家の嫡男 要七だぞ!!」


 テーブルには酒しかなく、使用人を怒鳴って酒を飲む。使用人は眉をひそめたが、我慢している。


「いやだいやだ、こんな生活! これもすべて康のせいだ!」


 豪華な料理と酒があった昔の生活を思いだし、落ちぶれた生活を嘆いた。


「康に復讐するために殿坂家にきたのに庶民と同じ下級団員とは。ふざけるな!」


 復讐し、返り咲くために殿坂家に仕えた。しかし待遇が悪くて復讐など無理だった。

 最初から高い地位だった要七は下級団員の経験などなく不満しかない。


「ここの当主の目は節穴だな。他のところなら、もっと待遇がいいはず。こんなところをやめて、もっといいところへいった方がいいな」


 要七は酔った勢いで本音と不満をぶちまけて、おかしくなっていた。

 ここではひどい命乞いをした元貴族の余所者で庶民の団員にもバカにされ、期待や信頼がなく、春也に仕えていた時とは大違いだった。


「どいつもこいつも無能だ! おれはこんなところで終わる男じゃない!」


 すべて周りのせいにしている要七は眠り、安酒をこぼした。


「このことを伝えないと」


 使用人は要七のことをよく思っていないので上に報告する。


 ◇


 殿坂家当主がいる部屋。部下達が立っており、当主は椅子に座っていた。

 黒髪のチョンマゲで和服姿、白い足袋と草履。覇気がなくて醜い肥満の中年男性だった。

 彼の名前は殿坂とのさか 圭流けいりゅう。殿坂家の当主だが、部下達に擁立され、実権があるだけで当主の器ではない。

 康がここ以外の鮟鱇田を支配したことを知って、部下達と話をしていた。


「なに! 要七がそんなことを!」


 使用人の報告が当主に伝わった。


「はい。酔った勢いでいったことですが、あまりにも恩知らずな男です」

「許さん!! 待遇に不満があるだと!! 主を守れなかったやつがなにをいってる!!」


 部下達は冷静で圭流は怒り狂っていた。すべてを失った元貴族に同情して雇ったが、本音を知ったので許すことができない。

 権限と地位は与えず、質素でも部屋を与えたので待遇はそれほど悪くない。


「女傭兵の方が優秀で身の程をわきまえています」


 殿坂家に女傭兵が加わっており、要七と違うので部下は褒めた。


「要七がいても得にならない。処分しろ!」


 圭流は彼を殺す命令を出した。


「お待ちください。酔っていったことで処分するのは、やりすぎです」


 殺す価値がない相手なので部下は止めた。


「ではどうすればいいのだ!?」


 要七を殺すことしか考えていない。


「やつの望み通り、ここから追放すればいいのです。ここを追放された者を厚遇しないでしょう」


 殺さずに追放することを進言した。要七は悪評があり、殿坂家を追放されたことでさらに評判が悪くなって冷遇される。


「よし! すぐに要七を追放しろ!! 抵抗したら死体にして捨てろ!!」

「はい」


 部下の進言で追放にした。このように圭流を誘導して殿坂家を動かし、私腹を肥やしていた。

 圭流の命令で酔った状態の要七は追放された。いきなり追放された彼は抵抗できず、無一文で圭流のことを恨みながら、なんとか移動した。


 


 


 

 圭流の名前はトノサマガエルです。

 「美女能力者のお腹にある別空間で特訓をして強くなった中途半端な能力者」と「非正規団員の小事件集」も連載中です。

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