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この世界を愛し生きていくと決めた記念日  作者: 平和男/タイラカズオ
第1章:禁断の森「ソーン樹海」
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Ep21.5:「寝床での会話」

その日は村長ルア宅の客間で寝床についた。


結局、ゼキは旅についてくる気満々な様で、客間には4人分の布団が敷かれていた。


「お、おい。そんなに近くに来るのはやめてくれ・・・!ゆっくり寝させてくれよ・・・。」


ショウは何度断っても近くで寝ようとするゼキに辟易としていた。


「まぁまぁ。同じ"男"同士なんだから!ショウちゃんの余裕ある戦い方に尊敬したんだって!」


男という単語を強調して言うゼキ。やはりショウが女であることは分かっているようだ。


「はは、なんかショウに弟ができたみたいだな!」


レンは悪気なく言っているのだが。


「五月蝿い!見た目は弟でも年齢的には兄だ。なぁゼキ!頼むから!」


そんなやり取りを他所にユーキは部屋の隅で考えに耽っていた。


-このままでいいのだろうか。仮にショウが女性でなかったら・・・。今回ゼキが旅についてくることはなかっただろう。-


ユーキはそのようなを考えに耽っていた。すると・・・。


「よう。レアさんもどき。」


無神経にもゼキがユーキに話しかけてきた。


「お前、森での戦闘の時水の剣・・・?作っていたよな。あれ、どうやったんだ?」


「あ、あれは・・・」


このまま本当のことを言っていいのだろうか。


ショウ曰く、イメージの力で作成した水の剣にゼキは一目置いているようだ。


せっかくこの一縷の評価が駄目になってしまうと、今度こそゼキは旅に同行してくれなくなるのではないか・・・。ユーキは言い出せずにいた。


「ユーキは星人だよ。」


ショウが後ろから助け舟を出した。・・・助け舟?


「星人!?あ、あの本に書いてある眉唾もんの?」


「あぁ。私も最初は疑ったが・・・まぁ本に書いてある事と特徴は似通っているし、この島や大陸のことを知らないみたいなんだ。ユーキ曰く全く別の世界から来たようだ。」


その後ショウはユーキがどのように現れたのか、どのような人物なのかを詳しくゼキに説明した。


「星人ねぇ。レア兄さんも少し不思議な人だったけど・・・。んで、ソレが何なんだ?」


これは助け舟なのか。


-このまま真相を言う気じゃないだろうな・・・-


ユーキの頬に冷や汗一粒。


「星人の力かはわからないが、イメージしただけで複雑な魔祖コントロールがスキップされるらしい。」


「お、おいっ!そんなストレートに・・・!」


思わず言葉に出してしまった。


「大丈夫だよ。」


ショウは小さな声でユーキに囁いた。


「だ、大丈夫って・・・」


「・・・なるほど。つまり森でユーキが作っていた水の剣は魔祖コントロールなしに作っていたわけだ。どうりでな。」


「・・・す、すまん。。。」


ユーキはいたたまれなくなり謝ってしまった。


「ん?なんで謝んだよ。俺が勝手に勘違いしてただけだぞ。・・・はぁーん。さてはそのことが知られると俺が旅についてこなくなるって思ってたのか?」


ゼキは笑いながら言った。


「安心しな。俺はショウちゃんがいる限り旅についていくつもりだよ。なんせ尊敬しちまったからな。・・・年下も悪く無い。」


最後の一言は小さく呟くように言ったようだがユーキには聞こえていた。


「な。大丈夫って言ったろ?まぁ不本意ではあるけど・・・。」


ショウは嫌々といった顔で言った。


「まぁイメージの力に関しては少し検証が必要だ。水の魔祖・・・いや。水の星の力を使った時だけに限られるのか。今後チームで行動するにも必要な情報だからね。」


しかしショウはそう言うと布団の上に横になってしまった。


「とはいえ、今日は疲れた。寝てから考えよう。」


大きな欠伸をしながらショウが言った。


「なんだよ~。寝ちゃうのか??俺も俺も~!」


ゼキはハイテンションにショウに近づいた。


「やめろバカ!!こ、コラ!!」


一見弟とじゃれ合っているお姉さん(レンから見たらお兄さん)だった。


ふとゼキがユーキの方を見た。


「・・・まだなんかあんのか??」


「え、?」


ユーキはゼキの急な質問に思わず聞き返してしまった。


「え、じゃなくて。顔を見る限りまだなんか考えているようだけど。」


ふとユーキは自分の顔を触って確認してみた。


「・・・まぁ考えるに、このままでいいんだろうか。ソーン樹海に言っても足を引っ張るだけなんじゃ無いだろうか・・ってな感じか?」


全くそのとおりだった。


「図星だな。俺は人を観察する力には自信があるんだ。」


心の中を見透かされたようで、ぎこちなくユーキは口を開いた。


「あ、あぁ。今日は。。。かなり足を引っ張ったから。これからが心配なんだ。みんなの足を引っ張らないか・・・。マクーに弱体をかけれたのだってレンの強化があったからだし・・・。」


ユーキは力なく答えた。


「あぁー。なるほど重症だな。元いた世界では戦闘がなかったんだっけ?・・・とはいえ。レン、ショウちゃん。教えてやれよ。この世界の基本を。」


するとレンがやれやれと言った感じで話し始めた。


「まぁ。基本だからな。とはいえ教えてなかったのはすまん。」


頭にそう付け加えレンは話し始めた。


「まず、今日の事について、ユーキが足を引っ張ったっていう事実は少なくとも俺は感じていないよ。」


私もだ、とショウがこちらを見ずに言った。


「戦闘において、強化されることは足を引っ張ることじゃない。列記とした戦術だ。まぁ戦闘中に集中が疎かになったことは擁護できないけど・・・」


レンは更に続ける。


「俺たちは強力をしあって相手に勝つことが目的なんだ。誰にだって初めて戦闘する時がある。みんなが協力しあって経験を積んでいく。そして次はユーキが誰かを支援するんだ。そうやってみんな強くなっていくんだ。」


ユーキは少し心が軽くなった気がした。


「ありがとうレン。みんなも。」


ユーキが納得した様子を見るとレンも横になり、またしてもジャレつきにショウのもとに向かうゼキ。


-みんな、いい人だ。ゼキだってチャラチャラしているようでしっかり見る能力があるみたいだし。・・・少しでも早く強くなろう。戦闘に慣れよう。ソレが俺にできる恩返しだな。-


そんなことを思いながらユーキは眠りについた。

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