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猫は七度死ぬ  作者: ぶらっく3だ
2章 楽園編
24/24

24 潜入者

まあ、こういうことです。

 二等辺三角形の島に潜り込む。それは言葉で言うほど簡単なことでは無かった。

 一つにはその移動手段が限られていること。ほぼ、高速輸送艦一択、急患患者の発生か政府関係者のごり押しでもない限り専用機による空路からの訪問は皆無であった。

 もう一つの理由は、この南鳥島が最重要に警戒されていたからだ。謎のロボット受付嬢に、武闘家アイドルを筆頭にいやに戦闘力に長けた島民が日夜訓練している閉鎖空間で島にどうやって侵入しようというのか?


「まあ、かわいい!」

「あ、今度は私にだっこさせてくださいよ!」

「だーめ、次は私よ」

 今、章梦柔チャン・モンローとこの島で人気を二分しているのが最近現れた黒い子猫であった。金色のつぶらな瞳に漆黒の毛に覆われた愛らしい身体に島の領主であり現役アイドルの章自身がやられてしまったのだ。

「このアイドルの私に抱かれている姿が一番可愛いのよ、雑魚とかロボは下がってなさい!うーん、喉なんか鳴らしてかわいい」

『ふん、落ち目のアイドルが子猫の愛らしさにあやかろうとは嘆かわしい』

「ロボ婦警、なんか言った?」

『ボビイは可愛いわねと言っただけですよ』

 ボビイというのがこのボンベイの子猫に付けられた名前だった。


「さあ、みんな今日もボビイの餌代しっかり稼いでらっしゃい!」

「おう!」

 章の掛け声で冒険者たちが、島のあちこちに散らばっていく。


『章、あなたも稼いで来たら。その間ボビイは私が見てるから』

「もう、しょうがないわねえ。この島の拡張には金が掛かるから、しゃーない稼いでくるわ。ホタルクジラでも現れないかしらねえ」


 章は、海岸を目指して走り去っていった。


『で?あなたは、どうするの?』

「・・・・・・ にゃーお」

『あなたじゃないわ。貴男よ!』

『やあ、見つかっちゃったみたいだね』


 木の陰から三毛猫が現れた。

『しかし、本土から遠路はるばるたびたび良く来られるわね。もしかして、暇なのかしら?』

『ここは、昔はレアメタルの産出で重要な場所だったし。今でも日本、いや地球にとって重要な場所であることには変わらないよ。いや、前よりずっと重要度を増しているくらいだね』

『ふうん、犯罪抑止課に加担しているあなたがなぜ、子猫なんか警戒するのよ!』『まあ、僕に効くよりはそのボンベイ猫に聞いた方が早いと思うけど』

『そんなこと、あるはずが・・・・・・』

「にゃー」

 ボビイが、悲しそうに鳴いた。

『ほら、普通の猫じゃない。驚かさないでよ!』

『ユキ!』

 突然、巨大な炎の塊がボビイを襲った。炎が消えた跡に残るのは黒焦げ死体かと思われたが・・・・・・

 炎が消えた跡には、平然と欠伸をしている子猫がいた。

「やはり、次元断章・・・・・・」

 ネコのハンドラー東条斎酒(ゆき)が呟いた。

 

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