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始・STAGE2 of player  作者: 泉 碧惟
3/7

02話 懐かしい洞窟

「なあイオ!上級ランク生に入れるぞ!」


 …。


 はぁ、ちっとも嬉しくないよ

 俺としたことがちょっとの気分転換で威圧しただけに…


「明日の朝、9時にここ集合な!」


 なんかすっごい楽しそうに話してるし。

 なんでそんなにニコニコしてるの?


「んじゃ!」


 スキップしてるしさぁ。

 なんですか、ホントに。

 こんな広い校庭をスキップして帰るのか…?


 こんなルンルンな先生初めて見たよ。いっつも強面なんだから。

 これがあれか?ギャップ萌えってやつ?


 はあ。


『スキル 転移』


 さっさと家帰って寝るか。


 !?


「こ、校長!?なんで俺ん家いるんすか!」


 真っ白な壁に、一人暮らしには広いぐらいの15畳の家に太ったお腹にタプタプの二重アゴ、そして低身長。

 少し悪いがデブだなぁと思ってしまった。

 そしてパッツパッツのスーツで、よりデブに見えてしまう。


 というか、なんで校長が。久しぶりに見た。


「な、ナンジャ今のは!一瞬眩しくなったら現れたゼイ!」


 語彙力どうした?さすがの俺もそんなに語彙力無いわけじゃない…と思いたい。


「今のとは、転移のことですか?」


「よく分からんが、急に現れたの。」


 口調もどした。


「これは転移と言って、一瞬で移動できるんすよね。」


「そうかそうか。で、わしがいる理由だが、お前、強いらしいな。」


 いや。うん。え?語彙力無さすぎない?


 あと転移はこれで納得なんだな。


「まあ、はい。」


「それで、すぐにでも国に貢献して欲しくてだな、ここに来た。」


「はあ、そんなことよりどうやって入ったんですか?」


「いや、空いてたけど。」


 は?俺開けてないぞ。てかオートロックだし。


「そうですか。で、貢献 とは?」


 まあ面倒くさそうだし、スルーすることにした。


「そうじゃ、今都心でカオスドラゴンが出たらしいんじゃ。」


 ああ。カオスドラゴンね。前世30体ぐらい倒した記憶あるわ。

 あいつそんな強くなくね?強いて言うならば、ブレスに触れたら大体のものは溶けることぐらいか。


「それを倒せばいいんですか?」


「そうじゃ。」


「明日は暇かね?」


「剣道部顧問に呼ばれてますが…」


 あいつめちゃくちゃ楽しそうにしてたけど…?


「そうか。今から断ってくるから明日に出なさい。」


 断るって!


「はい。」


 えええ。めんどくさい。

 まあいいや、転移してすぐ倒そう。


「あと、転移や移動系スキルは絶対してはダメだ。」


 は?


「何で行けばいいんですか?」


「電車や車もダメだ。空を飛んでもダメだ。足でいけ。あと、これを羽織れ。」


 「これ」とは、全体的に真っ黒で、実際に羽織ると前にボタンが付いていて、首元で止める感じだな。

 そして腕や手を通すところはなく、フードが付いていて、顔をが隠せるようになっている。

 また、右耳ら辺から左腰にかけて斜めに紫色にラインが入っている。


「歩いている時は必ずこのフードを被りなさい。そしてこの作戦を決行してる人達は全員このマントを羽織っている。」


「そして、一人一人色が違う。お前は紫だ。」


「わ、分かりました。それじゃあ、明日の朝出ます。」


「ああ。剣などは貸せない。すまないな」


「それじゃあ。」


 そう言い残しそそくさと出ていった校長。

 一体何者なんだ?


 はあ。


 カオスドラゴンだったらこの剣じゃ勝てないな。途中の街で買うか。


とりあえず寝よう。








 もう朝か。しかたない、家出るか。


 今日まで目的地は『ビィム街』かな?そう遠くないし、大丈夫でしょ。


 財布持って、剣持って、羽織って、回復薬持って、携帯食持って。と。


 持つ。というより俺は『スキル 収納』に入れてるだけなんだけどね。


俺剣は背中につける人なんだよね。でもマントあるから上からつけるの無理だし。腰につけるか。


 今から家出るけど、単純計算するとカオスドラゴンのいる位置まで1年ぐらいかかるんだよね。

 遠すぎない?


