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猫は七度死ぬ  作者: ぶらっく3だ
1章 ネコふたたび
2/24

2 揺籃

お待たせしました。

 ほんの些細な切っ掛けだった。たしか、もっと高く飛びたいとか。もっと遠くに行きたいとか。もっと速く走りたいとか・・・・・・

 だけど生まれつき身体が弱くて、でもそんな僕でも機械の身体があればきっと出来るはず・・・・・・


 うーん、自律して動く為には自己の位置を認識する必要がある。難しい仕組みを一気に組み上げて作る前に簡単な?動物が持つ機能を模倣してみよう。

 細い繊維を纏めたものを胴体の幅と同じになるように左右に付けてと。これで繊維の端が壁にぶつからなければ、体が通り抜けられるはずだ。

 この場合の繊維が触覚の働きをするわけだ。


 電気を流した時に縮むこいつで、人工筋肉を作って骨に結んでと。関節が擦り減らないように何か工夫してと。


 ふふっ。今思い返しても、人に説明するのが昔から下手だったなあ。今だったらこいつについて、簡単に説明できるけどな。

 こいつは、人工筋肉だけど本当はそうじゃない。特殊な細菌にRNAを介してプログラムしてたんぱく質を合成した真なる筋肉なんだよ。まあ、折角作るんだから通常よりも強くしなやかに仕上げたけどね。

 うん?あれ、余計に難しくなったかなあ?


 まあ、いいか。最初はコンパクトに右手だけ造ってみる。

 手首、肘、肩をそれぞれ骨と関節で結合してそれぞれの稼動領域を設定して・・・・・・

 うーん、生卵を潰さずに黄身だけを箸で掬うのって難しいんだねえ。

 逆に、鋼鉄の棒とかを捻じ曲げるのは比較的簡単なことなんだね。あ、でも調子に乗って三本を重ねたときは力を込めすぎてへし折ってしまったけど(へへっ)


 結局、最初の試作品は力自慢の動力機械の域を超えられなかったなあ・・・・・・

でも、ひ弱な機械よりはマシだと思うけどね。




「おい、見て見ろよ今日のあいつ、ご機嫌よさそうだな」

「ああ、妙な注文で煩わされるよりはいいだろう。動物が食事するところをビデオで見せろとか、ペットを飼わせろとか。ここが監獄だということを理解しているのかねえ?」

「まったくだ、俺たちを使用人か何かと間違っているんじゃないか。お坊ちゃんだったらしいからなあ」

 監視カメラを嫌そうに眺めながら、刑務所の係員たちは雑談を締めくくった。

 

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