20 ダンス
残暑、まもなくコロナ騒ぎも終焉を迎えることでしょう
ワー、ワァー!
ジェット機の離陸時にも勝る騒音レベルのファンの歓声もステージに私が登場したことによって会場の熱気は高まり、逆に騒音から緊張による静寂に転移する。
キャー!
ステージに大型のモンスターが数匹、突如黒い靄の中から現れた。
「みんなぁー!心配しないで。私の踊りを見よ!!」
ダダ、ダダーン。
軽快な音楽が奏でられ、ステージは物質不透過の干渉領域で観客席から分離されている。故に、何の遠慮も無く私は舞い、踊り、蹴散らす!
おおー、ワァー!
「暗黒滅殺拳!」
私は適当な技名を叫ぶと、手近にいた蜘蛛のモンスターの脚八本を光を湛えたキックで滅多切りにすると最後に胴体を吐息で吹き飛ばす。
「相変わらず、チャンちゃんの技名が動きとてんで合ってないなあ。だが、美しくカッコイイぜ。流石、俺のチャンちゃん」
『ふん、誰がお前のだって?章梦柔の下僕の一人にやっとなった程度で。まあ、そのダイヤモンドよりも固そうなメンタルだけは買っているが。
それにまだ術後で安静にしているときであろう?』
いつの間にか観客席に現れたスーパー受付嬢ロボ婦警に襟首を掴まれた駆け出し冒険者は、気にもせずステージを食い入るように見つめていた。
「師匠、俺が安静にしていなければならないのは一般人を傷つける恐れのある俺の秘められた力にまだ俺が慣れていないだけで手加減無用な相手、例えば戦闘の師匠でロボットなあんたには問題なく発揮できるんだぜ!」
駆け出し冒険者は、体を入れ替えると逆にロボ婦警を吊り天井に掛けた。
『ほう、お前も言うようになったなあ。だが、甘い!』
ロボ婦警のスリットの入ったミニスカートから繰り出された蹴りが容赦なく駆け出し冒険者の胸に、腹に、急所に決まる。いわゆる三段蹴りだ!
『・・・・・・ 少し本気を出し過ぎたかしら?』
駆け出し冒険者が、うずくまった姿勢から逆立ち、高速回転しながら無数のキックを繰り出しロボ婦警を壁際に追い詰める。
「ははは、流石にネコさんのくれたボディは天下一品だな。驚くほど全然痛くない、頑丈で器用だ」
『そう、リハビリも上手くいきそうだからそろそろお開きにしましょう。
あなたのお姫様がさっきからとんでもない目つきで睨んでいるわよ、大事なステージの最中でなかったら、今すぐにもぶちのめしに来るわよ。
あなたも、ああはなりたくないでしょ?』
「え?チャンちゃんが俺に大注目?
おお、やったー!」
『脳改造もついでにやって貰えば良かった・・・・・・』