 今思えばこの家にもお世話になったもんだ。


 色々あったなぁ。


 と言いたいところだが、追放されるの待ってたから特にこれといったことはしてないがやはり少しは寂しいもんだな。


「じゃあな。ありがとう。」


「行ってきます。」


その一言は、いつもよりも響いた気がした。





 家を出てまだ5分ぐらいだが、ここどこ。


 さっきまで見慣れた住宅街だったのに、なんもない平原なんだけど。

 スライムとか目が赤い兎とかいるし。

 勝てるには勝てるだろうが、関わらない方がいいな。

 レアドロップの見込みもないし。


 前世だとここら辺は廃墟の城があったっけ。面影ないなぁ。



 …。



 なんか一人で歩いてると、虚しくなるな。

 女の子と肩並べて歩きたい。本気で。


 ふと、右手側を見ると興味を唆る洞窟があった。

 何故かそこに大切なものがある気がして、吸い込まれるように入ってしまった。


 お。洞窟だ。男の子と言ったら入るしかないでしょー。

 ちょっと入ったらでるしー。


 中に入ると上から滴る水滴に、覗いてもそこが見えない湖、そして七色に光る鉱石。

 どこか懐かしいような気がした。


「おお。珍しそうな鉱石あんじゃん。スキルでササッと収納しえ持っていこうかな。」


 スキル起動して…と

 『スキル 収納』によって収納用の黄色の球体が掌に現れ、ぐるぐる回っていた。


「シャァァァ!!」


 ん?


 蛇かな?ちょっと今鉱石取ろうとしてんだけどー?


「グルルルル」


 15mぐらいか?牙から紫色の液体が滴ってきた。


 …。毒か?ゴツゴツの地面に落ちたら溶けちゃったよ。あまり強い毒では無さそうだが。


 なんというか、こいつはなにかを護っている気がする。

 いや、気がするじゃなくて確実に。証拠はないが、確信がもてた。


 倒そう。


 でも今世の俺武器が弱すぎる。

 学校支給の素振り用だぞこの剣!


「ジャァ!!」


 さっきまでニョロニョロした姿を目にしていたのだが、声とともに地面に潜って行った。


 うーんこれ下から突き上げられるよな。


 反復横跳びして避けてやろうかと思ったが、潔く目の前から消え去ってくれたので忘れて洞窟の奥に進むことにした。


歩いてれば当たらないっしょ!


 奥に行けば行くほど初めて来た場所なのに前にも来たような気がするような感じがする。

 デジャブか。よくあるやつだな。

 しかし洞窟内の構造を完全に分かってしまっている自分がいる。


 もしかして前世来た?

 でも前世の俺は洞窟なんて興味無いし入る理由もないな。いや入る理由がないのは今もそうか。


 どんどん狭くなっていく道。普通の人なら恐怖心を覚えるだろうが、何故か俺は大丈夫と思っていた。

 それになぜこの洞窟をここまで知ってるかこ理由も突き止めたかったんだ。




「これは…」




 銀色にギラギラ光るものを地面に見つけた。


 円い筒のようなもので、所々に切れ込みがあって、中央より少し上に紫色のボタンがある。


 俺は恐怖よりも好奇心が勝ってしまった。


 そして俺は無心のうちにそれを拾い上げていた。


 拾ってみると案外軽いな。


 スイッチ押してみよ!




 …。




 特に何も起こらないか。


 ボタンを凝視していると横に真っ黒い楕円状のタッチパネルのようなものを見つけた。

 それの大きさは親指の腹ぐらいの大きさであった。


「なにこれ?指紋認証かなんか?」


 指紋認証を搭載なんてな。早速かざすか。


『システム認証を開始します。』


 大人の女の人の声がした。しかしそれは全く感情が乗っていなく、まるで空に声を投げているようだ。


『人間を確認…完了しました。』


『使用許可を確認…(ユカリ)を確認しました。』


『続いて指紋を確認…前世が"ヴィクト"である為、USL(ウルトラスキルレベル)を最大のLv5に引き上げます。』


『よってUSLの知識を全て注入…成功。』


『これにて終了しました。』

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